ヒプノシスマイク ドラパ 文字起こし

※ラップパートの歌詞は省略。
※ラップ後のドカーン!や、ラップでダメージを受けた後の、うごあっ!!ぐあっ!!は、キリがないので省略。


〇The Dirty Dawg Drama Track - Nausa de Zuiqu(山田一郎&碧棺左馬刻)

(一郎の足音)
一郎「今日の仕事は終了っと…思ったより早く終わったな。気の進まねえバイトだが、学生でこれだけ稼げる仕事にありつけただけマシなんだ。四の五の言ってらんねえ。ギリギリ(?)頑張るか。(腹が鳴る音)あぁ…。最近忙しくて、まともに飯食ってねえからなあ。まっ、とりあえず適当に食っとくか。」

(左馬刻の足音)
左馬刻「あぁ~かったりい。ちっとは骨のあるやつは居ねえのかよ。チーム全員でかかってきて俺様一人にやられるなんざ話になんねぇ。こうこっちばっか一方的にやってたんじゃ、弱いものいじめに見えるっつーの。(腹が鳴る音)……やっべ。腹減ったな。簓も居ねえし、一人でファミレスってのもだりいなあ。適当になんか食うか。」

(コンビニの入店を知らせる音)
左馬刻「ひとまずコンビニのパンでもいいから詰め込むか…。お。メロンパンが最後の一個だ、ラッキー。」
一郎「おぉ?ラスイチGet!」
(メロンパンの袋を掴む音)
左馬刻・一郎「「あ?」」
(不穏なBGM)
左馬刻(コッ……コイツは……)
一郎(この目つきの悪い野郎は……)
左馬刻(山田一郎ォ……!)
一郎(碧棺左馬刻……!)
左馬刻「おい。」
一郎「あぁん?!」
左馬刻「この手なんだよ?」
一郎「そういうテメエこそ。何なんだぁ?メロンパン欲しいのか」
左馬刻「バッカんなもん食うかよガキじゃあるめえし。」
一郎「あぁそうかそうかあ。じゃ何でテメエはメロンパンに手伸ばしてんだよッ!」
左馬刻「ちげーよ。おっ、俺は……そう、タバコを取ろうとして間違えただけだ」
一郎「はぁ?タバコはレジだろ。寝ぼけてんのかぁ?」
左馬刻「うっせえな、だから間違ったつってんだろ。おら、さっさとメロンパン持ってけよ」
一郎「おっ……俺だって別に…メロンパン買いに来たわけじゃねぇよ…」
左馬刻「じゃあなんだよ?」
一郎「え、ええと…えっと、あの、…そう!そ、そうだよ。あの、マガジンエッジの最新号を買いに来たんだ!」
左馬刻「あぁ、じゃあさっさと用事済ませて出るんだな」
一郎「あぁ、言われなくてもそうするわ!」

一郎(クッソ~……!アイツのせいで食い損ねちまった…。しょうがね、簡単に食えるモンっつったら……)
左馬刻(!あそこに行くか…)

一郎「何で…」
左馬刻「またテメエが居んだよ?」
一郎「それはこっちのセリフだ!まさか、ブクロ名物の前で会うとはな!」
左馬刻「ハッ。たまたまこっちに用があったんだよ」
一郎「奇遇だなあ!俺はあっちに用がある!」
左馬刻「オラどけよ。こっちはテメエみたいに暇じゃねえんだよ」
一郎「ほっ(笑)俺も急いでるんだ、テメエの相手なんかしてらんねえよ!」
一郎・左馬刻「「フンッ!」」
(二人の足音)

左馬刻(ボンバーたこ焼き……)
一郎(食い損ねた……!)
左馬刻(クソッ。この辺でメシが食えて、)
一郎(絶対アイツに会わなそうな場所っつったら…)

(流れるお湯の音)
左馬刻「あぁ~~生き返るわ~……」
左馬刻(風呂も入れて旨いメシも食えるんだから極楽だなあ。どれ、サウナにも入って、もうひと腹空かせておくか……)
(風呂から上がる音)

(サウナの扉を開ける音)
左馬刻(うわ。すげ~蒸気だな。お、先客か。よっこいせっと……お?)
一郎「はぁ~……」
左馬刻「……オイ。」
一郎「んだよ……」
左馬刻「何でまたオメーが居るんだよ…?」
一郎「テメエこそ何しに来たんだ?!」
左馬刻「見りゃわかんだろ、サウナだよ」
一郎「ここの温度110℃だぞ?さっさと出た方が良いんじゃないっすかぁ?!」
左馬刻「いやめちゃくちゃ適温じゃねえか。極楽だわ(笑)」
一郎「汗だくで何言ってんだかぁ(笑)」
左馬刻「テメエだって汗がナイアガラだぜ。早めに水風呂にでも飛び込んできた方が良いんじゃねえかぁ?」
一郎「ハッ。まだまだだねぇ。」
左馬刻「ガマンすんなよ(笑)。オラ、下の方座っていいんだぜ?」
一郎「テメエこそ……座るとこ間違ってんじゃねぇかあ?上はサウナ上級者向けだ」
左馬刻「ハッハッハ!こんなん、超余裕だぜ……」
一郎「おっかしいなぁ~?ここサウナなのに、涼しいぜぇ?」
左馬刻「ハハ。適温つったのちょっと盛ったわ。寒いぐらいだわ!アッハッハ!」
一郎「空気がうめぇ~!」
左馬刻「あぁ~ダウン着てえわ~!」
一郎・左馬刻「「ハハハハ………」」

一郎(はぁ…あ~~~……完全にのぼせた……)
左馬刻(ッ……クッソ……頭がクラクラしやがる……)
一郎(またメシも食えなかったし……)
左馬刻(今度こそ…)
一郎・左馬刻((ヤツに会わないところへ!!))

(軽快なBGM)
一郎(そうそう!ココ、ココ!意外と穴場のグルメスポット。特に、本格カレーの店のナンがうまいんだよな~!他にも、ホットドッグ、焼きそば、うどん、ハンバーガー、ピザ、ソフトクリーム……選び放題だ!………フッ。こういうとこ、アイツらも連れてきてやりたいな。今はまだ無理だけど、いつかは……)
左馬刻「……オイ、嘘だろ」
一郎「ん?……ハッ?!な、何でまた居やがんだぁ?!」
左馬刻「おっま……一人で遊園地とか寂しいにも程があんだろ!」
一郎「テメエも一人で来てんだろ!」
左馬刻「いや?俺はそのっ、下見だ下見!」
一郎「はぁ~?なんのぉ?!」
左馬刻「今度妹を連れてきてやるための、だ」
一郎「妹…」
左馬刻「……ンだその目は」
一郎「や、いや……。別に?」
左馬刻「言いたいことがあんならハッキリ言えやコラ。」
一郎「なんでもねえよ。妹想いなんだなって思っただけで」
左馬刻「………兄貴なんて、そんなもんだろ」
一郎「……まぁ、そうだな」
左馬刻「……オメエは?何しに来てんだよ」
一郎「アンタと同じだよ。」
左馬刻「……そうか。にしても俺が行くとこ行くとこに現れやがって!」
一郎「そりゃお互い様でしょ!」
左馬刻(こんだけ同じ場所に来ちまうってことは……)
一郎(実は、俺ら結構、似た者同士…?)
左馬刻(いやいやいや、)
一郎・左馬刻((んなワケねえだろ!!!!))
左馬刻「じゃ、下見も済んだし俺は帰るわ」
一郎「あー俺も。」
左馬刻「じゃあな。次会う時は、」
一郎「バトルだな」
(二人の腹が鳴る音)
左馬刻(はぁ、結局あちこち行って)
一郎(疲れただけで)
左馬刻・一郎((腹減ったぁ~…!!))

〇Buster Bros!!

一郎「んだよ、騒がしいな。人が折角楽しみにしてたラノベの新刊読んでる時によお…」
(扉が開く音)
二郎「兄ちゃん!新しいチームを組むんだって?俺をそのチームに入れてくれよ!」
三郎「一兄、読書中にごめんなさい。新しいチーム、二郎みたいな低能組んだら、一兄の威光に汚泥と傷がついてしまいますよ!っだから僕を、ぜひ同じチームに入れてください!僕なら一兄の名前を、さらに大きくできますよ!」
二郎「三郎ォ!てめっ、だぁれが低能だぁ?もっかい言ってみろや!!!」
三郎「何度でも言ってやるさ。二郎。お前が低能だ。そもそもすぐに人の胸倉掴んだりするあたりが、低能の証左と言わざるを得ないね~」
二郎「てんめえ……表出ろや。そのひん曲がった根性、一兄の代わりに矯正してやんよ!!」
三郎「は~ぁ…やれやれ。一兄、少々お待ちください!この低能に、無駄に年だけ重ねた己の愚かさをわからせに行ってきますので!」
一郎「あぁ!うるせぇな!兄弟仲良くしろって言ってんだろうがよ。それに、お前らを同じチームに入れる気はねえよ。」
二郎・三郎「「えぇっ!?どうして!?」」
一郎「お前らが考えてるほどヒプノシスマイクを使ったバトルは簡単じゃねんだよ」
二郎・三郎「「ッでも、」」
(一郎の携帯が鳴る音)
一郎「ハァ。……電話出るから静かにしてろ。……もしもし。おぉ~!久しぶりだなあ、乱数。元気してっか?ハッハッハ!相変わらずだなあ。で?なんか俺に用があんのか?」
二郎「……テメエみてえな中坊が兄ちゃんのサポートできるわけねえだろ。兄ちゃんはお前が居るからああやって拒否してんだよ。兄ちゃんは優しいから、ガキのお前を心配して気を遣ってんだ」
三郎「はぁ~…。やれやれ、低能もここまで極まるとため息しか出てこなくなるとは。一兄は優しいから、お前みたいに出来の悪い愚弟のことを心配して断ってきてんだよ!」
一郎「じゃあな。……って、言ってるそばから揉めてんじゃねーよ、お前ら。俺の話聞けって。」
二郎「だ、だって……兄ちゃん……」
三郎「け、けど、一兄……」
一郎「二郎。三郎。テメエら、俺の前で『だって』とか『けど』なんて、カマ野郎みたいなセリフ吐いてんじゃねえよ。」
二郎・三郎「「っ…!」」
一郎「だいたいお前らは、(携帯が鳴る音)……もしもし。今日は珍しいヤツから電話がかかってくる日だな。……ああいやっ!なんでもないっす。こっちの話です。久しぶりっすね、寂雷さん。どうしたんすか?……はい。」
三郎「……お前のせいで、一兄に怒られちゃったじゃないか!僕に謝罪してもらっていいかなぁ?」
二郎「あぁ?何で俺が謝らなきゃなんねんだよ!!謝るのはテメエの方だ三郎ォ!!!」
三郎「静かにしてくれないかなぁ??一兄電話中なんだから!ほんっとバカはすぐに怒鳴るから始末に負えないよ……」
二郎「そこまで上等切ったんだ、ブチのめされても文句は言えねえよなあ?!」
三郎「はぁ~~!(笑)三下の常套句をここまで見事に言うなんて、失笑を禁じ得ないねえ?」
二郎「……ぶっ飛ばす!!!」
三郎「かかってこいよ!!!!」
二郎・三郎「「うっ!」」
一郎「お前ら、いい加減にしろ!!」
二郎「っ……痛いよ、兄ちゃん……」
三郎「うう…一兄、ひどいよ…」
一郎「……。そんなに俺とチーム組みたいのか?」
二郎・三郎「「もちろん!!」」
一郎「なら、お前らを試してやる。」
二郎・三郎「「なんでもやるよ!!」」
一郎「うし。なら、今二つ依頼が入ったから、それをお前らにやってもらう。」
三郎「どんな依頼なんですか?」
二郎「これだから中坊は!兄ちゃんが言うことは絶対なんだよ。聞くんじゃなくて、言われたことを素直にやってれば問題ねーよ!!!」
一郎「黙ってろ二郎。俺を信頼してくれてるのは嬉しいが、盲目的になるんじゃねえって何度も言わせるな」
二郎「あぁ…ごめんよ、兄ちゃん……」
三郎「あっはは!!ばーかばーか!!怒られてやんのー!」
一郎「三郎!!お前もだ。兄貴は敬えって何度言えばわかるんだ」
三郎「ご、ごめん一兄…。」
一郎「はぁ……。お前らにやってもらうのは、前に俺とチームを組んでた飴村乱数と神宮寺寂雷さんの依頼だ」
二郎・三郎「「元The Dirty Dawgの!?」」
一郎「あぁそうだ。二郎にやってもらいたいのは、寂雷さんの依頼で、知人がストーカーに悩まされていて、そのストーカー女の場所を突き止めてほしいってことだ。コレが、寂雷さんから来た資料だ。これをもとに取り掛かってくれ」
二郎「うんっ!わかったよ、兄ちゃん!」
一郎「頼んだぞ。三郎にやってもらいたいのは、乱数からの依頼で、『夢野幻太郎』という人物について調べてもらいたいそうだ。これが資料。」
三郎「っ!一兄、任せてください!必ずご期待に沿えるようにしますっ!」
一郎「ハハッ。おう!頼んだぞ。この依頼を完遂できたら、少しは同じチームにすること考えてやるよ」
二郎・三郎「「!!!行ってきます!!!」」
(部屋を出ていく音)
一郎(奴らの依頼だ。どうせヤバいもんに違いない。きっと二人とも、依頼を完遂できずに泣きついてくるだろう。これで諦めてくれればいいけど……)

(扉が開く音)
二郎「兄ちゃん!寂雷さんが探しているストーカー女の居場所、わかったよ!!」
三郎「一兄!乱数さんが知りたがっていた『夢野幻太郎』のこと、わかったよ!」
一郎「……マジで?」
二郎「……俺のが、早かったよね?」
三郎「!!っ…僕のが、早いですよね?」
一郎「……まだ1日しか経ってないのに、もう終わったのか?」
二郎・三郎「「うん!」」
一郎「……とりあえず、報告を聞かせてもらおう。まずは二郎。」
二郎「探していたストーカー女は、なかなかヤバイヤツだったよ。なんでも、新宿歌舞伎町のホストを包丁で刺して、警察に追われているらしい。そのストーカー女は、いろいろな場所を逃げ回っていて、探すのに苦労したよ…。シンジュク・ディビジョンの外れにある安ホテルの、1010号室に居るって話。」
一郎「警察に追われてるヤツをよく見つけたな!」
二郎「もちろん!だって俺は、兄ちゃんの弟だからねっ。兄ちゃんみたいに、ダチは多くないけど……それでも頑張って、兄ちゃんみたいに、各ディビジョンにダチを作ってたんだ。で、シンジュク・ディビジョンに居る情報屋をやってる半グレのヤツを頼って探し出したよ」
一郎「ははは!二郎、すげーな!」
二郎「っえへへ……」
三郎「んー……一兄!報告していいかな?」
一郎「おう。頼む」
三郎「これが、夢野幻太郎をまとめた資料になります。」
一郎「……マジかよ。一日でよくここまで詳しく調べられたな」
三郎「っ別に、これぐらいなんてこと無いですよ!とある裏サイトで情報を収集して、最後にその裏を取るために、夢野幻太郎の関係者に会って、情報の正確さを確認しましたので!間違いないです!」
一郎「一通り目を通したが、綺麗に要点がまとめられててわかりやすい。」
三郎「…あの、頭……あ……ありがとう、ございます!」
一郎「三郎!すげぇなあ!」
三郎「っ!えへへ…」
一郎「早速この情報を二人に渡してくるから、少し待っててくれ!」
(部屋を出ていく音)
二郎「……まっ!俺の依頼の難易度の方が高かったから?俺の勝ちは決定だな」
三郎「笑える冗談だねえ。どう考えても僕の勝ちだろ。あの資料を見れば一目瞭然だね。二郎、お前は口頭で終わらせているが、僕は資料をちゃんと作ってまとめている。仕事ならばどちらを評価するなんてわかりきってるだろう?」
二郎「ッハ!自信ない奴ほどよく喋るってのはまさに今のお前のことだな!俺に負けるのが怖くてベラベラ喋ってんだよなぁ!」
三郎「ぐっ……。っはははは!!(拍手)そこまで勘違いしてるなんて逆に称賛モノだ二郎。拍手してあげるよ」
二郎「っハハハ…。(拍手)三郎ォ、中坊のくせに精一杯虚勢を張るなんてスゲエじゃねえかぁ!褒めてやんよォ………」
三郎「………フフフフ……(拍手)」
二郎「ハハハ……(拍手)」
(ガチャ)
一郎「おぉ!?良いじゃねーか。お互いの健闘を称え合って拍手してんのか。兄弟はやっぱこうじゃねーとな!」
二郎・三郎「「っ!!」」
一郎「お前ら。知らねえ間にだいぶ成長してたんだな。さすがは俺の弟たちだ!」
三郎「ッ……お褒めの言葉、光栄です。聞くまでもないことですが、僕と二郎、どちらの勝ちですか?」
二郎「兄ちゃん!もちろん、俺だよな!?」
一郎「……。勝ち負けぇ?んなモンねーぞ?」
二郎・三郎「「……えっ!?」」
一郎「俺は、お前たちを試させてもらうとは言ったが、勝負をするなんて言ってねーだろ。」
二郎「じゃ、じゃあ……俺たちのうち、どちらかをチームに入れてくれるって話じゃ…」
一郎「あぁ。そうだな。この依頼でどうこうするつもりはなかった。ただまぁ、」
三郎「……ただまぁ?」
一郎「正直、予想外だった。俺は二人が依頼を達成できないと思ってたからな。だが、お前たちはすげースピードで達成した。」
二郎「ッへへ…」
三郎「…!」
一郎「だから俺も、お前たちの本気には本気で応えないといけないよな。……ほらよ。」
二郎「……ええっと…兄ちゃん、このマイクは…?」
一郎「お前ら二人のスキルを、俺に見せてくれ」
二郎「…!」
三郎「わかったよ、一兄!まずは僕からやらせてもらうよ!!」
~三郎ラップ~
一郎「いいじゃねえか!三郎らしいリリックで。」
二郎「次は俺のヤツを聞いてよ、兄ちゃん!!」
~二郎ラップ~
一郎「力強えフローと、キレのあるライムで驚いたぜ!」
二郎「えへへ…」
一郎「確かにお前らのラップは、一定以上のモノだっつーのは理解した。だが、お前たちが思ってる以上に、代表チーム同士のヒプノシスマイクを使ったバトルは優しくない。今から俺のライプをヒプノシスマイクを使ってやるから、それに耐えきったら、俺からチームに誘わせてもらう」
二郎・三郎「「ッ……はい!!」」
ヒプノシスマイク起動音)
~一郎ラップ~
二郎「うっ……!」
三郎「ううっ…!!」
二郎(さすが……兄ちゃん……俺たちのことを考えて力を抜いても……この威力だからな……)
三郎(一兄はやっぱ凄いや…!!けど……だからこそ僕は……!一兄と並ぶ男になりたいんだ!!)

一郎(やっぱりまだ早かったか……ッ!!)
二郎「ギリギリ……戻って、来たよ……」
三郎「ッ…僕は、一兄と並び立つ男に、なるんだ……」
一郎「…ハハハハハ!!」
二郎「こ、これで……」
三郎「チームに、入れてくれる?」
一郎「いや、ダメだ」
二郎・三郎「「っ…!」」
一郎「言っただろ。耐えきったら、俺の方から誘わせてもらうって。」
二郎・三郎「「!!!」」
一郎「二郎、三郎。どうか俺とチームを組んでくれ。そんで世界を、俺たち兄弟で変えてやろうぜ!!」
二郎・三郎「「よろしくお願いします!!!」」


三郎「一兄、アニメ見てる時に申し訳ないんですけど、すごく面白そうなボードゲーム見つけたから、一緒にやってくれませんか?!」
二郎「さぁぶろォ!!!!今兄ちゃんとアニメ見てっからジャマすんじゃねーよ!!そんなん中坊のダチとやってろや!!……ああ!そうかお前、性格悪いからダチ居ねんだったなあ!ッハハ!!」
三郎「チッ……二郎。お前には言ってないから黙れよ!!!」
二郎「あぁ?てんめえ、兄貴に対してその口の利き方はねぇだろ!!」
三郎「アニキィ??ここに兄とい敬える人物は一兄以外に見当たらないんだけど、誰を指してそんなこと言ってるのぉ?」
二郎「てめえ……」

二郎「痛いよ、兄ちゃん…」
三郎「一兄、痛いです…」
一郎「はぁ……。お前ら、何度も何度も兄弟仲良くやれって言ってんだろ。何がお互い不満なんだ」
二郎・三郎「「コイツの全てが気にくわない!!!」」
一郎「……ちょうどいい機会だ。三郎が持ってきたボードゲームを三人でやろうか」
二郎「にーちゃん、まだアニメ途中じゃん!せっかく一緒に見てたのに」
一郎「アニメはいつでも見れるだろ?」
三郎「……僕は一兄と二人で遊ぼうと…」
一郎「ゲームはみんなでやった方がおもしれーだろ?それとも、それは二人用なのか?」
三郎「違うけどさ…」
一郎「うしっ!なら三人でそのゲームをやろうぜ!」
二郎「兄ちゃんが決めたなら…」
三郎「一兄がそう言うのであれば…」
一郎「ボードゲームなんて久しぶりだなぁ。三郎、どんなゲームなんだ?」
三郎「『人生大逆転ゲーム』って言って、最初に配られるカードに書いてある借金を背負ってスタートするんだ!」
一郎「へぇー。ってことは、その借金をどうやって返していくかってゲームか」
三郎「うん!基本はそうなんだけど、このゲームの楽しみ方は他にも…」
二郎「こまけーことはやりながらで良いっしょ。とりあえず早くやろうぜ!!」
三郎「ッ……。そうだね!そんなに複雑なゲームでもないし、やりながらでも全然問題無いから、始めちゃおっか」
一郎「だな。」
三郎「僕が皆にカードを配るよ!……僕は、五千万の借金スタートだから、まずまずかなぁ!」
二郎「おい三郎ォ…お前なんかイカサマしたんじゃねえだろうなぁ?俺の借金10億って書いてあんぞ!!」
三郎「………ゲームでイカサマは絶対にしないって、知ってるだろ?」
二郎「……そういや、そうだったな…」
一郎「ハハハッ!二郎、10億くらいどうってことねえだろう!俺なんか、100億だぜ!!!」
二郎「100億ぅ?!?!兄ちゃん、ヤバいの引いたね…」
三郎「一兄運が悪いねぇ…このゲームの中で1枚しか入っていない奴を引き当てるなんて。けど!勝負は勝負だから、手を抜かないよ?」
一郎「手なんか抜いたらぶっ飛ばすぜ?三郎。」

二郎「っへへ、やーりぃ!FXで6億の大儲け!!これでほぼほぼ借金返済だぜ!!」
一郎「やるじゃん二郎。俺はまだ45億くらい借金あるけど、負けてらんねえな!」
二郎「さっすが兄ちゃんだよ。あれだけあった借金をもう半分以下にしてるし!」
三郎「ふっふふ……。よくぞそのマスに止まってくれた、二郎」
二郎「あぁ…?なんだよ。」
三郎「トラップカード発動!!!このカードはFXマスに止まり儲けた者が対象!!対象者はFXに味を占めのめりこみ大損することに!!借金200億円を背負う!!!あっはは~~!!二郎、残念だったなぁ!お前は200億の借金を背負うんだよ!」
二郎「な、なにぃ~~~~~~~~~~~!?!?!↑」
一郎「おっ。土地を転がして10億の儲け。ぃよしっ!着実に借金減らしてるな!」
二郎「ッ…。兄ちゃんならどんな逆境でもくじけない…!だから俺も、こんなことで諦めないっ!!」
三郎「あっははは!!無駄だ、諦めろ。200億はこのタイミングでは返せないだろう?」
二郎「こいッ!!起死回生の切り札ァ!!……!!!この、カードは……!!!」
三郎「今更どんなカードを引いてもお前の負け、は……なッ…何だとぉ…!?」
一郎「なになに?『100億以上の借金がある者がこのカードを使用した場合、指定したプレイヤーに半分の借金を押し付けることができる』…!へえ。すげえ効果のカードだなぁ。で?俺か三郎、どっちにすんだ?」
二郎「フッ…ハッハハ!!もちろん!!半分負うのは三郎!!テメエだ~~!!!」
三郎「ま、まさか……!ヤマに一枚しか入ってないそのカードを引くとは…!」
二郎「ハッハハハ~~!お前と俺、条件はほぼ一緒だな!!!」
三郎「ッッ。お前だけには…絶対に負けないぞ!!!」

一郎「いや~、このゲームなかなか面白かったなぁ!」
二郎「クソが……」
三郎「納得できない……」
一郎「俺が一位で、まさかお前らが全く同じ金額の借金で引き分けるとはなぁ!」
三郎「もう一度勝負だ、二郎!お前と引き分けなんて僕の経歴に傷がつく!!」
二郎「おもしれえ、受けて立つぜ!!!」
三郎「ッ、次はお前が配れよ!!!」
二郎「あ~わかったよ!!!!」
一郎(なんだかんだでコイツら、めちゃくちゃ仲いいんだよなぁ)


〇MAD TRIGGER CREW ~BAYSIDE M.T.C.

警官「また例のヤツが豚箱に入ってて、銃兎さんを出せって言ってますよ」
銃兎「……。やれやれ、大分気に入られてしまったみたいですねえ。この後行くところがあったんですが……。」
警官「毎回毎回、ご苦労様です」
銃兎「これも仕事ですからね。では、ちょっと行ってきますよ」

銃兎「呼び出す手間が省けたな…」

左馬刻「よーお、悪徳警官。元気してっかぁ?」
銃兎「(タバコに火をつける)……その悪徳警官に世話になってるのは誰だよ、このボンクラが」
左馬刻「ッハハ……まぁそうカリカリすんなって。とりあえず俺にも一本くれよ」
(タバコを渡す音)
左馬刻「(タバコを吸って)やっと一息できたぜ…」
銃兎「……で?今日は何やらかしたんだ?」
左馬刻「ちょっと気にくわねえヤツが居たからチラッとヤキ入れてやったんだけどよぉ。筋モンのくせにサツなんか呼びやがってな。んで、このザマよ」
銃兎「……はあ。このバカはいつまでもそんなチンピラみたいなことを……。」
左馬刻「んじゃあ銃兎、いつも通り宜しく頼むわ」
銃兎「チッ。簡単に言ってくれやがる。出してやっから、この後俺に付き合え」
左馬刻「へーへー…」
(電話をかける音)
銃兎「もしもし、入間です。4号室の容疑者、証拠不十分で釈放します。……えぇ?急すぎる?アッハハ。つまり私の言うことが聞けないということですか。…ふぅん?………あまり言いたくはないですが、誰が誰の横領をもみ消してさしあげたのかお忘れになられたということで?なるほどなるほど。それでは、私が持っている証拠を公にして、思い出させてあげましょうか?ッハハ、理解していただき、感謝します。それでは、失礼いたします」
左馬刻「……ひーでえ野郎だ。人を強請るとか警察官の風上にも置けねえなあ」
銃兎「……もう一回豚箱にぶち込んでもいいんだぞ?」
左馬刻「ハッハッハ!冗談をすぐに真に受けんじゃねえよ、バーカ」
銃兎「チッ……うるっせえな。ほら、行くぞ」

(車内)
左馬刻「……んで?俺様を連れてどこまでドライブすんだ?」
銃兎「港近くにある森の中だ。」
左馬刻「あぁ?んなトコに何しに……」
銃兎「お前がチームのラスト一人を決めないから、俺が見つけてやったんだよ。それで、今からソイツに会いに行く」
左馬刻「……へーえ?」
銃兎「へえって、お前なあ。そろそろ決めないと、テリトリーバトルに間に合わねえぞ。そんなことになったら、適当なヤツをチームに入れなきゃならなくなる」
左馬刻「銃兎よお。確かに時間ねえけど適当なヤツ入れるくらいなら俺とお前で出た方がクソほどマシだわ」
銃兎「そうは言うけど、イケブクロの山田一郎のチームに俺ら二人で挑むのは無謀だ、っく……!!バカ、やめっ……!!」
左馬刻「てめえ、俺があのクソ野郎よりも劣るって、そう言ってんのかよ」
銃兎「ぐっ、ッは……!離せ!事故っちまう!」
左馬刻「うるせえ。俺は一人でも一郎のクソカスチームに勝てんだよ」
銃兎「ッ、離せっつってんだろうがこの野郎!!」
左馬刻「銃兎、次またクソみてえなこと言いやがったら比喩抜きでぶっ殺す」
銃兎「チッ……」
銃兎(山田一郎のことになると、見境なくなるの何とかしろよ!)
銃兎「フン。お前のスキルが常軌を逸してるのは理解するが、それでもチームメンバーのうち、一人がどうしようもないゴミクズ野郎だとチーム戦が不利になる。それは左馬刻だって理解してるだろ?それとも、負けてもいいのか?」
左馬刻「負けるなら死んだ方がマシだ」
銃兎「なら、真剣に仲間探しに協力してくれ」
左馬刻「今から会いに行くやつが使えねえカスだったら、銃兎。お前も一緒にぶっ飛ばすかんな」
銃兎「フフ。ああ、それは心配するな。面白くて使えそうってことは、俺が保証するからよ」
左馬刻「妙な自信だな」
銃兎「なんせ、ソイツは軍人だからな」
左馬刻「軍人?今の日本の軍隊は解体されてんだろ」
銃兎「ソイツは軍が解体されても、軍の復活を信じて、サバイバル生活をしてるんだよ」
左馬刻「なんだそりゃ?」
銃兎「普通そうなるな。最近ソイツのことを知ってな、一回会いに行ったが……かなり変な奴で、最後の一人はコイツしか居ないと思ったね」
左馬刻「フン、どーだかな。」
銃兎「それに。ヤツはヒプノシスマイクを持ってる」
左馬刻「……違法マイクか」
銃兎「いや?違法じゃない」
左馬刻「……あぁ?ならサツの持ってるヒプノシスマイクをパクったのか?」
銃兎「それも違う。」
左馬刻「なら何なんだよ」
銃兎「ヤツが持ってるのは以前、まだ軍隊があった時に作られた『ヒプノシスマイク プロトタイプ』だ」
左馬刻「プロトタイプゥ?」
銃兎「ああ。軍用にカスタマイズされたものだから、俺やお前が持っているものよりも精神干渉が強い」
左馬刻「っへ。面白え。どんなもんか試してやんよ」
銃兎「はあ。揉め事は起こさないでくれよ?」
左馬刻「それは向こうの出方次第だなァ…」

左馬刻「こんな獣道の奥に住んでるとか、正気とは思えねえ」
銃兎「もう少しだ。」
左馬刻「……お。あそこか!」
銃兎「ッ!お、おいっ!ちょっと待てって!お前から先に行かれたら、警戒されっ…」
左馬刻「……あぁ?誰も居ねえじゃねーかよ」
銃兎「……いや。ここにある食べ物はまだ温かい。と、いうことは……」
理鶯『動くな。貴様らは既に、小官の術中に嵌っている。痛い目を見たくなければ、動かないことだ』
左馬刻「あぁ?いきなりなんだテメーは。こちとらわざわざこんな辺鄙なところまで会いに来てやってんだろうがよ。姿見せやがれ、ぶっ殺してやっから」
理鶯『ぶっ殺すと言われて素直に出ていくバカがどこに居る?その言葉は、敵対行動アリと見ていいのか?』
左馬刻「上等だよ。敵対行動もクソもねえ、お前はすぐにぶっ殺してやんよ」
理鶯『……愚かな。ならば小官を殺してみたまえ。出来るのならば、だがね』
銃兎「ッおい左馬刻!少し落ち着け!理鶯!俺だ俺!この間、連れてきたいヤツが居るって言っただろ!」
左馬刻「るっっせえ!!!アイツは必ずぶっ殺す!!!」
理鶯『銃兎か。連れてきたいと言ったのは、その突破者か。ソイツとは相容れそうにない』
左馬刻「ッなんだこのクソロープ!!」
理鶯「あまり出来もしないことを口にしないことだ。愚かさが際立つからな」
左馬刻「ックソが……コイツで思い知らせてやる……」
銃兎「っっおい!左馬刻!やめろ!ヒプノシスマイクをしまえ!!」
(ロープが切られる音)
左馬刻「っ!?うわああ!!(地面に落下する音)」
銃兎「っ左馬刻!」
左馬刻「……痛ってえ…」
理鶯「……さて。(拳を鳴らして)お引き取り願おうか。小官はこれから食事なのでね」
銃兎「理鶯…!少し話を聞いてくれ!」
左馬刻「そんな温ィこと言ってんじゃねーぞ銃兎ォ!!!!」
ヒプノシスマイク起動音)
理鶯「小官に降りかかる火の粉は全て排除する」
ヒプノシスマイク起動音)
左馬刻「っはは。おもしれえ。それが軍用に作られたヒプノシスマイクか」
銃兎「……はぁ。もう知らん」
~左馬刻ラップ~
理鶯「ぐあッ…!!……さすがは元The Dirty Dawgのメンバーというところか。なんて無秩序で、暴力的なリリックだ……」
左馬刻「ハッハ!もう終わりかぁ?口ほどにもねえな。」
銃兎「……。左馬刻のリリックを受けて意識を刈り取られないとは、やっぱり俺の目に狂いは無かったな。……あん?今奥の方に人が居なかったか…?」
~理鶯ラップ~
左馬刻「ッ!……。ッヘヘ、おもしれえ。久しぶりにイイやつ食らっちまったぜ」
銃兎「ッおい!!!お前ら囲まれてるぞ!!」
左馬刻「じゅーとぉ。今面白がってるところだから邪魔すんじゃねーよ!!」
モブ「でーーーーーっへっへえ!!ひーーーーーーーーーーひっひ!!!!!なんか知らねえけど、理鶯のヤツ、くたばりかけてるじゃねえかぁ!!!!」
モブ「今日こそはテメーの持ってるヒプノシスマイクを貰うぜぇ?」
左馬刻「……んだこの間抜け面どもはよぉ…」
理鶯「コイツらは小官のヒプノシスマイクを狙っている奴らだ」
左馬刻「スキルと精神力ねえやつが使いこなせもしねえのに、何で欲しがんだよ」
銃兎「現行のヒプノシスマイクですら、裏ではかなりの額で取引されているが、プロトタイプはその数倍値段がついているらしい」
理鶯「お前たちは関係ないから逃げろ」
銃兎「お前はバカか?ポリ公の俺が逃げたら、いい笑いモンだっつの。……左馬刻、俺が時間稼ぐから、回復したら手伝え」
ヒプノシスマイク起動音)
左馬刻「あぁ?舐めんじゃねえぞ。こんくらいどうってことねえ」
ヒプノシスマイク起動音)
理鶯「……すまない。」
モブ「ひゃっはっは!たった三人でなぁにができんだよ!!」
モブ「おい!あそこに居るの、元The Dirty Dawgの碧棺左馬刻じゃねえか?!」
モブ「なーにビビってんだザコども!!!人数で圧倒してんだぁ!!負けるわけねェだろ!!!行くぞ!!」
~3人ラップ~
モブ「うわ~っ」
左馬刻「ハッハッハ。有象無象どもがいくら群れても話になんねんだよ。」
銃兎「お前ら全員しょっぴくから覚悟しろよ」
理鶯「軍人に喧嘩を売ったんだ。五体満足で帰れないと思え」


左馬刻「………口ほどにも無え連中だったな」
銃兎「至急応援願います。強盗を大量に逮捕したので……~」
理鶯「…借りを作ってしまったな」
左馬刻「借りだあ?ンなもんねーよ。久しぶりに骨のあるやつとバトルできて面白かったから。気にすんじゃねえよ」
理鶯「…」
左馬刻「それよりお前。俺たちとチーム組まねえか?お前くらいのタマじゃねえと組む価値ねえから」
理鶯「………、それでこの借りが返せるのならば、喜んで力を貸そう」
銃兎「色々あったが、概ね予想通りになったな」
左馬刻「…うしっ!んなら一緒にこのクソッタレな世界を変えようぜ……理鶯」


左馬刻「…理鶯の野郎、メシを食わせるとか言ってたが……。まさかテメェのキャンプ地でとは思わなかったぜ」
銃兎「ま、こういった趣向もたまには一興じゃないが?こうでもしないと、外でメシなんて食べないからな」
左馬刻「まあな。…けどアイツがいる所遠すぎだろ!森に入ってもう1時間くらい歩いてるぞ」
銃兎「メシ前のいい運動だと思えばいいだろ。腹減っていた方が美味いもんだ、メシは」
左馬刻「はっ。」
銃兎「!見えてきた」
左馬刻「…これで不味かったらあの野郎ぶっ飛ばしてやんよ」

左馬刻「よお理鶯。こんなクソ辺鄙なとこまでわざわざ来てやったぞ」
銃兎「うーん。いい匂いですねえ。相当歩いたんで、お腹ペコペコですよ」
理鶯「遠いところはるばるすまない。貴殿らには世話になったので、食事でも馳走したくてな。」
左馬刻「…へーえ。こんな外でもちゃんとしたメシっぽくなってんじゃんかよ」
理鶯「小官にとって料理は、趣味と実益を兼ね備えている。今日のために、小官の持てる技術をふんだんに駆使して食材を捕獲した。」
銃兎「…ん?!捕獲……?!」
左馬刻「あー腹減った!早速食わせてもらうぜ」
理鶯「ああ。堪能してくれ」
左馬刻「(もぐもぐ)…おおお!!うめぇじゃん!!」
銃兎「どれどれ、私も頂きますかねえ。ん、………あぁ、なるほど。確かにクリーミーで美味ですね。銃兎(……んーしかし、このコリコリとした食感は何だろう?こっちは、うーん……うまい。美味いが、これはカニ味噌っぽい味だけど、カニ味噌と決定的に違う気が……)
左馬刻「んん、理鶯!やるじゃねえか!うめぇよ!この二つのメシは何なんだ?…あんまし食ったこととねえ味だが……」
理鶯「口に合ったようで安心した。今食べてもらっているのは、このカミキリムシのスープで、もうひとつが、このタランチュラの丸揚げだ」
左馬刻・銃兎「「ぶはっ!!!!!」」
理鶯「タランチュラは食べやすいように、身の部分だけを取り出しておいた。………こいつを手に入れるのは苦労した。何日か湊に張り込み、海外の荷物に紛れ込んだヤツらを捕獲したからな。」
銃兎「……た、タランチュラとか…食べても、大丈夫……なんですか!?」
理鶯「ん?もちろん。海外では割と、ポピュラーな食材だぞ?」
左馬刻「うぅえ…芋虫みてえなのはまだいいが、タランチュラはやべえだろ……!!!」
理鶯「今日のメインはこいつらだ。まるまる太ったネズミと蛇。それに、カラスの姿焼きだ。塩を振って食うと、素材本来の持ち味が堪能できるぞ」
左馬刻「ッッ、なんてグロい見た目してやがんだ……」
銃兎「うおえっ!!」
理鶯「貴殿らのために良い個体を探すのに手こずったが、こうして最高の食材を提供できたのは僥倖だ。」
左馬刻「おいおいおい……!あいつめちゃくちゃ嬉しそうじゃねえか!!これ食わねえとぜってえ帰れねえやつじゃんかよ……!」
銃兎「……左馬刻。今までの俺に対する借りを全部チャラにしてやるから、俺の分まで食べてくれ……ゲテモノ、本気で無理なんだ…!」
左馬刻「この卑怯もんがよぉ……。今借りがどうとかって関係ねえだろ!俺様だって嫌に決まってんだろうが!」
理鶯「さあ、焼けたぞ。熱いうちに食べてくれ」
銃兎「ッ……クソが……やるしか……ねえか……!」
左馬刻「銃兎……てめえも男なら腹括れや……!」
銃兎「クッ、なぜ……こんなことで私は、追い詰められているのだ……!」
(2人が料理をかきこむ音)
左馬刻「ううっ…気持ちわり。味は悪くねえけど、見た目がやべえよアレ……」
銃兎「っ!!まだ、口の中にネズミの肉の感触が残ってる…。うっ……」
左馬刻「……気持ちは嬉しいが、もうあいつのメシは二度と食いたくねえな……」
銃兎「ああ、肝に銘じておこう」


〇Fling Posse-F.P.S.M-

乱数「ふんふんふんふんふーん♪」
モブ女「乱数ちゃーん!また私とあそんでねー!」
乱数「あっはは、また誘うよ」
モブ女「あーん、私とも遊んでくれないと、拗ねちゃうぞ?」
乱数「おねーさんが拗ねたら、ボク泣いちゃうかも~。えーん!」
モブ女「乱数くぅん、こないだは最高だったわぁ♡」
乱数「僕も楽しかった!またごはん行こーねっ、オネーサン☆」
女「「「きゃー♡♡」」」
乱数「あはは!ボク急いでるから、みんなまたねー!」

乱数「とーちゃっく!どこかなあ~……あっ!いたいたぁ!」
幻太郎「はて、小生に一体何用で?」
乱数「初めましてー!ボク、飴村乱数って言いますっ!小説家の夢野幻太郎先生ですよねー?」
幻太郎「ユメノゲンタ…ロウ?余はそのようなけったいな名前ではない。人違いじゃなかろうか?」
乱数「っへへーん。ここに著者近影が載ってるから誤魔化せないよぉ?」
幻太郎「ああ、それか。夢野幻太郎は余の友人で、代わりに著者近影に出てくれと頼まれて、仕方なくね」
乱数「噂通りの嘘つきだねえ。けどダメだよ!ぜんっぜん、ダメダメだよー!ボクにはお見通しだかんねっ」
幻太郎「ほう?何がお見通しなのか、ぜひ聞かせてくれ給へ」
乱数「じゃーんっ!!僕は今から、このヒプノシスマイクで幻太郎生生に真実を話させるリリックを聞かせちゃうからね?知ってると思うけど、このマイクから聞こえる音は精神に作用するから……ウソはつけないよっ☆」
幻太郎「ふう。わかったわかった。さっきのは全部嘘さ。僕が夢野幻太郎で間違いないよ。…………それで?元The Dirty Dawgのeasy Rが、この僕になんの用なんだい?」
乱数「ボクと一緒に、チーム組もうよ!」
幻太郎「……は?何だって?」
乱数「この世界を面白くしよっ?」
幻太郎「色々と聞きたいことはあるけど……ひとまずなんで僕なんだい?」
乱数「ええっ?!そんなの決まってるよ!夢野先生……あっ!もう幻太郎って呼んでいいよね?良いよねえ?」
幻太郎「お好きなように。」
乱数「幻太郎が、シブヤ・ディビジョンの中で僕が面白いと思った2人のうちの1人だからだよっ☆」
幻太郎「どうして面白いと?」
乱数「あんまり意味の無い嘘を吐き続けている所とか、サイッコーだよねぇ☆」
幻太郎「あっはは。小生が口から出す言葉の殆どは嘘でございますよ?そんな卑賤な男を信じられるわけがないではあ、」
乱数「けど、幻太郎のそれは嘘っていうよりかは、思いやりって感じがするけどねっ☆だって、病気の友人のためにやってるんだからさ?」
幻太郎「!……なんのことだ?」
乱数「あっはは!誤魔化しても無駄だよ☆僕の友人に、イケブクロ・ディビジョンで何でも屋をやってるヤツが居てね。そいつに頼んで、幻太郎のことを色々探ってもらったんだよ。幻太郎の友達、難病で病院から外に出られないから、少しでも笑ってほしくて常に面白い話を考えてた結果、小説家になっちゃうなんて凄いよ!他人に嘘ばかりつくのは、そのネタ作りでしょ?ならそれは、嘘じゃなくて、思いやりっ☆そ、れ、に!幻太郎の小説は全部明るい話なのに、どこか寂寥とした雰囲気があると思うんだ。それはつまり、この世界がつまらないと感じているってことだよね?だから、もう一度言うね?この世界を面白くしようよっ!ねっ?」
幻太郎「…………少し……考えさせてくれないか」
乱数「えっへへ!決めたらこの名刺に書いてある住所まで来てね~☆」

帝統「頼む……頼む……これがラストチャンスだ……!ここで7が揃わないと、俺はホームレスになっちまう……!ん~~~~゛……!」
(乱数の足音)
乱数「有栖川帝統くん見っけ~~~~☆」
帝統「ぐわっ??!(ポチッ……スロットが外れる音)………………うおわぁ~~~~?!お前!何してくれちゃってるんだよぉ!?!」
乱数「あっはははは☆ごめんごめ~ん、そんなことよりも、ボクの話を聞いてよぉ!」
帝統「『そんなことよりも』だとぉ?!お前は俺の今月の全てが懸かった大事なひと押しを勝手に押した挙句外したァ!それを『そんなこと』だと?!ふざけんなあ!!!」
乱数「有栖川くんにぃ、あっ、帝統って呼んでいい?うん、良いよねぇ?やったぁ~☆帝統に、ボクのチームに入ってほしいんだよねっ☆」
帝統「ふざけるなぁ!!!」
乱数「えぇ~ありがと~☆ボクのお願い、聞いてくれるんだねっ?」
帝統「人の話を聞きやがれぇ!!!!!」

帝統「あぁ゛~~、うっぜえ!ついてくんじゃねーよ!」
乱数「ねーねー!なんで帝統は公園の中をぐるぐる回ってるの~?」
帝統「お前さっきから俺の話1個も聞いてねえだろ。……つか、お前がさっき最後のチャンスを外したから、銭無しになっちまったんだよ!」
乱数「そっかぁ!それは悪いことしちゃったなぁ~。ボクのバカバカバカっ☆」
帝統「一切悪いと思ってねえよなあ、その態度!」
乱数「ねえ!ボクと一緒に、チーム組んでくれないかなぁ?」
帝統「……はぁ。お前みたいに有名なMCが、なんで俺みたいなクズと組みたがるかね」
乱数「あれぇ?もしかしてぇ、ボクに気を遣って入らないとかぁ?」
帝統「ばーかちげえよ。そもそも俺は、ラップバトルなんかどうでもいいんだよ。ギャンブルさえずっと出来れば、さいっこうなんだよ。」
乱数「あっはは☆聞いてた通りだ!」
帝統「……何だァ?お前が俺の何を知ってるって言うんだよ」
乱数「そうだなぁ……。少し前に、とあるものを賭けて、自分の命を賭けのテーブルに乗せたってことくらいは知ってるよ☆」
帝統「……ふん。元The Dirty Dawgのメンバーなら、裏の情報に通じてるってわけか」
乱数「まっ、ボクがこの情報を得たのは、イケブクロ・ディビジョンに住んでる友達のおかげなんだけどねぇ!」
帝統「まあそんなのどっちでもいいさ。どこから情報を得たかなんて、一切関係ねえよ。」
乱数「えっへへー、たぁしかにそうだよねぇ☆どこから得たかなーんて、どーでもいいよね☆大事なのは、ボクがこの情報を知ってるってことだからね☆」
帝統「(タバコを吸う音)……わかったんなら諦めてけーりな。(※帰りな)」
乱数「け、ど!帝統がさっき言った中で、一つだけ間違いがあるよね?」
帝統「……間違い?なんも間違えてねえっての。」
乱数「『ラップバトルなんかどうでもいいんだよ』……って嘘だよねえ?だって、命を賭けて得たものが、ヒプノシスマイクなんだからさ!」
帝統「……別に、嘘じゃねえよ。あのイカれたマイクを使ったラップバトルが、信じられないくらいのスリルと興奮を味わえるって聞いたからさ。」
乱数「で~?試してみたのかな?」
帝統「ああ。……だけど、スリルと興奮もなんも無かった。だから興味がねえってのは嘘じゃねえ。」
乱数「なるほどなるほど~!なら、ボクと試しに、ラップバトルしてみようよぉ!」
帝統「めんどくせえよ 」
乱数「あれぇ~……?スリルと興奮を求めてるんじゃ無いのかなぁ~?それともぉ、口だけだったのかなぁ~?」
帝統「(舌打ちして立ち上がる音)……いいぜ。その挑発乗ってやるよ。さっきの件もあるから、ボコボコにしてやるぜ!!」
乱数「なら決まりだねっ☆(ヒプノシスマイク起動音)帝統から先行どーぞ☆」
帝統「なら遠慮なく!」
~帝統ラップ~
乱数(ううっ……あっはは……こりゃすごいな……このボクが1ターンで片膝をつくなんて……やっぱり、ボクの目は間違って無かったなぁ……!)
~帝統ラップ~
帝統「さすがは元The Dirty Dawgって所だな。前にやったやつらは即失神したぞ」
乱数「並の人だったら、今のリリックでノックアウトってのは分かるなぁ。……けど残念!ボクは並では無いからねっ☆」
~乱数ラップ~
帝統「っ!う………!」
~乱数ラップ~
帝統「~~~ッ!!!」
乱数「えぇ~!すごいよ、帝統~!ボクのリリックを1人でまともに受けて立ち上がるなんて!君も並とは言い難いよっ☆」
帝統「っへへ。面白くなってきたじゃんか……!今サイッコーに生きてるって感じがするぜぇ……!」
乱数「あっははは☆どちらかが倒れるまでやろうよっ!」

乱数「君の求めているスリルと興奮は、存分に味わえたでしょ?」
帝統「ああ……。ヤバいものを賭けているギャンブルみたいに、最っ高だった……」
乱数「ボクとチームを組めば、こんなバトルを沢山出来るよぉ!だからボクと、一緒にチームを組もっ?」
帝統「……」
乱数「なんでサイコロなんか出してるの~?」
帝統「俺は大事なことを決める時には、必ず賽を振るって決めるんだ。賽には神が宿ってる。だからこの賽の目が偶数なら、お前とチームを組む。奇数ならこの話はなしだ」
乱数「りょーかいだよっ。」
帝統「行くぞ!(サイコロが転がる音)……奇数か。俺としても残念だが、この話は無かっt」
乱数「え~いっ☆やった~~!!偶数だぁ~~!これで帝統は、ボクのチームの一員だねっ☆」
帝統「いやいやいやいや、お前今手で動かしただろ!?」
乱数「だめぇ?」
帝統「ダメに決まってんだろ!」
乱数「あのさぁ帝統、本当にサイコロの神様って信じる?」
帝統「……。勿論だ。俺は賽には神が宿ってるって信じてる。」
乱数「なら、帝統は神がいる方に賭けるんだね?」
帝統「何言ってやが、」
乱数「君が勝てば、僕は君のために全存在を差し出すよ。君が負けても、何も盗らないから安心して?」
帝統「全然意味がわからない。」
乱数「要するに~!ボクとチームを組んで碌でもないことになれば、サイコロに神がいたってことが証明される。けど、逆にボクと組んで良かったな、って思えれば、神はいないってことの証明になる!」
帝統「ッふふ……アッハッハッハッハッ!おまえ、おもしれぇなぁ!いいぜ、組んでやるよ!」

帝統「わっりぃなぁ!泊めてもらうことになっちまってさ~。」
乱数「ぜんっぜん問題ないよぉ☆もうボクらはPosseじゃーん☆…………あ!幻太郎~!嬉しいなぁ!仲間になる決心がついたんだねぇ?」
幻太郎「その前に、俺のラップをちゃんと聞いてから、入れるか判断してくれないか」
乱数「うん!わかったよ☆それじゃあ、はい!ヒプノシスマイクだよ☆」
ヒプノシスマイク起動音)
~幻太郎ラップ~
帝統「へぇ~…。綺麗なリリックじゃんか!」
乱数「すごいよ、幻太郎!ボクの想像以上だ!一緒に世界を変えよう?」
幻太郎「……!…あぁ、この世界を変えてやるさ。」
乱数「これで3人揃ったね☆早速チーム名を考えないと!ん~……そうだ!ボクたちのチーム名は………」


乱数「や~や~や~!みんな揃ったねぇ!」
幻太郎「一体こんな時間になんの用ですかねぇ…小生はそんなに暇じゃないんだが?」
乱数「今日呼んだのはねぇ?ボクがぁ…暇だったから、遊んでもらおうと思ったんだっ☆」
帝統「……はぁ。そんなアホみたいなことで呼ぶなよな!俺はこれから行くとこ、」
乱数「だからみんなでギャンブルがやりたいなっ☆って思ってるんだあ!」
帝統「よし、なんのギャンブルをやるよ?」
幻太郎「帝統……行く所があるのでは?」
帝統「行く所ぉ?そんなの賭場に決まってんだろ?だが、ここでやれるならわざわざ出向くことも無いだろう?やるなら人数が多い方が盛り上がるから、幻太郎、帰るのは許さねーぞ!」
幻太郎「やれやれ……どれだけギャンブルが好きなんですかあなたは。」
乱数「えへへっ!決まりだねぇ☆どうせやるならー、シンプルな勝負をしようよ!」
幻太郎「そうですね。余はあまりギャンブルに明るくないから、運が勝負を決するものが良きかと。」
帝統「んー…なら、チンチロにすっか!」
幻太郎「ああ、それなら僕でも勝てる要素がありますね。」
乱数「チンチロ~?って、なぁに?」
帝統「おまえ、チンチロも知らないのか?」
幻太郎「もしや、乱数は麿よりもギャンブルに明るくないんじゃあ…」
乱数「だから、ボクにルール教えてっ?」
帝統「チンチロは、まず親がいて、子たちとの勝負になる。それと勝敗は振ったサイコロの出目に応じて、~~~~」

乱数「帝統っ、ありがと☆だいたいわかったよ!早くやろっ!」
幻太郎「チンチロなんて久しぶりにやりますねぇ……。」
帝統(ふっふっふっふ……こいつらは素人ばかり。しかしこの俺は、チンチロなんざ何千回もやっている。言うなれば玄人よ。サイコロもある程度狙った目を出せるしな。今月負けが混んでるから、大いに巻き上げてやるぜえ…?!)
幻太郎「それで?掛け金はいくらにするつもりだい?」
帝統「俺らももういい大人だ。100円や1000円をチビチビ掛けていても楽しくない。……1回10万でどうだ。」
幻太郎「…10万か……。まあまあの額だねえ。」
帝統「あっはっは!まさか夢野幻太郎先生ともあろうお方がぁ、ビビってるなんてことは、無いっすよねー?」
幻太郎「ふん。いいでしょう、やすい挑発ですが乗ってあげますよ。」
乱数「はいっ!ボクもじゅーまんっ!えっへへ、これくらいの額を掛けるのって、ドキドキするなぁ~☆」
帝統「本来、親が掛け金を決められないが、お前らは素人だから、俺が親をやらせてもらうぜ。その代わり、親が総取りの目が出ても、子は振れるってルールにするから」
乱数「うんっ☆」
幻太郎「承知した。」
乱数「よぉ~っし!さっそく始めよっか☆」
帝統「親の俺から振るぜ!……あっはは!僥倖!いきなり『ジゴロ』!まあさっき言った通り、即勝ちじゃないからまだ油断はできないけどなっ!」
乱数「へぇ~。さっすが帝統だねぇ!ボクもいい目出さない、とっ!……………あーあ!2の役かあ。ざーんねん。」
幻太郎(ジゴロに勝つには、アラシかピンゾロを出すしかないな。確率で言うと、1/216か……。)「よっ。……ふん、目無しか……もういち、ど!(サイコロ投げる)……(サイコロ投げる)よっ。……。」
帝統「ブッ。くく、ハッハッハッハ!!幻太郎、3回も目無しとは残念だったなぁ!これで俺の勝ち、決定だな!ジゴロだから、2倍の勝ち額20万ずつ、俺に寄越すんだ!」
乱数「よぉ~し!次は負けないぞ~~!」
帝統「っしゃ!なら、次だな。掛け金は10万でいいか?」
幻太郎(いや……倍プッシュだ……!)「次は倍の20万にしましょう。追い込まれないと力を発揮できないものでして…」
乱数「おーっ!!すっごいドキドキするね~!」
帝統「まあ、本来掛け金は子が決めるもんだしな。」(……ふはははは!!!馬鹿め!!次も俺の勝ちは揺るがない!だが、恨むんじゃねえぞ!これはイカサマじゃなくて、技術なんだからな!)
乱数「んじゃあ、親の帝統から振りなよっ☆」
帝統「んじゃ、額も額だし……気合を入れっか。………うおおおおおおおお!!!!!!!(サイコロ投げる音)おっしゃ~~~~~~!!!!!!
『アラシ』が出たぜ!!このまま勝てば3倍付だ!!!」
幻太郎(二回連続強い役……。なるほど?帝統のやつ、狙った目を出せるみたいですねぇ。)
乱数「そぉ~~れっ☆(サイコロ投げる音)出る目は何だろうなぁ~っ☆」
帝統「ふはははは!!アラシより強い目は1人しか………、ば、馬鹿な?!ピンゾロ……だと……?!」
乱数「これって確か1番強いやつだよね~!えへへっ!やったね!」
帝統(ま……まだだ!まだ幻太郎に勝てれば問題は……!)
幻太郎「よっ。(サイコロ投げる音)出目は……ほお。こういうこともあるんですねえ。」
帝統「びゃ……びゃかな……マタシテモ……ピンゾロ……ピンゾロ……」
幻太郎「今回は我々の勝ちのようですね?さーあ帝統?ピンゾロは10倍付け、2人合わせて400万を出してもらいましょうか?」
帝統「いっ……イカサマだ!!2回連続でピンゾロなんて……!!」
幻太郎「全部調べてもらって構いませんよ?イカサマなんてしていないですからねえ。そのサイコロも、帝統のものじゃないですか?これは調べるまでもなくとどのつまり、1/216が連続で起こった……ただそれだけですよ?」
乱数「っへへ!帝統~、400万円ちょーだいっ☆」
帝統「あわわわわわわ……!」
幻太郎「さあ。支払いを。ギャンブルの負けは即金、なんて、帝統には釈迦に説法のようなことですよねえ?」
帝統「とぅ~~~~っ!!!(土下座)もぉ~~~~しわけございません~~~~!!!!今手持ちがこれしかありません!!!」
乱数「あーれれー?これじゃ全然たーりなーいなー。」
幻太郎「やれやれ。手持ちがないのにギャンブルをするなんてマナー違反ですが、ま、身内のことです。便宜を図りましょうかね、乱数?」
乱数「そーだねっ☆友達だし、別の方法を考えよっか!」
帝統「あ……ありがてぇ……!お前らの心は、ホッカホカに温まってやがるぜ……!」
幻太郎「んっふふ。そうですね。では、臓器を金に変えましょう!帝統は健康そうなので良い値が付きそうですよ?」
乱数「臓器!1つや2つ無くなっても大丈夫だよっ☆」
帝統「ヒイイイッ!!悪魔的な発想……!!!どうか慈悲を……!」
幻太郎「ま、それは嘘だけどね?」
帝統「う……うそ……?」
幻太郎「とりあえず、麿と乱数が支払ったものを戻してくれれば良いです。これに懲りたら、少しはギャンブルを控えることですね」
帝統「ううっ……あ、ありがてえ!ありがてえ~~~~~~!!」
乱数「……えっ?臓器売るの冗談なの?」
帝統・幻太郎「「……え?」」


〇摩天楼 音韻臨床
寂雷(やれやれ。そろそろメンバーを決めないといけないというのに、全然興味を惹かれる者がいない。はぁ……。スキルがどうというよりも、もっと私が興味を惹かれる者は……どこかに居ないものか……)
(扉が開く音)
看護師「先生!診察のお時間ですので、患者さんをお通しします」
寂雷「ああ、頼む。………はぁ、独歩くん……またかい?まだ将来の不安で眠れないと?」
独歩「いえ。先生のおかげで、少しは将来の不安が取り除けました」
寂雷「なら良かった。それなら、今日はどうして?」
独歩「はい。大変恐縮なんですが、先生のお人柄を見込んで、お願いがあります。」
寂雷「……。私のできる範囲であれば協力するから、言いなさい」
独歩「っ!恐縮です。実は友人を連れてきていますので、呼んできます!」
寂雷(まあ、どこも体に不調がないのはいいことだが……。医者として、というより、彼は相談者として私を見ている気がするが……)
独歩「お待たせ致しました。ご紹介します、コイツは、僕の友人の伊弉冉一二三です。」
一二三「こんちゃーっす!俺っちは、いざなみひふみでっす!ひふみんって呼んでね☆」
寂雷「ひふみん……初めまして。一二三くん、病院だからもう少し声のトーン下げようか」
独歩「あっ、……す、すみませんすみませんすみません!!!っ、一二三!お前が失礼なことしたんだから、早く頭下げろって…!!」
一二三「おお?おー!俺っちとしたことがいっけね!メンゴーー!!」
独歩「ちゃんと謝罪しろ………!!!!!お前はいつもそうだ、せっかく親身に色々相談乗っても、俺の顔にいつもいつも泥を塗る……。はぁ……というか俺がいけない気がしてきた。今日も上司に、『キミは営業職なんだからその陰気な顔をどうにかしたまえ』って言われたな…。俺の顔が陰気だから、一二三もウンザリして俺に嫌がらせしてるのかも。いや、きっとそうに違いない。全部、全部俺が悪いんだ……一二三がうるさいのも、弟が受験に失敗したのも、今日雨が降っているのも、みんなみんな、俺のせい俺のせい俺のせい…」
寂雷「はあ。独歩くん?何回も言っていますが、そうやって全て自分が悪いと思うネガティブな発想はやめなさい。」
独歩「……。」
一二三「ぷぷー!独歩、まーじウケるんですけどぉー!」
独歩「一二三ぃ……お前マジで、相談乗るのやめるぞ」
一二三「めんごりーーぬ!軽い冗談だって。独歩、俺とどんだけの付き合いだと思ってんだよぉ。」
独歩「出来うるのなら、小学生に戻ってお前と友人になったことを取り消したいね」
一二三「っははは!独歩、そしたら友達ゼロになっちゃうじゃんかよー!」
独歩「それでも、だ……!」
一二三「おー、こわいこわい!」
寂雷「(咳払い)で?独歩くん?一二三くんを私に紹介したということは、彼について私が力になるということでいいんだよね?」
独歩「はい…。実はこいつに、悪質なストーカーがついてまして」
一二三「そーなんすよー!!マジやべえっていうかぁ、完全にぶっ飛んでて、このままだと俺っちマジで殺されるんじゃね?!的な?!」
寂雷「……。一二三くんの言い方だと、いまいち信ぴょう性と緊張感に欠けるけど、本当にそうなの?独歩くん」
一二三「あー。先生ひっでえなー!本気でやばいのにー!」
独歩「(一二三を叩く音)」
一二三「ってぇ!暴力はんたーい。」
独歩「重ね重ねすみません先生。こいつ、こんな調子で喋ってますけど、言っていることは本当なんです…。」
寂雷「と、いうことは……殺されるっていうのも、比喩とかじゃなくて?」
独歩「……はい。そのストーカーの狂気の一端は僕も見ていますので…。なかなか危険ですね。今のこいつの状況は……」
一二三「そーなんすよー。俺っちマジピンチ。」
寂雷「どうしてストーカーに?」
独歩「彼の職業、ホストで……」
寂雷「なるほど……それじゃあ、一二三くんのお店に来るお客さんがストーカーに?」
一二三「そーそー。マジそーなんすよー。好意を寄せてくれるのは?嬉しいんすけどぉ?命だけは勘弁を~ってやつっすねー」
寂雷「こう言ったら初対面から失礼だけど、彼にそこまで病的なストーカーがつくとは思えないんだけど……」
独歩「はあ。先生が仰る通りです。」
一二三「なぁ~~~?!?!2人とも酷くね~~~?!?!」
独歩「実際、こいつがホストなんて女の子を相手にする職業をやっているのが、未だに信じられないんですよ」
寂雷「そうは見えないけどなぁ…彼、ホストが天職のような感じするけど…」
独歩「それが、ですね……」
(扉が開く音)
看護師「失礼します!」
一二三「ヒーーーーー?!」
看護師「えっ?!大丈夫ですか…?どこか、お加減でも…?」
一二三「あ、あ、あ、そ、その、だ、だだ、だいじょぶ……です、から……」
看護師「せ、先生!そろそろ他の患者さんも診察しないと、お時間が……」
寂雷「ああ……。もうそんな時間か。すぐに終わらせるよ」
(看護師が出ていく音)
一二三「…………」
寂雷「ふむ……一二三くん、急にどうしたんだい?」
一二三「……も、もう、女の子、どっか、いきま…した、か……」
寂雷「あ、ああ、もう外に行ったよ」
一二三「う、う…………。いや~~~~っ、今みたいに急に来られるとマジ焦っし!!」
独歩「先程説明出来なかったんですが、彼はご覧の通り、女性が苦手でして……女性と喋る時、あんな感じでいきなりキャラが変わるんですよ…」
寂雷「苦手ってレベルじゃない気がするが……前言撤回させてもらうよ。一二三くん、そんな性格でよく女性相手のホストやっているね」
一二三「ぁ、あぁ……はは」
寂雷「細かい話は、私が仕事終わってから聞かせてもらうことにするよ。」
独歩「お仕事中、申し訳ございませんでした。それでは後ほどお会いしましょう。………ほらっ!行くぞ一二三……!」
寂雷(ふーむ……独歩くんも一二三くんも変わってて、とても興味深い)

店員「いらっしゃいませー」
一二三「あ!寂雷さん!こっちっすー!!」
寂雷「ああ…。」
独歩「すみません先生、お仕事終わりで疲れているのに」
寂雷「独歩くんがわざわざ友人を連れて私に相談しに来たってことは、私の力が必要ってことだよね?」
独歩「っ本当に、すみません……。」
一二三「寂雷さん、あざーーっす!!」
独歩「ッッ、誰のために頭下げてると思ってるんだよッ!!」
一二三「あ?!やべえー!?!俺っちのためだった!ごめんご!!」
寂雷「一二三くん。女性がいる時と全く違う人物みたいだ。というか、女性の前で喋れなくて、どうやってホストの仕事しているんだい?」
独歩「先生、彼はホストやる時のスーツを着ると、別人格になるんですよ……」
寂雷「んん…?さっきも、別人格だったと思うけど…あれとはまた違う、と?」
独歩「そうです。今度直接見てもらった方が早いです。見ていただければ、狂信的なストーカーができる意味も、わかりますよ」
寂雷「わかった。それで、私の力を借りたいというのは、そのストーカーの件?」
一二三「そーなんす!とりま、これ見てくださいよー!」
寂雷「これは、手紙?」
一二三「これが、中身っす。書いてることがマジぶっ飛んでて、まじやべぇって感じ!」
寂雷「…。『私はあなたの女、私はあなたの奴隷、私はあなたの所有物、あなたの存在全てが愛おしい、狂おしい』……なるほど。確かにこれはなかなか、……ん?もしかしてこの文字は……」
一二三「…っへへ、自分の手首をめちゃくちゃに切った写真と、その流れた血でこの手紙を書いてる写真も、一緒に入ってたんス……。」
寂雷「確かに、これが送られてきたら……あまり気分が良くない。ただこれだけで命の危険と言うのは、些か大袈裟じゃないかい?」
独歩「そ、それは……一二三、例のやつ、先生に見せた方が……」
一二三「あぁ……ああ。」
寂雷「包丁…?」
一二三「包丁と、この手紙が、」
寂雷「ふむ。…『どうして、どうして、わかってくれないの、こんなに尽くしているのに、もうあなたを殺して私も死ぬしかない』……はぁ。これも血文字か」
一二三「この包丁と手紙を貰った夜、自宅にこの子が侵入してきて、腕を刺されたんす」
寂雷「切られたんじゃなくて、刺されたのか。確かにそれは明確な殺意があるね。これは、私に相談するんじゃなくて、警察に言った方が……」
一二三「もちろん、行って、逮捕状も出たんス。けど、この子、どこにいるかわからないって…。」
寂雷「逃走中か。」
独歩「逃げてるらしいんですが、隙を見つけては一二三に攻撃を仕掛けてくるんです。」
一二三「別に?警察が無能だとは思わないんすけど、この子が俺っちに向ける殺意が強すぎて、俺っちを殺すまで捕まらない気がして……」
寂雷「……。事情はだいたいわかったよ。つまり彼女が現れたら、私のヒプノシスマイクで彼女を無力化してほしいってことだね?」
一二三「平たく言えば…そうっす。」
寂雷「だったら私は力を貸せない。ヒプノシスマイクは、極力使いたくないんだ。警察か民間の警備会社に身辺を守ってもらった方がいい」
一二三「………違うんす……」
寂雷「違うって言うのは?」
一二三「無力化っていうか、彼女を、寂雷さんに治してもらいたいんすよ」
独歩「…先生。今回なぜ僕が先生にお話を持ってきたかというのが、そういうことなんです。」
一二三「自分の命は大事っすけど、それと同じくらいに、自分を好いてくれていた子を助けたいって気持ちがあるんす。寂雷さんは、世界でも有数のお医者さんであり、伝説のチームThe Dirty Dawgのメンバーだったじゃないですか!だから!寂雷さんなら、きっと、精神の病気も治してくれるんじゃないかって……」
寂雷「なるほど。得心いったよ。どうやら私の思慮が足りなかったようだね」
独歩「!先生……」
寂雷「この診察と治療、引き受けるよ。」

独歩「…先生、まだ1日しか経ってないですけど、もう居場所を特定したんですか?」
寂雷「イケブクロ・ディビジョンで何でも屋をやっている有能な友人がいてね。彼に依頼したら一日で居場所を教えてくれたよ」
独歩「へぇ…。それは素晴らしいご友人ですね。」
寂雷「そうだね……。彼には色々世話になったけど、これからは争わないといけないのが残念でならない………」
独歩「え?なんて言いました?先生…」
寂雷「ふふ、いや。なんでもないよ。それより、一二三くんは?」
独歩「……。もう来ると思うんですが……」
一二三「お二人共、お待たせ致しました。」
寂雷「そのスーツ姿が、仕事着なのかい?」
一二三「はい。前回は、初対面にもかかわらず数々の非礼を行い、大変申し訳ございませんでした。」
独歩「……相変わらずそのスーツ着ると別人になるな」
一二三「やあ!独歩くんじゃないか!君にはいつも世話になりっぱなしで、頭が上がらないよ!君のような者を親友というのだろうね!」
独歩「おっ、臆面もなくそういうセリフをぬけぬけと……。」
寂雷「ふむ……。昨日言っていた通り、全くの別人になってるね。それにしても、なぜスーツを着ると変身するのか不思議だ」
一二三「自分で言うのも恥ずかしいですが、僕は、過去女性にとても酷いことをされて、女性が怖くなってしまったんです。それが、20歳を超えても全然治る気配がなく、そんな自分が嫌で、なんとか治そうと、荒療治的な意味でホストの道を選んだんですよ」
寂雷「それはまた大したものだ。自ら死地に身を置く姿勢は、今の若者にしては素晴らしい」
一二三「ご想像通り、最初は全く使い物にならなかったんですが、毎日女性と喋らなくてはならないという苦痛が限界に達した時に、スーツを着た瞬間から、『自分は自分じゃない』と強制的に思い込み、今の僕が誕生したんですよ」
寂雷「君の状態は多重人格ではなくて、究極的な自己暗示の到達点と言った感じか。非常に興味深い。」
独歩「先生。集まったことですし、行きましょう」

独歩「…最上階か。厄介だな……」
寂雷「なぜだい?」
独歩「いえ……。念には念を入れたいので、僕は1階に下がっていいですか?」
寂雷「もちろん。何か考えがあってのことだろうし」
(独歩の足音)
寂雷「……一二三くん。まず僕が接触するから、扉から見えない位置に居てくれ」
一二三「はい。」
(ピンポーン……ピンポーン……)
寂雷「どうも。私は新宿中央病院の医師、神宮寺寂雷です。伊弉冉一二三くんの依頼でお伺いに来ました。できれば、こちらの扉を開けていただけると助かります」
(ガチャ)
ストーカー「一二三から……」
寂雷「良かった、出てくれて。中に入っても?」
ストーカー「どうして、この場所が?」
寂雷「君を心配した一二三くんが、探偵を雇って探り当ててくれたみたいだね」
ストーカー「…信じられない」
寂雷「私のことは信じなくてもいいよ。けど、警察じゃなくて私が来たってことは、最低限信頼に足ると思うんだけど?」
ストーカー「……いいわ。入りなさい」
寂雷「ありがとう。それじゃあ失礼します」


ストーカー「一二三に頼まれて、なんであんたみたいな有名人が私のところに来るのよ」
寂雷「光栄だね。私のことを知ってくれているのかい?」
ストーカー「ふっ。バカにしないでちょうだい。この日本であんたを知らない奴なんて、ほとんど居ないでしょうに」
寂雷「それなら……。私が医者だということも知っているね?一二三くんに、君を治療してくれと頼まれたんだ」
ストーカー「治療……?」
寂雷「ああ。君は何かしらの精神病に罹っている。」
ストーカー「わたしは……正常よ」
寂雷「君のその一二三くんに対する思いは、常軌を逸している」
ストーカー「……だと……?……」
寂雷「……ごめん、よく聞こえ」
(刃物の音)
ストーカー「わたしの一二三に対する想いが病気だと?!ふざけないで!!」
寂雷「落ち着いて。僕は何も君と敵対しようなんて思っていない。助けに来たんだ。」
ストーカー「うるさい!!!私の一二三に対する愛は本物なんだっ!!そんじょそこらの阿婆擦れ共とはちがうっ!!!」
(玄関の扉が開く音)
一二三「寂雷さんっ!!大丈夫ですか?!」
ストーカー「ああっ!一二三~~!やっぱり私のこと、愛してくれてるんだねぇ~?今殺したげるわぁ!それで私も死ぬの。そうしたら永遠の愛が完成するから…」
一二三「子猫ちゃんの気がそれで済むのなら、僕はこの身を喜んで差し出すよ。ただ、それだと子猫ちゃんの思いに、報いれていない気がする。……死を選択するのは簡単さ。けど、そうじゃない選択……生きるって方が難しいと思う。僕も、子猫ちゃんが社会復帰できるように尽力するから、その包丁を、下げてはくれないかい?」
ストーカー「一二三……」
一二三「わかってくれたかい?」
ストーカー「………ぁあ~~~~~!!!ふざけんじゃない!!何が社会復帰だ!!今のこの気持ちが病気だなんて信じない!だから一二三を殺して、証明する!!!」
~寂雷ラップ~
ストーカー「あぁ~~~っっ!!!!」
(包丁が落ちる音)
ストーカー「………わたし……とんでもないことを………一二三にしちゃった……」
一二三「悪い夢を見ていたんだ。今この瞬間から、その夢は覚めて、新しい朝が来たと思えばいいんだよ。子猫ちゃん」
ストーカー「……一二三が良くても、私が私を許せない……ここから身を投げて償う!!」
一二三「っ!!……ま、間に合った!」
ストーカー「っ…!離して!このままじゃ、顔向けできない!!」
寂雷「今引き上げるからっ、もう少し辛抱してっ……!」
ストーカー「きゃーー!!!」
一二三「うわ~~~~!!!!」
寂雷「一二三くん!」

ストーカー「どっ、どうして?!このままじゃ一二三が下敷きになっちゃう!」
一二三「少しでも、君が助かる方法は、これしかないからねっ……」
ストーカー「一二三ぃ…!」
(ぼすんっ)
一二三「っ?!マット?!」
独歩「…やれやれ。備えあれば憂いなしってね……。一二三、また貸しだからな」
一二三「!はははっ……持つべきものは、親友だね!大きすぎる貸しがまた出来たな…」
独歩・一二三「「 (ハイタッチ)ははっ…!」」
寂雷「…ふふ。まったく……興味しか湧かないね、彼らは。」

寂雷「気絶しているし、この子はひとまず、うちの病院に入院させることにするよ」
独歩「…先生……。今回は本当にありがとうございました。いつもいつも助けていただいて、何かで必ず返したいです」
一二三「寂雷さん!僕も必ず、このご恩に報いさせてください!」
寂雷「……ああ…君たち。これを」
独歩「これって…」
一二三「ヒプノシスマイク…?」
寂雷「君らも男なら、ラップできるだろ?」
独歩「ま……まぁ……。」
一二三「出来ますが、先生にお聞かせするには………」
寂雷「ふふ。私に借りがあると思うのであれば、やってみてくれないか?」
独歩・一二三「「………。」」
ヒプノシスマイク起動音)
~独歩ラップ~
~一二三ラップ~
寂雷(スキルで魅せるのではなく、この2人は、圧倒的な個性で魅せるラップをする。…ふふ、本物だ……!)
独歩「……ええと……マイクをお返しします……」
一二三「…あれ?先生…」
寂雷「それは君たちが持っていてくれないか?」
独歩・一二三「「えっ?」」
寂雷「君たち、私と一緒に、世界を変えたくないかい?」


一二三「せーんせっ!今日お仕事終わりに。うちの店来てくれないっすか~?」
寂雷「ふむ……。一二三くん?今日はどこか、体の調子は悪くないの?」
一二三「えっ?ぜんっぜん健康っすけど?」
寂雷「病院はどういう時に来るものだい?」
一二三「体ー……ぶっ壊した時っすかねえ?」
寂雷「正解さ。もう一度聞くけど、一二三くん、今日はどこか壊したのかい?」
一二三「ぜんっぜんぶっ壊してねえっすよ~~!見ての通り元気すぎて困るぐらいっすね!!」
寂雷「はあぁ……それで、どうして私を一二三くんの店に誘ってくれるんだい?」
一二三「それはもちろん、先生にむっちゃ世話になったから、お礼にお酒を奢らせて貰いたくてっすねえ~!」
寂雷「それはすごくありがたい話だけど…私は、酒を飲めない…ってわけじゃないけど、飲むと……」
一二三「飲めなくないなら、決定っスね!」
寂雷「はぁ…君のことだ、何を言っても聞いてくれないんだろうね。まあ、ホストクラブには行ったことがないから興味深くはあるが……では、今日仕事が終わったら、お伺いさせてもらうよ」
一二三「先生!今日の夜は、サイッコーーーの夜にしてますぜぃ!!!!」
(ガラガラっ)
寂雷「……やれやれ。診察以外で来訪する人に、慣れつつある自分が怖いなぁ」

独歩「…先生。一二三が強引にお誘いしてしまってすみません。」
寂雷「問題ないよ。私もこういうことでもない限り、ホストクラブなんて来ないからね。興味深いよ。……ところで、独歩くんはこのお店に来るのは?」
独歩「もちろん初めてです。」
寂雷「そうだよね。今日初めて、男がホストクラブに入れることを知ったよ…」
独歩「ですね……」
寂雷「今日は一段と浮かない顔しているね。何かあったのかい?」
独歩「いえ…別に大したことではないんです……今日仕事中に、一二三が会社に来たんですよ。」
寂雷「ほう。それはまた……」
独歩「一二三のやつ、うちの女子社員が怖いからってスーツ着てきやがって……それで所構わず女の子に声掛けて、僕が止めても止めてもアイツは言うことを聞いてくれず、最終的にうちの全女子社員に声を掛けていきましたよ……ははっ。ははっ…。その後僕が上司になんて言われたかわかりますか?ええ、わからないでしょうとも……。半年の減給ですよ………。それに僕の人間性まで疑われてしまって『友人は自分を映す鏡だ』とかなんとかハゲ課長にグチグチ言われて、最終的に僕まで女性にだらしないというレッテルを貼られる始末…。はぁ、僕が何をしたと言うのでしょうか……あぁあの時もそうだ、僕は…」
寂雷「独歩くん。独歩くん。いつもの悪い癖が出ているよ」
独歩「あっ!すみません……。少し取り乱しました」
(一二三の足音)
一二三「これはこれは…!今日は、ようこそおいでくださいました。本日は私の奢りですので、心ゆくまで楽しんでくださいね?」
独歩「ッッ~~一二三ぃ!!お前のせいで俺ッ、おれはァ!!」
一二三「我が永久不滅の友よ。君も、存分に楽しんでいってくれ!どんどん高い酒を入れても、全く問題なしさ!」
独歩「っダメだ…!スーツ着てる時のこいつに言っても無駄だァ……!!せめて高い酒を飲まないとやってられないッッ…!」
一二三「先生、申し訳ありませんが、私はお客様のところに行かねばなりませぬゆえ、1杯だけ、乾杯させていただけないでしょうか?」
寂雷「……いや、私はお酒を飲むと……記憶がなくなってしまうんだよ……」
一二三「1杯だけ!ぜひ…お願いします。このシャンパンは、うちで1番高いものになります。感謝の印なので、ぜひ乾杯させてください」
寂雷(ここで無下にするのも、大人として失礼か……記憶をなくしたあとの自分がどういった行動に出るのかわからないのが、怖いが……)
寂雷「それでは、1杯だけ頂こうか」
一二三「気を使って頂き、ありがとうございます!さぁ、独歩。君も乾杯しよう!」
独歩「……ふん。」
一二三「では……乾杯!!」
(乾杯の音)
寂雷「(ごくごくごく)……はぁ……っい!」
独歩「……ん?先生?」
寂雷「…って、…こぉい!!」
独歩・一二三「「え?今、なんて…?」」
寂雷「てやんでい!!!!酒持ってこんかい!!!えいっ!(チョップ)」
独歩「痛っ?!」
寂雷「えい~~ッッ!(チョップ)」
一二三「あ痛っ?!」
独歩「せ、先生からチョップが飛んでくるなんて…」
寂雷「酒をぉ……持ってこんかいと言っとるんだぁ!!てやんでいちくしょうめ!!」
独歩「ひっ、一二三ぃ…!!!!早く持ってきて差し上げろよ…!」
一二三「そっ、そうだな…お酒を、お酒を!こちらの宅に早く持ってきて!!」
(お酒を運んでくる音)
寂雷「へっへ~~!酒だ酒だァ!!!!今日はとことん呑むぞぉ!!!!!!店の酒全部飲み尽くすまで帰らなーーーい!!!」
一二三「せっ、先生、お手柔らかに……」
独歩「せ……先生が壊れたぁ……!」
寂雷「ほれほれ~~~!!!!」

寂雷「…う、あぁ……。頭が痛いな。昨日、一二三くんと独歩くんと乾杯した後の記憶がないな……あ。全員潰れてる……昨日そこまで呑んでいたのか…。」
独歩・一二三「「う、うう……」」
寂雷「君たち!!大丈夫かい?」
独歩・一二三「「ひっ!!!」」
独歩「ひいいいいいッッ!!!!もっ……もう呑めませぇ~~~~~ん!!!」
一二三「せっ、先生!いっ、いえ!!間違えました、あ、あ、アニキ!!もう、勘弁してください!!!!わ、わ私も、もう呑めません!!!」
寂雷「えっ…とぉ……。昨日最初の1杯飲んでから記憶が無いんだよ……。あの後私は、寝てたのかい?」
独歩「……一二三。」
一二三「ああ…。」
独歩・一二三((絶対に、先生に酒を飲ませたらダメだ……))

〇Know Your Enemy Side -B.B. vs MAD TRIGGER CREW
(ガチャ)
一郎「二郎!三郎!準備は整ってるか?」
三郎「はい!いつでも出られます!」
二郎「ご、ごめんよ兄ちゃん……準備に時間かかっちゃってて……。」
一郎「はあ。二郎はギリギリにならないと準備しないクセ、治した方がいいぞ。昔っから遠出する時、いつも何かしらの忘れ物してただろ。ちゃんと中央区の許可証は入れたか?」
二郎「もちろん!あれがないと入れないからね。ええと~…たしか、この辺りに……ああ、そうだ。忘れないように俺の部屋の机の上に置いてたんだ!ごめん、すぐに取ってくるよ!」

二郎「ふぅ……あったあった……危ないところだったな」
一郎「焦って準備すると必ず綻びが出る。だから前もって準備しろって言ったんだ!」
二郎「う……返す言葉もないよ……」
三郎「……いち兄?あんまり二郎を責めないでやってください」
二郎「さっ、三郎…!お前…」
一郎「いや、別に責めてるわけじゃなくて、俺は二郎のことを思ってだな…」
三郎「っああいえ!僕が言いたいのは、二郎みたいな過去から何も学べない低脳に何を言っても無駄なので、いち兄の貴重な時間を使うことはないって言いたかったんです」
二郎「三郎ぉ、てめえ言わせておけばぁ!!庇ってくれたのかと思って少し感動した俺の気持ちを返しやがれぇ!!!」
三郎「なんだよッッ、僕は純然たる事実を言ったまでさ!それに、僕が二郎を庇うわけないだろ?!」
(ゴツン)
二郎「いてっ!」
(ゴツン)
三郎「ああっ!」
一郎「お前らいい加減にしろ!!……ったく、明日はいよいよテリトリーバトルなのに、チーム内で揉めてちゃ話になんねえだろ!」
二郎・三郎「「うう……。」」
一郎「明日ぶつかるのは左馬刻率いるMAD TRIGGER CREWだ。断言する、内輪で揉めているようじゃ絶対に勝てない。左馬刻はそんなヤワなやつじゃねえ。」
二郎「っ……。兄ちゃんがいれば勝てるって!」
一郎「そう信じてくれるのは嬉しいが、左馬刻を舐めてかかると……死ぬぞ。」
二郎「死ぬ…」
三郎「いち兄、碧棺左馬刻はそんなに強敵なんですか?」
一郎「ああ。あいつのヒプノシスマイクを使ったラップは常軌を逸してる。甘い考えで挑んだら、マジで死ぬことになるぞ」
二郎「……」
一郎「お前たちに左馬刻を相手にする覚悟はあるのか?」
二郎「覚悟ならあるよ。相手が左馬刻だからじゃなくて、俺は兄ちゃんとチームを組んだ瞬間から、どんな奴が相手でも兄ちゃんの勝利のために身を削るって決めたんだ!!」
一郎「二郎……」
二郎「だから……兄ちゃんも俺を信じてよ!」
三郎「いち兄、すみません。僕は覚悟なんてないです。」
二郎「三郎ォ…てめえ覚悟がねえなら」
三郎「覚悟って意味は、危険なこと、困難なことを予想して心構えをすること、あるいは、迷いを脱すること。僕は危険も困難もとっくに承知です。迷いなんてありません!」
一郎「三郎…」
三郎「僕がいち兄を信頼するように、いち兄も僕のことを信頼してください!」
一郎「~……ふっ。お前ら、ありがとう!」
二郎「に…にーちゃん……」
三郎「い、いち兄……」
一郎「っはは!お前たちは最高の弟だよ!」
二郎・三郎「「……!!!」」
一郎「お前たち、左馬刻の野郎をぶちのめそうぜ!!」
二郎・三郎「「はい!!」」

(扉が開く音)
左馬刻「っ……クソが……明日が待ちきれねぇ…!!」
モブ「アニキ!!ご苦労様です。銃兎さんがいらっしゃったので、応接室にお通ししておき、ぐ……?!」
左馬刻「あぁ…?何だてめえ。俺様が一郎のどグソに苦労してるって言いてえのかよ。このくそイライラしてっ時に俺様に喧嘩売るなんて死んでも文句ねぇよな?」
モブ「ひ……!!!あ、アニキ……!勘弁してください……!」
左馬刻「勘弁ならねえな。とりあえずてめえ、……死ね」
ヒプノシスマイク起動音)
モブ「っっ!!!」
銃兎「ハイ、Stop,Stop,Stop!こんな所で、ヒプノシスマイクを使うなんて正気ですか?このまま没収しますよ」
左馬刻「銃兎ォ、このイライラをぶつけんのは別にてめえでも良いんだぞこの野郎、」
銃兎「はぁ.......。相変わらずメンドクセーやつだな。そのやる気は、明日まで取っとけや。(ヒプノシスマイク停止音)ほら、返すぞ」
左馬刻「っ、.......あ~~~うぜえ!!!」
(左馬刻が部屋から出ていく音)
モブ「あの.......すんません、助けて貰っちゃって.......」
銃兎「ん?.......あぁ!別に助けたわけじゃありませんよ。これからすぐに中央区に行かないといけないのに、ロクが出たんじゃ、私の仕事が増えてしまいますからねえ。それとあなた.......この借りは、いずれどんなことをしてでも必ず返して頂きますから。そのつもりで」
モブ「は.............はいぃ.......」


左馬刻「さっさと一郎のダボとやらせろや.......なんで中央区で一泊してからやらなきゃなんねンだよ!!!」
銃兎「仕方ないだろ。(タバコ吸う).......テリトリーバトルは、中央区、いや...女共の見世物的な側面もあるからな。前日入りするのは、メディアの取材を受けるためでもある。しち面倒な話だ」
左馬刻「フン。クソ女どもに尻尾振らなきゃなんねえとか虫唾が走るわ」
銃兎「まあ、そう言うなって。(タバコ吸う).......奴らが現状、全ての政権を握っている以上、従わないとヒプノシスマイクを没収されちまう」
左馬刻「ッフ!これだから政府のイヌは.......、いや?政府のウサギか、お前は?」
銃兎「.......てめぇ.......あんまり舐めたこと言ってっとしょっぴくぞコラァ!!!!」
左馬刻「ははっおもしれぇ、やってみろオラァ!!!!」
(コンコン、ガチャ)
モブ「アニキ。毒島さんがいらっしゃいました」
左馬刻「ッッせ、ンのやろォ!!!!今このウサポリ公を型に嵌めるから黙ってろやァ!!!」
銃兎「誰がウサポリ公だこのどマヌケがァ!!!!!」
左馬刻「どマヌケだとコラァ!!!!!!」
ヒプノシスマイク起動音)
理鶯「邪魔をするぞ。.......ふむ。争っているということは.......腹が減っている証拠だな。ちょっと待ってろ、具材を狩りに行ってくる」
左馬刻「や、あ、り、りおー.......(ヒプノシスマイク停止音)別に俺ら、腹が減ってイラついてんじゃねえぞ.......?なあ、銃兎」
銃兎「はは.......!あぁ、そうですね。明日のために軽く、左馬刻と練習してただけですよ」
理鶯「そうか。なら良かった。この辺りのネズミはあまり美味くないから、どうしようかと悩んだぞ」
左馬刻・銃兎((あ、危うくネズミを食わされるところだった.......))
理鶯「全員揃ってることだし、さっさと中央区に移動しよう」

二郎「へぇ~.......ここが中央区に入る門か。すげえ豪勢な作りだなぁ」
三郎「豪勢なのは門だけじゃなくセキュリティもだけどね。そこら中に警備と監視カメラが配置されてる。」
二郎「あぁ~?おおっ!ほんとだ!」
一郎「これ全部、俺たち男が納めてる税金で作ってんだから、面白くねえ光景だな.......」
三郎「そうですね.......女性も税金を支払っているとはいえ、男の1/10ですからね」
一郎(絶対に.......このクソみたいな壁をぶっ壊してやる)

乱数「お~~~~いっ!いっちろー!」
一郎「ぬあっ?!なんだなんだっ、」
乱数「やーやーやー☆一郎ボクだよ!」
一郎「っ乱数か!いきなし抱きつくなよ~」
二郎「ッッおいこのチビ!!!なに馴れ馴れしく兄ちゃんに抱きついてんだよッッ!!」
三郎「いち兄から離れろ飴村乱数!!」
乱数「久しぶりなんだから、もっと一郎とくっつかせてよ~!」
三郎「~~ッッ!このぉ~.......!ボクだって、出来ることならそうしたいのに.......!」
幻太郎「はいはい、お終いです.......乱数?明日以降ぶつかるかもしれない相手と必要以上に仲良くしない。さ、離れなさいっ」
乱数「むーっ!べっつにいいじゃーん。どうせ勝つのはボクらなんだし」
幻太郎「ま、それもそうですね」
二郎「っんだと!!?舐めんじゃねーぞ!!!」
三郎「ハッ!そのお言葉、そっくりそのままお返しするよ!」
乱数「あっはは☆元気があって、大変よろしいです☆」
二郎「てめぇ.......!!!ぶん殴る!!!」
一郎「よせ、二郎!!」
二郎「兄ちゃん.......」
一郎「その拳の力を、そのまま言葉に乗せろ。俺らはラップで戦いに来てんだ。」

幻太郎「(拍手)」.......さすがは噂に名高い元The Dirty DawgのMC.......Big Brotherだ。ああ、申し遅れました。小生は有栖川帝統というしがないギャンブラーです」
乱数「あははっ☆」
三郎「.......?何言ってんだよ、お前は夢野幻太郎だろ?」
幻太郎「はて.......?ユメノ?ゲンタロウ?馴染みがない名前ですねえ。某は先程名乗った通り、変人ギャンブラー有栖川帝統です。以後お見知り置き.......あ痛っ!」
帝統「ふんっ!!だぁ~れが変人だ!」
幻太郎「はは☆これは帝統、そんなに怒ってどうしました?」
帝統「人を変人扱いすんじゃねーよ!!!」
幻太郎「ふっ。確かに僕が帝統という嘘はつきましたが、変人という部分については本心でしたがねえ?」
帝統「こ、この野郎.............いつもいつも人をおちょくりやがって.......!今日という今日は許さん!!!!」
幻太郎「今日の夕食ご馳走しようと思っていたのに、麿のことを許せないほど怒っているならぁ、顔を見て食事どころじゃありませんねぇ.......残念ですがァ、ご馳走するのはやめ、」
帝統「んっ?誰が怒ってるって?僕ら、親友だよね?」
幻太郎「ま、ご馳走するのは嘘だけどね?」
帝統「てんめえええええ~~~~~~!!!」
乱数「あっはは☆2人とも仲良いなぁ!」
三郎「な.......なんだこいつら.......」
一郎「乱数、おもしれぇヤツらを仲間にしたな」
乱数「まあねえ☆ボクの自慢のPosseだよ!」

(足音)
三郎「っ!いち兄、後ろ!麻天狼が来ました」
寂雷「久しいね、一郎くん。それに.............飴村くんも」
一郎「寂雷さん、どうもっす。」
乱数「うぇ~.......寂雷のジジイもいる.......あっはは☆寂雷、ひっさしぶり~」
寂雷「聞こえてますよ、飴村くん。相変わらず君は、年長者に対する礼儀がなってないね」
乱数「えぇ~?なんの事かボクわからないなぁ~?.......ジジイのくせに耳は良いとか.......」
寂雷「はぁ.......。だいたい君はいつまでそんな年齢に似つかわしく~~.......」

一二三「ちっちっちーーっす!!俺っち、麻天狼のイザナミヒフミでっす!親しみを込めてー、ひふみんって呼んでね!」
一郎「あ、ああ。よろしくな!俺はBuster Bros!!!の山田一郎だ」
一二三「うっっわ!!ちょ~やべえ!!!君が元The Dirty Dawgの山田一郎くんかぁ~~!いきなしビッグなやつと知り合っちまったなあ!俺っち運がいい!」
一郎「.......意外だな。寂雷さんはアンタみたいなノリのやつが嫌いだと思ってたんだけどよ.......」
一二三「こう見えても俺っちは、先生とはスーパー仲良しなんだぜっ!よく釣りにも行くし!」
二郎「っどいつもこいつも兄ちゃんに対して馴れ馴れしすぎんだよっ!!!」
三郎「ホスト風情がいち兄と気軽に会話するなんて、万死に値する!!!」
一二三「.......おー?うーーん.......。あれっ?なんでこんな所に中坊と高坊が居るんだぁ?」
二郎・三郎「「誰が 中坊/高坊 だッッ!!!」」
独歩「あー~~~~~~~~~~~~っ!!!!すみませんすみませんすみません!!!!こいつ、失礼なやつなんです.......!私から厳重に注意しますんで、ここは収めてください.......!」
一二三「なんだよ独歩ぉ!お前は俺の保護者かよって!」
独歩「くっ.......誰のために頭下げてると思ってんだよ.......ッッ!早くお前も頭を下げろって.......!」
二郎「っつか!リーマンのオッサンがなんでこんな所にいんだよ!」
独歩「っ!大変失礼致しました!申し遅れましたが、私こういう者です.......」
二郎「名刺って.......。麻天狼の.......、?おい、三郎。なんて読むんだこれ(小声)」
三郎「.......?はぁ。まったく。『かんのんざかどっぽ』だよ」
独歩「今後、争うことにはなると思いますが、ひ、ひとつ、お手柔らかに......」
二郎「てめえ、バカか?お手柔らかにするわけねえだろ!!」
独歩「ッ!!うう....やっぱりそうだよな、俺みたいな陰気な30手前のオッサンが言ったところで、今の若いチルドレンは反発するだけだよ.......ふふっ、これでBuster Bros!!!が俺への怒りでやる気を出すんだろうな。また足を引っ張るのか俺は......。いつだってそうだ、俺が何かすると、裏目裏目裏目になって事態を悪化させるんだ。ふふふ、俺なんて生きてる意味はあるのか.......。俺はなんのために生きてんだ?.......俺はどうすればいいんだ.......こんな俺は一生1人なんだろうな.......俺は俺は俺はおれは俺は俺はおれは.............」
三郎「.......なんだよ、この危ないオッサンは.......」
一二三「どうどうどう、独歩落ち着けって!お前はなんも悪くない!それに、独歩には俺っちっていう最高なマブダチが居るじゃんか!」
独歩「ひ、一二三.......!.......って待てよ?だいたい俺が碌でもない目に遭う時は、高確率でお前が関与してるよな?」
一二三「あれえ?そうだっけか?」
独歩「くっ.......!やっぱり俺は色々手遅れなんだァ.......!」
一郎「ふっ。寂雷さんらしいメンバーを集めたな。」
三郎「らしいって言うのは?」
一郎「寂雷さんは、変わったやつが好きなんだ。この二人を見てればわかるだろ。」
三郎「ええ.......胸焼けしそうなほど伝わってきます.......」

(足音)
二郎「.......!兄ちゃん.......奴らだ」
一郎「ん?.......っ!」
左馬刻「(タバコ吸う).......クソ偽善者の山田一郎クン。会いたかったぜ.......」
銃兎「おやおや。皆さんお揃いのようで。」
理鶯「ふむ。あれが元The Dirty Dawgの山田一郎と飴村乱数か。なるほど.......雰囲気はあるな。果たしてどの程度のものなのか.......楽しみだ」
帝統「おーいっ!!!理鶯さんじゃないっすか!!!」
理鶯「ん?.......ああ。」
帝統「またメシ食わせてくださいねー!!」
銃兎「.......理鶯、お知り合いですか?」
理鶯「ああ。以前腹が減って倒れていたところを、小官が助けたやつだ。少し前までは、よくメシを食べに来ていたな」
銃兎「それは.......なかなか奇特な人物ですね。.......理鶯の料理が平気だなんて、随分変わっている.......。ん?ああ!思い出しましたよ!」
理鶯「思い出した?」
銃兎「麻天狼のスーツを着ている彼ですが.......どこかで会ったと思っていたんです。私がまだ制服警官の時に、よく職質をかけていた相手ですよ。世間話をする程度の仲で、だいぶ前のことだったので、忘れていました。(独歩の方へ向かう).......やあ!お久しぶりですね」

乱数「あっ!さーまときっ☆おっひさー!」
左馬刻「ぐっ.......!あーうぜえ!!引っ付くんじゃねえよ!!」
乱数「あっはは☆久しぶりなんだからいいじゃーん!」
左馬刻「あ~~(振り払おうとする)~~~~てめえ!いい加減にしねえと砂にしちまうぞこの野郎ォ!!!」
乱数「左馬刻こわーいっ☆」
寂雷「人が話しているとき、急に居なくなるのは失礼ですよ。あまつさえ、人が嫌がることをするなど、いい大人がすることではありません!」
乱数「ならボク子供でいーいもーん!」
寂雷「はあ。呆れて何も言いたくないですね」
乱数「.......なら、そのまま永遠に黙っててくれればいいのに.......」
寂雷「飴村くん、だから聞こえてますよ」
乱数「あっはは☆まじうっざ~い☆」
一郎「乱数!いい加減にしろっての!」
乱数「あ~っ!一郎もボクをいじめるの~?!うるうる.......」
左馬刻「先生、すまねえな」
寂雷「いえ。飴村くんとの話はまだ終わっていませんでしたから」

二郎「.......The Dirty Dawgのメンバーが、全員揃ってる.......」
三郎「ちょっとした事件だよ.......」
銃兎「はあ。この4人が偶然にもバトル前に揃ってしまうなんて.......。何も無ければ良いですが、」
理鶯「いい面構えをしている。全員、良き軍人になれる」

一郎「.......左馬刻、」
左馬刻「.......左馬刻『さん』だろどグソ野郎ォ!!!」
一郎「昔のかっこよかったあんたならいざ知らず、今のお前を敬う気持ちは俺にはねえよ!」
左馬刻「俺様が特別に目をかけてやってたのによぉ、この恩知らずが」
一郎「てめえの理想にはついていけねえよ」
左馬刻「ふん。相変わらずの偽善者だよ、てめえはよぉ。この世に平等なんてモンは存在しねえんだ。見てみろこの壁.......この壁こそ俺様の言ってることの証明に他ならねえ。クソ女どもが支配するこの世界で綺麗事いくらほざいてもなんも変わんねえんだ。だから力でねじふせる。俺様の理想とする世界に強制的に作り替える」
一郎「強制された世界になんの意味がある?今のこの状況と何も変わらねえじゃねえかよ!それに、御託をいくら並べても、てめえがあん時にやったことの言い訳にはなんねえ!!」
左馬刻「はっ。それこそ俺の知ったことじゃねえ!カビの生えた話はそこらにいる女の(ピー)にでもぶち込んどけ!!!」
一郎「もういい。てめえは喋るな。明日、永遠に喋れなくしてやる」
左馬刻「おーおー明日までなんて待つ必要はねえ!!!今すぐその生意気な口開けなくしてやんよォ!!!!」(ヒプノシスマイク起動音)
銃兎「はいはいストップー!!!理鶯、左馬刻を羽交い締めにしなさい」
理鶯「うん。了解だ」
左馬刻「っ!なァにしやがんだくそボケェ!!!てめえから殺すぞォ!!!!!」
銃兎「クソボケはお前だ!!!ここでヒプノシスマイクを使ってみろ、一体どんなペナルティがあるか.......」
左馬刻「ンなもん知るかこの野郎ォ!!!!全員まとめて屈服させてやんよ!!!」
理鶯「左馬刻。落ち着け。本敵を目の前にした時の気持ちはわかるが、いまは好機ではない。その怒り、明日に取っておけ」
左馬刻「ッッ.......。クソが.......」
二郎「兄ちゃん、」
三郎「いち兄.......」
一郎「(ヒプノシスマイク停止音).......大丈夫。俺は冷静だ」
銃兎「何やら向こうでも、飴村乱数と神宮寺寂雷がいざこざを起こしているみたいですねえ。ここに長くいるのは得策ではない。さ、早いところ中に入りますよ」
理鶯「ああ、そうだな」
左馬刻「.......どんなヤツらをメンバーに入れたのかと思ったら、てめえのションベンくせえ弟たちか。クソみてえな面構えから察するにゲボ以上に使い道が無さそうなヤツらだなぁ!」
一郎「.......ンだと?!?!?!(ヒプノシスマイク起動音)ッッ、左馬刻ィ!てめえはここでぶちのめす!!!!」
左馬刻「おォやってみろこの野郎ォ!!!!!おい銃兎!マイク寄越せやァ!!!!」
銃兎「なっ.......!お、おい!くっ.......クソが.......!もう好きにしろや.......」
理鶯「.......ふむ。どうやらあちらも、ヒプノシスマイクを起動したみたいだぞ」
銃兎「元The Dirty Dawgの奴らはなんなんだよ一体.......!」
~一郎ラップ~
左馬刻「ぐっ!.......なに.......?俺様が両膝を.......!」
~一郎ラップ~
左馬刻「ッッくそがァ!調子こいてんじゃねぇぞォ!!!!(ヒプノシスマイク起動音)」
~左馬刻ラップ~
一郎「ッッ.......どうしたクソ野郎!ぜんっぜん効いてねェぞ!!!!」
左馬刻「あぁ?まだまだこんなもんじゃねえぞ!!!!!!」
~左馬刻ラップ~
(音が止まる)
無花果「そこまでだ、下郎共」
左馬刻「.......あァ?ンだこのクソ女ァ!!!」
銃兎「ッ!!馬鹿野郎!!彼女は内閣総理大臣補佐官及び警視庁警視総監、行政観察局局長の、勘解由小路無花果だッ!あいつの指先ひとつで俺らなんてどうとでも出来る!大人しくしてろ.......!」
左馬刻「うっせえ!!!!誰だろうが関係ねえ!!面白がってっとこを邪魔しやがったんだぶっ潰す!!!!」
銃兎「理鶯、頼む!」
理鶯「わかった」
左馬刻「ッッおい!離せ!!んの野郎ォ!!!」

無花果「.......これだから野蛮な男共は。おい入間、」
銃兎「は、はい.......何でしょうか?」
無花果「その理性のタガが外れた獣は、お前のチームのリーダーだろう?」
銃兎「その通りです。」
無花果「明日、テリトリーバトルがある。今回は見逃してやるが、2度目はないぞ!」
銃兎「.......重々、承知しております。」
無花果「わかればいい。.......次、山田一郎」
一郎「.......何っすか?」
無花果「お前はもう少し冷静な判断ができる男だと思ってたんだがなあ.......。」
一郎「初めて会うあんたに俺の何がわかる?」
無花果「私は行政観察局のトップだぞ?.......ここまで言えば、知恵のない猿のようなお前でも、理解は出来るな?」
一郎「ちっ.......俺の全ての情報はアンタに筒抜けってことだろ?」
無花果「そういうことだ!理解したのなら、容量が有り余っている脳ミソに刷り込んでおけ!」
一郎「一昨日来やがれ。」
無花果「.......フン。次、神宮寺寂雷.......」

理鶯「.......ヒプノシスキャンセラー.......やはり完成していたか」
銃兎「.......理鶯?どうしました?」
理鶯「いや、なんでもない。行こう。」
左馬刻「(タバコ吸う).......一郎.......命拾いしたな。明日の朝日はちゃんと拝んどけ.......それがお前の、生涯で見る最後のお天道様になるからよぉ.......」
一郎「俺は負けねえ.......弟たちをバカにしたことを後悔させてやる」
左馬刻「っハハ。楽しみにしてるぜぇ」
(足音)

二郎「.......兄ちゃん、ごめん。俺、なんにも出来なかった。俺らのために戦ってくれたのに.......」
三郎「申し訳ありませんでした。僕らが起こした争いだったにも関わらず.......動けなくて.......」
一郎「いや、それでいい。冷静さを欠いたのは認めるが、お前らをバカにされて冷静なままでいる自分じゃなくて良かったと思ってる。」
二郎「.......兄ちゃん.......」
三郎「いち兄.......!」
一郎「左馬刻の野郎に、明日お前らがどれだけやれるか、見せつけてやろうじゃねえか.......!」
二郎・三郎「「はい!!」」

〇Louder Than A Bomb
三郎(明日は初めてのテリトリーバトル。勢いでいち兄の部屋まで来ちゃったけど、明日のアドバイスを貰えれば少しは落ち着くよな!)
三郎「.......よし!」
二郎「おー三郎!!メシ奢ってやるからちょっと付き合えよ」
三郎「.......なんで僕がお前と2人でご飯食べなきゃならないんだよ。」
二郎「ちっ.......相変わらず生意気で可愛くねえ野郎だなお前はァ.......」
三郎「ボクは今忙しいんだ!どっか行ってろよ!」
二郎「ッッオイ!!兄ちゃんの部屋ノックすんじゃねーよ!!!」
三郎「ぐっ、なにすんだっ、離せよぉ!!」
二郎「しゃらくせえなあ!ほら行くぞっ!!」
三郎「んぎぎ、やーめーろ~~~!」

銃兎(.............ん?あれは理鶯?左馬刻の部屋の前で何やってんだ?)
銃兎「理鶯。そんな所で何してるんですか」
理鶯「.......銃兎か。いや、左馬刻に用があって来たんだが、部屋の前にこれが貼ってあってな。どうするか少し迷っていたところだ」
銃兎「ふん、なになに?『今日俺様の部屋に入ってきたやつは誰であろうとぶっ殺す』.......はあ。やれやれ、まるで子供ですね。理鶯、面倒なので、その用とやらは後日にした方が良さそうですよ」
理鶯「ああ。それが無難だな。ちょうどお前にも声をかけようと思っていたんだ」
銃兎「私にもなにか用が?」
理鶯「用というか、誘いだな。先程ホテルの周りを見回っていた時に、コウモリを数匹捕まえたんで、2人に振舞おうと思ってな」
銃兎「こっ.......コウモリ.......?!」
理鶯「どういうわけか.......オオコウモリが居たんだ!なぜ中央区に生息しているのか謎だが、幸運だった。オオコウモリは別名フルーツコウモリと呼ばれており、非常に、美味だぞ。」
銃兎「なっ、なるほど。そ、それは有難いですが、以前もご馳走して頂いたので、今日は是非、私に奢らせて貰えないですか?」
理鶯「お前は、意外と律儀なのだな。.......そうだな。たまには馳走になるか」
銃兎「このホテルの下にレストランがあるので、そこに行きましょう」
理鶯「うん。」
銃兎(ああ.......危うくコウモリを食べさせられるところだった!)

店員「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
二郎「2人で頼むわー」
店員「かしこまりました。それでは、こちらへどうぞ」
二郎「ほら三郎!行くぞ!」
三郎「.......ふんっ。」
店員「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
二郎「あぁ。.......(水を飲む音)」
三郎「.......おい二郎ォ、ちゃんと説明しろよな!本当だったら今いち兄にアドバイスを貰っている所だったのに!」
二郎「それだよ、それ」
三郎「はぁ?」
二郎「お前がアドバイスを貰いに行けば必ず兄ちゃんは親身になってくれるんだろう。にーちゃんは優しいからな。」
三郎「じゃあ邪魔すんなよな!」
二郎「お前はパッパラパーかあァ?!明日はMAD TRIGGER CREWと、いや.......因縁がある碧棺左馬刻とのバトルなのを忘れたのかよ」
三郎「忘れるわけないだろ!!!バカにすんな!!」
二郎「忘れてないんなら、お前は兄ちゃんのことを全く考えていないことになる」
三郎「っ何言ってんだよ!馬鹿か?!僕がいち兄のことを考えてないわけないだろ!!!殴るぞ?!」
二郎「ッハ!バカはお前の方だ!!いいか?今兄ちゃんには明日のために1人で集中してもらった方が良いに決まってんだろ。俺らが不安だからって兄ちゃんに頼って重荷になったらどーすんだよ!!」
三郎「ッッ.......。」
二郎「本当に兄ちゃんのことを思ってるなら、いまは頼るべきじゃねーよ」
三郎「く.......悔しいが、二郎の言う通りだ.......確かに僕は自分のことしか考えていなかった.......」
二郎「.......わかりゃあいい。あーそのー.......まあ、なんだ.......お前の兄貴は1人じゃねえだろ.......なんかあんなら聞いてやらんこともねえぞ」
三郎「はっ。僕が二郎に相談するようになったら終わりさ。」
二郎「ふん。相変わらず可愛げのねえ野郎だまお前は!」
三郎「けど、礼だけは言っておく。おかげでいち兄に迷惑をかけずに済んだから.......それに、少しは話してて落ち着いたから.......」
二郎「あ?もっと大きな声で喋れや!!聞こえねーよ!!」
三郎「ううるさい!!」

(足音)
銃兎「.......おや?なにか騒がしいと思ったら、Buster Bros!!!のメンバーじゃありませんか。」
二郎「ッ!!MAD TRIGGER CREW!!」
銃兎「はは、そう身構えなくても大丈夫ですよ。別に何もしませんから。そうですよね?理鶯」
理鶯「ああ。小官たちは食事をしにきただけだ。食事をする時は幸福でなければならない。争いは食材に対して失礼に当たる」
銃兎「ふ.......まあ食材のことは置いておいても、この通り争う気はありませんので。」
三郎「だったら早くどっか行けよ。」
銃兎「もちろん。留まる理由も無いですからねえ。.......ッふふふ。」
二郎「てめえ.......何がおかしいんだよ?!」
銃兎「これはこれは、大変失礼しました。そこの、中学生さんが威勢だけは良いなと思いましてねえ。」
三郎「どういうことだよ.......?」
銃兎「えーっと.......?君の名前は確か.......?三四郎くん、でしたかな?」
三郎「ッッ.......三郎だ.......」
銃兎「失礼、三郎くん。察するに君は、明日のことが不安で押し潰されそうになっていますねえ。あぁ、隠さなくてもいいですよ。今の君は、職質を受けた犯罪者の様ですからねえ。っふふ、その共通項は、『何かを隠すために虚勢を張る』ってことでふかねぇ。」
三郎「ッッ!」
銃兎「ふふっ。図星のようですねえ。けど、恥じることはありませんよ。子供なら、当然です。さ、行きましょうか理鶯」
二郎「(立ち上がり).......おい!!ちょっと待てよてめえ!!」
銃兎「何でしょうか?」
二郎「てめえ.......俺の弟をコケにしたんだ、タダで帰れると思うなよ!」
三郎「じ.......二郎.......」
銃兎「はぁ.......。やれやれ、コケになんてしていないですよ?私はただ、純然たる事実を申し上げたに過ぎません。コケにされたと感じるのは、君の主観ですから。それを私に押し付けないで頂きたい」
二郎「うっせんだよ!!!ゴチャゴチャ御託並べてんじゃねえぞ!!!てめえのことは知ったこっちゃねえ。俺がムカついてんだからそれであおんだよ!!!」
銃兎「何を言っても聞いてはくれなそうですねえ。良いでしょう、少し大人の怖さを思い知らせてあげましょうか。」
理鶯「銃兎、あまり子供をいじめるな」
二郎「あぁ?誰がガキだって?!てめえもまとめてやってやっかんなァ?!」
理鶯「少年。少しは落ち着け」
二郎「黙れや!!変な格好しやがって、軍人のコスプレかそりゃーよお!!」
理鶯「....少年。軍人をバカにするとはいい度胸だ。少しお灸をすえてやるのも軍人の務めか.......」
二郎「俺が2人まとめて相手にしてやっから、さっさと表出ろや」
(足音)
三郎「.......っ、二郎のやつ.......」

銃兎「こんな路地裏で.......もしかして、ヒプノシスマイクを使うのですか?」
二郎「テメーのその傲慢な鼻をへし折ってやんよぉ!」
銃兎「.......ま、いいでしょう。ここなら、監視カメラも人もいない。バレる心配はなさそうですから」
二郎「三郎.......俺一人でやっからそこで見てろ!!」
三郎「あ、ああ.......」
理鶯「思い上がるなよ?少年。我々2人を1人で相手にするなんて不可能だ。」
二郎「うるせえ!!!俺は今マジでドタマに来てんだよォ!!!」
銃兎「では、先攻は譲りましょう。1ターンで私たちを沈められるよう、頑張ってください?」
ヒプノシスマイク起動音)
二郎「余裕かましやがって.......ぶっ倒してやる!!」
~二郎ラップ~
銃兎「ふん.......左馬刻や山田一郎と同じ、パワーで押し切るタイプのようですね。学生にしては、なかなかのスキルだ」
理鶯「まだまだ甘いがな」
二郎「.......まったく、効いてない.......」
銃兎「言うだけあって、なかなか良かったですよ?」
理鶯「.......ふん。所詮は学生か。軍人の恐ろしさをその身に刻んでやろう」
ヒプノシスマイク起動音)
銃兎「.......行きますよ」
~銃兎ラップ~
二郎「うッッ、は.......!!」
理鶯「お前が選んだ道だ、容赦はしない」
~理鶯ラップ~
二郎「ぐっ...........ち、ちくしょう.......!」
銃兎「さて.......トドメです」
理鶯「行くぞ」
~理鶯&銃兎ラップ~
三郎「やめろおおおおおおお!!!!!」
銃兎「.......ほう?兄を庇いましたか」
二郎「さ、三郎.......」
三郎「はぁっ.......は、勘違いするなよ.......僕がきっかけで今の状況になったんだ、だからこれは、自分のためだ!」
銃兎「美しい兄弟愛ですねえ。いいですよ?2人でかかってきなさい」
理鶯「結果は変わらん。来るなら早く来い!」
三郎「ああ.......やってやるよ!!二郎、行けるか?」
二郎「っへへ.......誰に言ってやがんだ!」
ヒプノシスマイク起動音)
~三郎ラップ~
理鶯「これならお前の兄の方が幾分かマシだったぞ」
二郎「なら!2人でぶちかましてやる!!!」
~二郎&三郎ラップ~
銃兎「くはッ!」
理鶯「クッ.......!」
銃兎(馬鹿な.......2人混合になった途端、別物になりやがった.......!)
理鶯「面白い.......!」
ヒプノシスマイク停止音)
二郎「おら、何しまってやがんだ!早く次こいや!!」
銃兎「あっはは。今日はここまでにしておきましょう。」
二郎「てめえ芋引くのかよ?!」
理鶯「フッ。これ以上やるのはお互いのためにならない。」
三郎「どういうことだよ?」
銃兎「.......君たち2人になった途端のラップは、我々にも相当な負担になるからですよ。このまま続けたら、4人とも使い物にならなくなります。そんなことになったら左馬刻になんて言われることやら.......。君たちも、山田一郎に失望されたくはないでしょ?」
二郎・三郎「「っ.......」」
銃兎「心配しなくても、明日、白黒つけるんです。その時存分にやり合いましょう」
理鶯「ふむ.......1人だと少年で、2人合わさるとソルジャーか。面白い奴らだ。明日、相見えるのを楽しみにしていよう」
銃兎「.......ああ、一応私からアドバイスを。君たちは些か、兄である山田一郎に依存しすぎです。そこの所を少し考えた方がいいですよ?せっかくポテンシャルはあるのに、それでは、どこまで行っても兄以上にはなれませんよ」
二郎「あ?考えるって何をだよ!兄ちゃんは神みてえな存在だ!最高の男で、最上の男なんだよ!!なあ、三郎!」
三郎「.......」
銃兎「.......ま、聞き流してもらっても結構ですが?今一度、自分と向き合ってみるのもいいと思いますよ。.......それでは。」
(足音)

二郎「ッッあー.......」
三郎「依存.......か」
二郎「あー?三郎どうしたんだよ」
三郎「...いや、さっきのメガネが言っていたことが引っかかってさ」
二郎「あぁ?!あのクソメガネが言ってたことだぁ?!あんなん無視しとけ!」
三郎「っもちろん、いち兄のことは尊敬してるさ。けど!」
二郎「おい!兄ちゃんが『けど』とか言い訳くせぇ言葉吐くなって言ってただろ!!」
三郎「そう.......だな.......」
二郎「そうだよ。俺らは明日、兄ちゃんのバックアップをしてアイツらに勝つ!至って単純な話だ」
三郎「バックアップ.......か」
二郎「あ?まだなんかあんのか」
三郎「いいや…何でもない。明日は絶対に負けないさ」
二郎「ははっ、その調子だ!!生意気じゃねえお前はお前じゃねえからな!」
三郎「はっ、大きなお世話だ」
二郎「.............なあ、三郎」
三郎「.......なんだよ」
二郎「明日.......絶対に勝とうな」
三郎「当たり前だ。負けは許されねえ」
二郎「じゃ、戻って明日のためにメシ食おうぜ!」
三郎「お前の奢りでな!」
二郎「.......ちゃっかり覚えてんのな、そこは」
三郎「っへへへ!」

(足音)
銃兎「理鶯。」
理鶯「なんだ?」
銃兎「イケブクロ.......山田一郎だけ警戒すればいいと思っていたが、そうも言ってられなくなったな」
理鶯「そうだな。奴らの力は本物だった」
銃兎「っはははは.....明日が楽しみだな.......!」
理鶯「ふむ。小官のやることは変わらない。目の前の敵を、駆逐するだけだ」
銃兎「っふふ。」

〇Know Your Enemy Side ~F.P. vs M.
(扉が開く音)
幻太郎「お邪魔します。.......はあ。乱数、またモノが増えてますねえ。こんな場所で仕事なんて気が散りませんか?」
帝統「うわっ!相変わらずカラフルな事務所だなー.......。目が痛くなるッ」
乱数「もぉー!入ってくるなりボクの事務所の文句言うなんてぇ、めっ!だよー?」
幻太郎「それもそうですねぇ。あなたの事務所に我が文句を言うのも筋が違うのであろうなぁ?」
帝統「ははっ!違ぇねえな!」
乱数「それにしても、二人揃って登場なんて仲良しさんだねっ☆」
幻太郎「....そうですねえ.......。妾と帝統は、前世で結ばれなかった姫と武士。今世で巡り会えたのですから、一時も離れたくないと思うのは、当然でありましょ?」
乱数「そーーなんだぁっ!?帝統武士だったんだー!!かっくい~!」
帝統「(ぺちん!)」
幻太郎「あたっ」
帝統「くだらない嘘ついてんじゃねーよ!たまたまこの近くで会っただけだ!」
乱数「ええ~~っ?それなら幻太郎はお姫様じゃないのぉ?」
幻太郎「ははっ。嘘ですよ?♡」
帝統「つか、こんな変人と現世で恋人同士とかまっぴらゴメンだぜ」
幻太郎「ええ.......。小生もまっぴら御免ですよ.......ま、それは嘘ですけどね?」
帝統「まっぴらごめんが嘘ってことは.......うわあ!俺に近寄んじゃねーッッ!!」
幻太郎「あっはは。それも嘘ですけど?」
帝統「ダメだ.......こいつと話してると疲れる上に話が先に進まねえ。」
乱数「あっはははは☆やっぱ2人とも最っ高におもしろーい☆ねえねえっ、今日は何して遊ぼーか?」
幻太郎「.......乱数、今日私たちが来た理由を言ってみなさい」
乱数「えっ?2人ともボクの事務所に遊びに来てくれたんだよねっ?」
幻太郎「本気で言ってそうですね.......」
帝統「『遊びに来てくれたんだよねっ?』じゃねーーよ!!ここに集合してから中王区に行くんだろうがよ!!」
乱数「あっそうだった~!ボクとしたことが~!ごめーんねっ☆」
帝統「ああ゛~~~~!!こいつぜってーー俺らのことバカにしてやがんぜ~~!!」
乱数「えーえっ?!ひどいなーぁ!大好きな二人のことを馬鹿になんかするわけないじゃんかー!」
幻太郎「帝統。乱数に突っかかっても不毛なだけです。だから落ち着きなさい」
帝統「うぐ…」
幻太郎「はあ。で、明日のテリトリーバトルで当たるのは、シンジュク・ディビジョン『麻天狼』でしたね。リーダーの神宮寺寂雷とは、旧知の仲ですよね?乱数」
乱数「あっははは…そうだねえ」
幻太郎「どんな人物なんですか?」
乱数「いい人だよっ」
幻太郎「…他には?」
乱数「いい人だよっ」
幻太郎「他には?」
乱数「いい人だよっ」
幻太郎「もしかして乱数…神宮寺寂雷のこと、嫌いなんですか?」
乱数「やぁだな〜幻太郎!ボクに嫌いな人なんて居ると思うの?」
幻太郎「はぁい。勿論です。乱数は私以上に本質が掴みづらい人物だと認識しています。あなたのことを調べてみましたが…どうにも釈然としない。」
乱数「あっはは…釈然としないって、何がかな?」
幻太郎「隙が全く無いんですよ。あなたの人生には。普通、何かしら人間らしいエピソードが出てきますが、あなたにはそれが無い。嘘っぽいんですよ。全てが。これは嘘つきの第六感が告げています。乱数には何かがある、と」
乱数「……幻太郎、これ以上俺のことを調べるのはやめろ。俺にとって不愉快な話だ」
幻太郎「っ!」
乱数「良いか、よく聞け。これはお願いしてるんじゃない、命令だ。そこを履き違えるなよ。二度は言わない」
帝統「お…おい、どうしたんだよ、乱数…」
乱数「……あっは☆ねえねえっ、今のボク、怖かった?怖かったっ?仲良くしてるオネーサンが、こんなキャラが好きだっていうから、練習したんだっ☆」
帝統「んだよ〜〜!マジビビったぜ〜!いきなり口調も雰囲気も変わるんだからな!乱数、お前役者になれるんじゃねーかっ?」
乱数「わぁーーいっ!帝統に褒められちゃった〜!やったね〜!」
幻太郎「…ふう。まあ良いでしょう。人にはそれぞれ物語があるってことですし…私の目的が達成できればそれで構いません。それに……初めて乱数の人間らしい所に触れた気がしますし」
(鳩時計の音)
帝統「んっ?おぉっ!結構良い時間になっちまってんじゃねーか!早く行こーぜ!」
乱数「わっ!本当だねっ!早く行かないとだっ!さっ、幻太郎行こっ」
幻太郎「そうですね…行きましょうか」
乱数「それじゃ中王区に向けて〜!レッツゴー!」

一二三「おーい!独歩!入るぞー」(ガチャ)
独歩「ぐあっ!!」
一二三「……まーた部屋こんなに散らかしやがって!せっかく俺っちが掃除しても毎ッ回これだからなあ〜」
独歩「……んんん……むにゃ……」
一二三「ほらほら!早く起きろよ独歩!先生との約束の時間に遅れちまうぞ〜!?」
独歩「あぁあ…課長…すみません、すみません…俺が…俺が悪いんです…今月うちの部署の成績が悪いのも、空調が壊れたのも、課長の頭がハゲてるのも全部俺のせいです…んん、すみません…すみません…」
一二三「ひゃー!夢の中でも謝ってる…どんだけ社畜根性が刷り込まれてんだよ!……ほら!夢の会社から帰宅して来いって!ほら!ほーーら!!」
独歩「あ痛って…」
一二三「ほら帰ってこーーい!」
独歩「…痛い」
一二三「おおっ!起きたか独歩!」
独歩「一二三、お前もっと同居人を労った起こし方をしてくれ…」
一二三「起きないおまえが悪いんだろー!つか、夢の中まで『スミマセン』を連呼してたぞ!社畜すぎんだろ!」
独歩「う、ほ、ほっといてくれよ…はあ…そうか、夢の中でも俺は働いていたのか…その分も給料請求したいよ…」
一二三「ほら!朝飯作ってあるから、サクッと食べて待ち合わせ場所に行くぞ」
独歩「今日の朝飯は…(くんくん)焼き鮭か。」

独歩「先生、すみません。車を出してもらうだけじゃなく、運転までして頂いて…」
寂雷「気にすることはないよ。車の運転は嫌いじゃないからね」
一二三「ほーんと、いつもすんませんっ!」
独歩「…ん?ちょっと待て、『いつも』だと?」
一二三「そーだけど?それがどったの?」
独歩「何でおまえが先生の車にいつも乗ってるんだよ」
寂雷「ああ、一二三くんと釣りに行く時は、私が運転しているからだよ」
一二三「そーそー、先生と俺っちは釣り友なんだよ」
独歩「き、聞いてないぞ…」
寂雷「え?そうなのかい?一二三くんには毎回、独歩くんにも声を掛けてと頼んでいたのだけど?」
一二三「聞いてないってことはないっしょー!俺っちはいつも独歩に声かけるんすけど、いつも、『今すぐ寝たいから明日にしてくれ…』って言われて!結局生活リズムが真逆だから言えずじまいなんす!」
独歩「はあ…月1くらいで休みの日がどうとか、言ってた気がする…」
一二三「な?」
独歩「確かに、これは俺が聞こうとしなかったのが悪いな…しかし、なんかこう…そこはかとなく除け者になっている気が…」
一二三「はっはー!俺っちが独歩を除け者にするはずないじゃーん」
寂雷「その通りだよ。次回は休みを合わせて、三人で釣りを楽しもうじゃないか」
独歩「一二三、先生…!ありがとうございます…ハゲ課長をヒプノシスマイクの餌食にしてでも休みを取ります!」
一二三「珍しく独歩がやる気になってるじゃーん!うりゃうりゃ〜、っへへ〜!あははっ!」
独歩「やめろ一二三、くっつくな…!」
寂雷「…休みを取るのに、ヒプノシスマイクを使うのはやめようね。独歩くん?」


乱数「あっはは☆すっごぉ〜い高い壁〜!中王区の外壁って、いつ見てもすっごいなぁ〜!」
幻太郎「乱数?もっと某の周りをウロチョロしてください。あなたが楽しそうにしているのを見ると、非常に心が躍りますから」
帝統「っおい幻太郎!余計なこと言ってんじゃねーよ!さらにウザくなんだろうが〜!」
乱数「えっへへ〜、じゃあ、もっと走り回ってあげるね〜☆きゅい〜〜〜〜んっ(ドタドタドタ…)えへへっどうかなどうかなぁ〜?」
幻太郎「…ま、嘘ですけど」
乱数「えぇ!?嘘なの?!」
幻太郎「はい。正直に言いますね?鬱陶しいからウロチョロしないでください」
乱数「あっはは☆もう騙されないぞ〜!それも、嘘なんだよねっ?」
幻太郎「いえ、これは嘘じゃないです」
乱数「ボクは騙されないかんね〜!」
幻太郎「はあ…乱数?知らないかもしれませんが、帝統は自分の周りをうろうろされるのが、三度の飯より好きなんです。なので、帝統の周りだけでウロチョロしてください」
帝統「おいてめっふざけんなよ!?」
乱数「そうなの〜?!そっか〜、帝統の周り、たくさん周ってあげるね☆きゅい〜〜〜んっ!」
帝統「だぁ〜〜〜〜〜うるせえ〜〜〜〜〜!!!!大人しく、してろって!」
乱数「きゅい〜〜〜〜〜〜んっ!(ドタドタ)」
帝統「だあぁ〜〜〜〜〜!!!!!」
乱数「あははははっ!つっかまえてごらーん!」
帝統「待ちやがれ〜〜〜〜〜!」
幻太郎(乱数の様子はいつも通り…いや、違うな。’あれ‘から本質は見せていない。試してみるか…)
幻太郎「あぁ、そうだ帝統。」
帝統「ああ!?なんだよ?」
幻太郎「ちょっと車の中に忘れ物をしてしまったから、取ってきてくんなまし♡」
帝統「はあ?!なんで俺が行かなきゃなんねえんだよ!てめえで行け、てめえで!」
幻太郎「そうでありんすか…。それなら諦めんしょう…。今夜みんなでギャンブルをやろうと、花札を持ってきていたんでありんすが…わっちはどっちでもい、」
帝統「ハハハ!すぐに取ってきてやっから、鍵を寄越せ!」

幻太郎「…さて、乱数?」
乱数「っとー…なぁにっ?幻太郎。」
幻太郎「ちょっと聞きたいことが」
乱数「うんっ!何でも聞いてよ!ただ、その聞きたいことっていうのは、さっきみたいなつまらない話かなぁー?もしそうならボクそういうのきらーい」
幻太郎「ふっ。良いでしょう、僕はあなたと揉めるつもりは一切ありませんから」
乱数「えっへへ☆幻太郎好き〜〜っ!」
幻太郎「あー…はいはい。それは僥倖…」
帝統「(ドタドタ)ッッ…幻太郎!!てめぇ花札なんかねえじゃねえかよー!!!」
幻太郎「まあ嘘だけどね?」
帝統「てんめえ〜〜〜〜!!!!!」
乱数「あっ!一郎だー!おーい!いっちろ〜!(どたどたどた…)」
幻太郎「……ふん。飴村乱数…つくづく面白いやつだな」

一二三「はぁ〜〜っ着いたぁ〜!いやぁ〜…相変わらず中王区の壁はたっかいなぁ〜…」
独歩「…ああ…そうだな…この重厚な壁や厳重な警備は、俺が命を削って稼いだ金から、高い税金を払って作られているんだ …それを思うと血の涙が出る…」
寂雷「この壁が、今の歪んだ世界の象徴ですね」
一二三「そういえば先生は、一発目にあたるシブヤ・ディビジョンのFling Posseにいる、アメムラシグマ…だっけ?そいつと、元々チーム組んでたんすよね?」
独歩「…一二三、シグマじゃなくてラムダだ」
一二三「へへ、そうだそうだ!ラムダ!そのけったいな名前のやつは、どんな奴なんすか?」
寂雷「飴村くんか…そうだね…」
独歩「……(ペチン)」
一二三「ッッ…何すんだよ?独歩ぉ」
独歩「バカ…噂によると先生と飴村乱数は仲が悪いんだ…気を悪くされたらどうすんだ!」
寂雷「はは。独歩くん、ありがとう。だけど、気を遣ってもらわなくて大丈夫だよ」
独歩「先生…」
一二三「ほらあ!先生が良いって言ってんだからさ!」
寂雷「そうだな…彼に対しては正直、あまり良い感情を持っていないね」
一二三「仏みたいな先生が嫌いって、そいつ何やったんすか?!」
寂雷「私は変人や奇人といった人々は興味深く好きだが、人道……そうだな、『道を違える』と言えばいいのかな。彼はその手のことを犯している」
独歩「そ、それじゃあ、飴村乱数が原因で、前のチームは解散になったんですか?」
寂雷「原因ではあるが、それが全てじゃないよ」
一二三「つか、その人道を外れたことって?」
寂雷「それは…いや、やめておこう。残念ながら、彼自身に対しては好意的ではないが、その内容を喧伝するのは、私の主義に反するから、答えは控えさせてもらうよ」
一二三「えぇ〜〜〜!?いいじゃないっすか〜!教えてくだンン!!」
独歩「一二三…!答えたくないって仰っているんだ!無理に聞き出そうとするなって…!」
一二三「む、ぐう…へーい」

左馬刻「先生じゃねーか、偶然だな。入る時間が被るなんて」
寂雷「…ん?ああ、左馬刻くん。久しぶりだね。変わりがないようで何よりだよ」
左馬刻「おう。お前ら先生に挨拶しろや」
銃兎「初めまして。MAD TRIGGER CREWの入間銃兎と申します。神宮寺先生のお噂はかねがね。お会いできて光栄です」
理鶯「お初にお目にかかる。小官は、毒島メイソン理鶯だ。よろしく頼む」
寂雷「これはご丁寧に。私は麻天狼 神宮寺寂雷です。今後争う間柄とはいえ、よろしく」
左馬刻「先生の後ろにいる奴らがチームメンバーか」
寂雷「そうだよ。二人とも、自己紹介を」
一二三「どもー!俺っちが、麻天狼のMC GIGOLO、伊奘冉一二三でっすっす〜!よろ〜!」
左馬刻「ああ?テメエ何チャラチャラしてやがんだ?!」
一二三「ひゃっはっは〜!やっべ〜〜!ザーヤク怒らせちった!独歩ちんお助け〜」
独歩「お、おおおい!ひ、一二三…」
左馬刻「はあ。なんだこのリーマンはよぉ!」
独歩「ひ!!!!!ヤクザ!!!!!!」
一二三「ほら、独歩!ちゃんと挨拶しないと失礼だろ〜!?」
独歩「ううう…わ、私は、こういう者です‥」
左馬刻「名刺だぁ??(グシャグシャ)めんっどくせえ!名前くらいテメエの口で言えやぁ!!!」
独歩「ひっ…すいませんすいませんすいません!私は、観音坂独歩というしがないサラリーマンです…!!」
銃兎(…ん?彼はどこかで会った気が…)
左馬刻「最初っからそうやって言えバカヤロー!」
独歩「ッッ、っこほ、こほ、こほ…はぁ、ふぅ…やっぱり俺はどこに行っても怒られる運命にあるんだ…どうせ明日も俺がいらないことをして俺のせいで負けるんだ…そして明日は俺のせいで雨が降るんだ…傘も盗られてビシャビシャで、女性の前に出ることになるんだろうな…はっ、全部俺が、俺が俺が俺が…」
理鶯「急にどうしたんだ。気分が悪いならこのラベンダーを使った特製ドリンクを飲むといい」
独歩「っえ?ご、御親切に、ありがとうございます…」
左馬刻「おい銃兎、あの飲みもん前に俺らが飲んで意識ぶっ飛んだ奴じゃねえか?…ん?おい銃兎どうした?」
銃兎「っ!!!!っはあ、はあ、…やめろ!思い出したくもない…あの忌まわしすぎる味を思い出させないでくれ!」
左馬刻「おー…まあアイツに教えてやる義理もねえか」
独歩「それでは頂きますね…(ごくごく)…っは…おぉ〜〜!なんか気分が良くなった気が…!ちょっと苦いですが、それも良く効く感じがします!あの、今度作り方を教えてください!」
理鶯「それはよかった。勿論、教えよう。今度ヨコハマ・ディビジョンに来るといい」
左馬刻「マジか…?あれを普通に飲みやがった…」
銃兎「…っは、正気の沙汰ではありませんね…」
一二三「へぇ〜、独歩!俺っちにも一口飲ませてくれよ〜!」
独歩「まったく一二三は…毒島さん、よろしいですか?」
理鶯「構わない。」
独歩「ありがとうございます!ほら、一二三も礼を言え!」
一二三「あざーすっすっす!」
理鶯「飲むがいい」
一二三「よぉーい!いっただきやーす!……ぶはぁ!!!!!!」(バタン…)
独歩「おい一二三っどうした?!こんな時にふざけるなよ…」
一二三「……っ!!!」
左馬刻「…まあアレが普通の反応だな」
銃兎「ああ、そうだな」
左馬刻「…あ?どうした銃兎」
銃兎「いや…何でもない。そんなことより左馬刻、ちゃんと通行証は持ってきたんだろうな?」
左馬刻「当たり前じゃねーか、持ってきてるに決まってんだろ。………ん?あ?…っあぁ〜〜にゃろう!」
銃兎「はあ?まさか…事務所に忘れてきたとか?」
左馬刻「ちげーよ!!!!あのお、あれだ…車のダッシュボードの中にはあるっつの!!!!」
銃兎「それは重畳。それじゃ、取りに行くとするか。さ、理鶯も」
理鶯「承知した」
左馬刻「つーことで先生、またな。」
寂雷「ああ。左馬刻くん、また明日。それでは…独歩くん、一二三くん。私たちは、先に行くとしますか」
一二三「ういーっす…」
独歩「はい!」


一二三「おっ!あの一際でっかい門があるところが、正門っすね〜?」
独歩「あれ?あそこにいるのは、他のチーム…ですかね?」
寂雷「そうみたいですね。一郎くんたちと、それに…飴村くんもいますね」
一二三「おっ!先生が嫌いな飴村乱数か!」
独歩「おい…!いくら先生が気を使わなくても良いと仰ってるからってデリカシーが無さすぎるぞ…!!そうですよね、先生…先生?」
一二三「先生、もう前の方に行っちゃったぞ」
独歩「先生…?」

寂雷「久しいね、一郎くん。それに…飴村くんも」
一郎「寂雷さん。どうもっす」
乱数「うげ〜…寂雷のジジイも居る…あっはは☆寂雷、ひっさしぶり〜☆」
寂雷「聞こえてますよ、飴村くん。相変わらず君は、年長者に対する礼儀がなってないね」
乱数「えぇ〜えっ?何のことかボクわからないな〜っ?…ジジイのくせに耳はいいとか…」
寂雷「はあ、だいたい君はいつまでそんな年齢に似つかわしくない行動をしているつもりだい?」
乱数「あっかんべ〜〜〜〜〜だ!!!おっきなお世話だよ!ふんっ!べーーだ!なんか言ったらどうなの〜?!」
幻太郎「ほう…?アレが麻天狼リーダー、神宮寺寂雷ですか。聞いていたほど温厚では無さそうですね」
帝統「あぁ?どういうこったよ。」
幻太郎「 『神宮寺寂雷は虫も殺さない仏のような人物』と聞いていましたが、乱数にいきなり突っかかっているからですよ。」
帝統「へえ〜?」
幻太郎「もしくは、仏のような人物を怒らせるほどのことを、乱数がしでかしたのかもしれません」
帝統「違えねえ。乱数ならやりかねねえな。まっ、俺にはそんなん関係ねえけど」
幻太郎「帝統は、彼らに何があったか気にならないのですか?」
帝統「そんなの知らねーよ。俺はここにギャンブルをしにきたんだ。そんなくだらねーいざこざを聞いたところで、ひりつかねえよ」
幻太郎「ふっ…帝統らしいですが、我々の敵を知ることも、勝利する上で大事なことです」
帝統「だったら、そういう細けーことはお前に任せるわ!俺は目の前のやつと、命の張り合いを楽しむからよ」
幻太郎「…ふう。全く。まあ確かに、大雑把なあなたに頼んでもあてにできませんから。適材適所、我は我の役割をこなしましょうかね」
帝統「…なんか、バカにされた気がするが…ま、めんどくせーことを引き受けてくれるんだ。気にしないでおいてやるよ」
幻太郎「それは重畳。ん?あちらから来るは…」

左馬刻「(タバコ吸う)クソ偽善者の山田一郎くぅん…会いたかったぜ」
銃兎「おやおや、皆さんお揃いのようで」
理鶯「…ふむ。あれが元The Dirty Dawgの山田一郎と飴村乱数か。なるほど…雰囲気はあるな。果たしてどの程度のものなのか、…ふっ、楽しみだ」
独歩「…あ、あれ?なんか、MAD TRIGGER CREWの警察の人が俺の所に歩いてくる…」
一二三「どうしたぁ?独歩。知り合いでもいたのか?なあんてな!こんなとこでお前の知り合いなんて…」
銃兎「やあ!お久しぶりですね。雰囲気が変わっていて、先程は気がつきませんでしたよ。」
独歩「えっ…お久し…ぶり?」
銃兎「忘れるのも無理はありません。私の見た目も変わりましたからねえ。以前、職質をよくかけていた入間です。」
独歩「はっ…あぁあ!あの、不良警官さん!!」
銃兎「っ…思い出し方がアレですが、記憶に残っていて幸いです。」
一二三「ええええい!マジで知り合いかよー!」
銃兎「ユニークなご友人をお持ちのようだ。」
独歩「す、すみません…」
銃兎「あはは。観音坂さん、相変わらず『すみません』が口癖になってますね。」
独歩「あぁっ!すみません…あっ」
銃兎「あなたは何も謝ることはないですよ。それでは、私はこれで」
独歩「は…はい!それでは、また…」
(銃兎が去る足音)
一二三「……独歩ぉ、あの人とどこで仲良くなったんだ?」
独歩「べ…別に仲良いわけじゃ…昔、ちょっとな…」

乱数「あっ!さーまときっ!おっひさ〜!」
左馬刻「!……っ。あぁ〜〜〜うぜえ!ひっつくんじゃねーよ!」
乱数「あっはは!久しぶりなんだからいいじゃーん!」
左馬刻「……。あぁ〜゛、てめえ…いい加減にしねえと砂にしちまうぞこの野郎!!!」
乱数「左馬刻こわーいっ!」
寂雷「人が話しているとき、急にいなくなるのは失礼ですよ。あまつさえ人が嫌がることをするなど、いい大人がすることではありません」
乱数「ならボク子供でいいもーん!」
寂雷「…はあ。呆れて何も言いたくないですね」
乱数「……なら、そのまま永遠に黙っててくれればいいのに……」
寂雷「飴村くん、だから聞こえてますよ」
乱数「あっはは!まーじうっざ〜い☆」
一郎「乱数!いい加減にしろっての。」
乱数「あぁ〜!一郎もボクをいじめるのぉ?うるうる…」
左馬刻「先生、すまねえな」
寂雷「いえ、飴村くんとの話はまだ終わっていませんでしたから」
独歩「だ、The Dirty Dawgのメンバーが揃った…?!」
一二三「ひゃ〜〜!この光景写真に撮ってSNSに上げたら、かなりバズるんじゃねぇ?」
幻太郎「仲違いした伝説のグループが偶然にも一堂に会する…小説だったら盛り上がる場面ですが、こうして出くわしてみると…御免被りたいですね」
帝統「ふ〜ん?どうでもいいけど、早く中に入って賭場に行きてえんだけどな〜!」

寂雷「飴村くん。先ほどの話の続きだが、」
乱数「べっつに寂雷には迷惑かけてないんだから、ほっといてほしいかな!」
寂雷「はあ。本当にそう思っているなら、君の神経を本気で疑うよ」
乱数「あっはは。何言ってるのかなぁ?ボクわからないよ…」
寂雷「私は歪な人間のあり方自体は、興味深いので嫌いではない。そのような人間に周りが振り回され、結果どのような不幸に遭っても、それが人生というものだ。私は否定も嫌悪感も抱くことはない。だが、」
乱数「もぉ〜〜〜〜〜っ!寂雷の話難しすぎてつまんなぁ〜〜いっ!(たったったった…)………そこまでだ。神宮寺寂雷。その先を口にすれば、後悔することになるぞ」
寂雷「なに…?」
乱数「だーかーらー!つまんない話は、ダメダメなんだよっ?」
寂雷「ふふふふ…飴村くん?」
乱数「なぁにっ?」
寂雷「誠に申し訳ないのだが、やはり私は、君のことを好きになれそうにない」
乱数「あっはは!ぜんっぜん気にしないでよ!だってボクも寂雷のこと、だいだいだいだいだいだーーーいっ嫌いだからさ☆」
寂雷「ふふふふ…」
乱数「えっへへ〜!一秒でも早く、寂雷の顔見たくないんだよね〜。明日まで待つ必要無いかな!」
ヒプノシスマイク起動音)
寂雷「仕方ありません。正当防衛です、これは」
〜乱数ラップ〜
寂雷「ぐっ…ふふふ、久しぶりですね…この感じ。幻惑系を得意とするだけあって、目眩が酷い…」
乱数「あーれれー?もうダウンしちゃったのかなー?寂雷だっさ〜〜い!」
〜乱数ラップ〜
寂雷「さすがのフローと言わざるを得ないですね。
ヒプノシスマイク起動音)今度は…私の番です」
〜寂雷ラップ〜
乱数「あぁっ!ずっこーい回復するなんて!」
寂雷「さらに行きますよ」
〜寂雷ラップ〜
乱数「いっ、ぐう……!本当暗いよね。寂雷のラップは攻めるんじゃなくて、自分に向けて効果を発揮するんだから。最後は精神向上して防御力を上げたし…」
寂雷「戦い方は人それぞれです。文句を言うのは三流です」
乱数「かっち〜ん…どんどん攻め込んでやんだからね!」
〜乱数ラップ〜(途中で強制終了)
無花果「そこまでだ!下郎ども」
寂雷「あれは…」
乱数「チッ」
一二三「ひぃ!?!?!?!?女がこんなに、たくさん……」
幻太郎「これはこれは、」
帝統「えらく派手なお出迎えじゃねーかよ!」
独歩「せ、先生、あの怖い女の人はもしかして…」
寂雷「彼女は、内閣総理大臣補佐官及び警視庁警視総監 行政監察局局長の勘解由小路無花果。現政権のナンバーツーさ」
独歩「や、やっぱり…」
無花果「…次、神宮寺寂雷」
一二三「ひぃい!?こっちに、来る…」
寂雷「はい。何でしょうか」
無花果「質問をしたいのは私の方だ。この馬鹿者!貴様、この状況に申し開きはあるか?」
寂雷「いえ、ありません」
無花果「っフン。お前も所詮は、男というわけか」
独歩「あああ、あの、」
無花果「なんだ」
独歩「そ、その、先生は、飴村乱数がヒプノシスマイクを起動したから仕方なく…」
寂雷「独歩くん。私は大丈夫ですから。」
独歩「け、けど…」
寂雷「いいですから。それよりも、一二三くんが怯えているみたいだから、そっちを」
一二三「うぅ…独歩ぉ…お、おれから、離れないでよぉ…」
独歩「……、わかりました」
寂雷「大変申し訳ありませんでした。」
無花果「いい心がけだ。私の前で言い訳をしたらどうなるか、わかっているな?よし次、飴村乱数」
乱数「はいは〜いっ!何かな何かなぁっ?」
無花果「うるさい。耳障りだな、貴様の声は!」
乱数「うっ、うえぇ〜〜んっ!オネーサンに怒られちゃったよぉ〜!」
無花果「貴様のような奴と話すのはイライラする。いいか、一度しか言わないからよく聞け!」
乱数「やっだよーん☆ボク難しい話よくわかんないから、聞っかな〜い!ばいばーい!」
無花果「馬鹿と話すこともないか、…よし、撤収するぞ」

寂雷「一二三くん。大丈夫かい?」
一二三「ぉ、おんなが、い、いっぱい…」
独歩「よく見ろ!もういないぞ」
一二三「っ!!あ〜!マジ怖かったぁ!」
独歩「飴村乱数は予想していた以上におかしな人物ですね」
寂雷「そうだね。変人ではあるが、そのスキルは一級品だ」
独歩・一二三「「……」」
独歩「他のメンバーも見ていましたが、曲者っぽい感じでした。」
寂雷「一筋縄ではいかないかもしれないが、君たちがいれば勝てるさ」
独歩・一二三「「先生…」」
寂雷「それじゃあ、中王区に入ろうか」
独歩・一二三「「はい!」」

幻太郎「それにしても、勘解由小路無花果なんて大物、初めて直視しましたよ」
乱数「あのオネーサンが出てくること、滅多にないから、会えてラッキーだったね
☆」
帝統「さっきの偉そうな女、そんな大層な名前の奴なんだな」
幻太郎「帝統?偉そうなのではなく、偉いんですよ本当に。」
帝統「へえ〜。そうなのか。」
幻太郎「帝統…まさか彼女を知らないとか?」
帝統「まったく知らねえ。あんな奴知らなくても。ギャンブルに何の影響もないからな」
乱数「あっはは!帝統らしいねっ☆」
幻太郎「はあ、だいたい乱数が、あんなお上のテリトリーでヒプノシスマイクを使うからあんな状態に…」
(携帯の着信音)
乱数「っ!ごっめーん!ちょっと電話出ってくーるねー!」
帝統「別にここでも構わねえぞ?」
乱数「オネーサンからの電話だから、内容聞かれたくないなー。それとも、帝統はボクとオネーサンの、イチャイチャした会話聞きたいのかなぁ〜?」
帝統「ンなもん聞きたくねえから、外でしてくれ!」
乱数「だっよね〜!それじゃ、ちょっと行ってくるね!」

乱数「あっはは!オネーサンから連絡くると思ってたよ☆うん、もちろん誰にも聞かれてないよ。…うん、あっはは。それはごめんって〜!……うん、わかってるって〜!…あぁ、ふんふん。あぁ〜…、あぁ……ああ、それは問題ない。ああ、滞りない。他のディビジョンの奴らに不審な行動があれば、すぐ報告する。…ああ、頼む。……うん、はぁ〜い!あっは☆もちろんだよっ、無花果オネーサン☆」

〇Just A friend
(着信音)
幻太郎「んん?帝統……部屋が隣なのに、電話を……。ピッ。もしもし?」
帝統『おぉ〜、幻太郎!すまねえが、ちょいと迎えに来てくれねえか?』
幻太郎「迎えにって…あなた部屋にいないんですか?」
帝統『ちょいと野暮用で外に出たんだが、のっぴきならない状況になっちまってな…。だから、今から言うところまで迎えに来てくれよ!』
幻太郎「やれやれ。わかりました、どこですか?」
帝統『まーじ助かるわ!場所は……』

幻太郎「(ピッ)…ま、退っ引きならない状況とは、おおかた想像つきますがね」

帝統「おーい!幻太郎、こっちだ!や〜、助かったわぁ!」
幻太郎「……なんとなく想像していましたが、それ以上ですねえ。帝統、なぜパンツ一丁でヒプノシスマイクを持っているんですか?」
帝統「よくぞ聞いてくれたっ!語るも涙、聞くも涙の冒険譚をっ!」
幻太郎「あやっぱ良いですー。どうせギャンブルで見ぐるみ剥がされたんでしょうから。一応ヒプノシスマイクは賭けなかったようですし」
帝統「なぜそれをっ…お前はエスパーかっ?!」
幻太郎「その通り。私がエスパータイプだ。……あなたを知る者が今のあなたの格好を見たら、100人中100人がわかると思いますよ?ちなみに…この怪しげな場所はなんなんですか?」
帝統「ここは、違法の賭場だ!」
幻太郎「いやそんな胸を張って違法と言われましても…。それにしても、来たばかりでよくこんな場所を見つけましたねえ」
帝統「俺の特技に『どんな場所でも賭場を見つけられる』ってのがあってな」
幻太郎「まったく不要な特技ですねえ。迎えに来ましたがどうすればいいんですか?その格好じゃあ歩き回れませんよ?」
帝統「あっはっはっはっは!んん〜〜、とう〜〜〜っ!……お願いします、お金貸してくださあ〜〜〜〜〜い!」
幻太郎「なんだって?」
帝統「お願いします。おかね、貸してくださぁ〜〜〜〜〜い!!!」
幻太郎「もう一丁」
帝統「お゛ね゛がいします。おかね、かしてくださあ゛あ゛い!」
幻太郎「だろうなと思って一応お金は用意してきています。とりあえず土下座はやめてもらっていいですか?恥ずかしいので」
帝統「あ、ありがてえ…」
幻太郎「…ふう。服を買い戻してくればいいですか?」
帝統「いや、あとひと勝負すれば大逆転できる気がするから、10万貸してくれよ!」
幻太郎「はぁ…小生が行って買い戻してきます」
帝統「そ、そんなぁ…」

独歩「はあ…今日はいろいろあって疲れたな…明日に備えて早く寝よう…」
(コンコン)
独歩「はああ…。はい。今開けます…(ガチャ)」
一二三「やあ、独歩くん。呑みに行こう!」
独歩「一二三 …その格好」
一二三「はは!この僕が、普通の格好で女性だらけの中王区の繁華街を歩き回れるわけないじゃないか!当然、スーツを持ってきているよ」
独歩「いや、そんな誇らしげに言われても…。」
一二三「そんなことよりも、飲みに行こうじゃないか。中王区の子猫ちゃんたちが、僕を待ち望んでいるっ!」
独歩「はあ、俺は疲れてるんだ…。寝かせてくれ、ッ?!?!うぉあぁあ?!?!」
一二三「疲れている?!それはいけない。明日に向けて、英気を養わないと!」
独歩「いやだから、寝かせてくれればそれで」
一二三「心配しなくても、今夜は素敵な夜にしてあげようじゃないか。さあ!行こう!」
独歩「あぁあ!引っ張るな!あと、せめて、着替えさせてくれぇ〜!!」
一二三「は〜はっは!」

独歩「なあ、一二三…飲みに行くのはいいが
先生に声をかけなくてもいいのか?」
一二三「面白いことを言うね。君は、先生とお酒を飲みたいのかい?」
独歩「っ!!!!、それは」
一二三「だろう?先生のことは敬愛しているが、一緒にお酒は遠慮したい」
独歩「あああ…わかったよ。」
一二三「おっ。お誂え向きに、二匹の子猫ちゃんがいるっ!」
独歩「……何度見ても、スーツ着たあいつはまったくの別人だよな…」
一二三「すみません、ちょっといいでしょうか?」
子猫「はい?あっ、あれ?この人、麻天狼の伊奘冉一二三さんじゃ?!」
子猫「えっ?あっ!ほんとだ!」
一二三「ふっ…これはこれは、光栄です。僕のことをご存知だなんて!」
子猫「明日のテリトリーバトル、応援に行きます!」
一二三「ありがとうございます。うれしい限りです!応援してくれるのなら、明日のために、今夜僕と、素敵な夜を過ごしてくれませんか?」
子猫「「あぁっ…はい!!もちろんです!!」」
一二三「ふっ…!今夜は最高の夜になる。そんな予感がするよ」
子猫「えっ!?独歩くんもいるー!」
独歩「えっ…独歩、くん?」
子猫「きゃあ!ほんとだあ!あたしたち、ひふみんと独歩くんにナンパされてる!!」
独歩「な、なんだ、なぜ俺のことを知っているんだ
…?!」
女「あれ、あそこにいるのもしかして …ひふみんと独歩くんじゃない?」
女「声かけに行こうよ!」
独歩「お、おおおい、一二三、気のせいか女性たちが集まってきているような…」
一二三「はははっ…!みんな、愛してるよ(キラーン)」
子猫たち「きゃ〜〜〜〜♡」
一二三「おいおい!困った子猫ちゃんたちだな…!そんな大勢できてくれても、僕の体は一つしか
ないんだよ?」
独歩「あぁ〜〜〜〜〜はあぁ!!に、逃げるぞ、一二三!!っっ!!(走り出す)」
一二三「ははっ!モテる男は、辛いな!」

帝統「いや〜助かったぜ!おかげで一張羅が戻ってきた!」
幻太郎「やれやれ、よそでやれ。本当にあなたは見ていて退屈しませんねえ。今度あなたを主人公にした小説でも書かせてもらいますよ。その代わり、小生への借金はチャラにしてあげましょう」
帝統「まじか!どんどん書いてくれ!何でも協力するぜ!!!」
幻太郎「ま、嘘ですけどね」
帝統「っんだよ〜〜!ぬか喜びさせやがって」
幻太郎「あはは。けど、あなたを主人公にした小説を書くっていうのは嘘じゃありませんよ?」
帝統「おう。書いたら読ませてくれよ。楽しみにしてるからよ」
幻太郎「面白いものになるよう頑張りますよ。ふーん…それにしても、気のせいでしょうか?さっきから周りの人に見られている気が…」
帝統「ああ、俺も感じてたわ。」
幻太郎「ですよねえ、一体なんなんでしょ…お?あっちの方から叫び声が…」

独歩「はっ、はっ、はっ、あぁ〜〜〜〜〜!!!!なんか人数増えてるぞ〜〜!?」
一二三「はーっはっは!!!僕の子猫ちゃんたち
?一斉に来られても、お話しできないよ。一人ずつ
ちゃんと来てくれないと!」
独歩「こいつはこんなだし、もう、いやだぁ〜〜〜〜〜!!!!!」
帝統「あの前から走ってくるの、麻天狼の奴らじゃね?」
幻太郎「そうですねえ…物凄く嫌な予感しかしません」
女「あそこにいるのは、Fling Posseの帝統と夢野先生じゃない?!」
女「ほんとだあ!じゃあ、乱数ちゃんも近くに居るのかなぁ?!」
独歩「ひ〜〜〜〜!!!そこぉ!どいてくださぁ〜〜〜〜〜い!!!!」
帝統「なっ、なんか、逃げたほうがよくねえか?幻太郎……おっ?幻太郎?っていねーし!!!つかいつの間にあんな遠くに?(走り出す)っおい、待てよ〜〜!!!」
独歩「すみませんっ、すみませえ〜〜〜〜ん!!!」
帝統「謝るならこっちに向かって逃げてくんじゃね〜〜〜!!!!」
一二三「ははっ!なんて罪深い男なんだろうか …僕は!」

帝統「はあ、はあ、はあ……な、なんなんだよ、まじで」
独歩「ふう、ふう、……ほんと、すみません…っ」
幻太郎「さて…説明してもらいましょうかねえ?」
独歩「……なんかよくわからないんですが、女性の皆さん僕らのこと知ってるみたいで、急に追いかけ回されちゃって…」
帝統「はあ、はあ…なんだそりゃ?俺らなんも悪いことしてねえよなー?」
幻太郎「さきほど違法がどうとか言っていた気がしますが …まそれは置いておきましょう。彼女らは悪意があって追ってきていたとは考えにくいですねえ。むしろ、かなり好意的な感じでしたが」
一二三「ははっ…あんなに大勢の子猫ちゃんの求愛を無碍にするなんて、僕の名が廃ってしまう…!」
独歩「そんなくだらないモン廃れてしまえ!!っほら、今女性は居ないんだからジャケット脱げよ」
一二三「っ!!あぁ__独歩ぉ〜ジャケット返せよなあー!一つでも欠けると、ホストモードになれないんだからさあ!」
独歩「うるっさい!!帰るまでこれは俺が預かっておく!!」
一二三「ちぇ〜」
幻太郎「そちらの方…急に雰囲気が変わりましたねえ。」
一二三「?そちらの方ってぇ、俺っちのことかな?」
独歩「!!お前が出てくるとややこしくなるから大人しくしてろ…!」
一二三「けど、俺っちなんであんなことになってるか知ってるけどなー」
帝統「まじか。一体どういうことなんだよ?」
一二三「さっき先生に聞いたんだけど、テリトリーバトルに出場する代表選手は、アイドル並に人気が出るから気をつけるようにってさ!」
帝統「なんだそりゃ?」
幻太郎「ああ、そういうことですかあ。麿としたことが失念していました!……確かにそういった話は聞きましたねえ。まさか自分がそのチームに選出されるとは思いもよらなかったので、忘れていましたよ」
独歩「一二三ぃ…それを知っていてなんでナンパしに行ったんだよ…!」
一二三「いやあ…それ聞いて怖くなってさあ、とりあえず、スーツ着て落ち着こうと思ったら、ホストモードの俺が?そんな美味しい話を?放っておくわけないじゃん?」
独歩「はあ……まただ、またこういうことだよ。いつもいつもそうだ、一二三のなすことに俺が関わるとろくな事にならない…。いや、それを知っているのに捲き込まれる俺が悪いんだ、そうだ、そうに違いない、本当に俺ってやつはどうしようもない男なんだ…」
一二三「あはは!独歩、なんかわけわかんないけど、ドンマイっ!」
独歩「…っ!!!お前が言うなあ!!」
一二三「っへへ〜、あははは!」
帝統「な、なんだ、こいつらは…」
幻太郎「…ま、そちらで揉めるのは構いませんが、我々を巻き込んだ謝罪をして頂かないと納得がいきませんね」
独歩「っぁぁあ!!この度は、誠に申し訳ありませんでした!!!ほら、一二三、お前が悪いんだから頭下げろって!!」
一二三「へいへーい。めんごめんご〜!…お、てか。コイツの格好まじでうけるんですけど!えっ何すか?!昔の書生なの?!いつの時代〜って感じ!」
幻太郎「……。すみません、今何と?」
一二三「まあじい、今時そんな格好流行らないから、やめたほうがいいっすよ?これは、ひふみんからの忠告!」
幻太郎「お前に………何が分かる」
一二三「ほえ?声が小さすぎてわかんなーい!」
幻太郎「っ…!……ふう…」
帝統「お、おい?幻太郎、大丈夫か?見たことねえ顔してるが…」
幻太郎「ふっ、いやだな帝統…我は…麿は…某は…僕は…っ、全然、いつも通りですよ」
帝統「っおいおい!全然いつも通りじゃねーじゃねえか!!」
幻太郎「すみません…ちょっと、この服のことに触れられると」
帝統「服?」
幻太郎「ええ、ちょっとね…」
一二三「あれれ?自分のカッコが時代錯誤だって、気づいちゃったのかな?」
幻太郎「っ!!キサマっ…」
帝統「おいてめえ!いい加減にしろや。誰でも一つや二つ触れられたくねえもんあんだろうが。そういうモンをお前は今踏みにじってんだよ!!」
一二三「はぁ?何言って…」
独歩「ふん!!!!!!」
一二三「って!!!なんだよぉ、独歩!」
独歩「っすすすすすすみません!!!!こいつ、デリカシー無くて、大変失礼なことを言ってしまったみたいで…!!!早くおまえも頭下げろよおおお!!」
一二三「んだよー。俺っちは善意で忠告してやったのにさー。」
帝統「ああ?テメエ善意があったら何言ってもいいのかよ。ちげえだろ!!!ダチのソレを踏みにじられて、黙ってられるほど俺は人間が出来てねえぞ!!!」
一二三「…、それは、悪かった…」
帝統「ふん!胸糞悪い。」
独歩「本日は、色々と御迷惑をお掛けしてしまい、重ねてお詫び申し上げます、」
帝統「オイ!!」
独歩「ひぃっ…!!」
帝統「テメエはさっきから頭下げっぱなしじゃねえかよ。何回も下げる頭ってのには、なんの価値もねえんだよ」
独歩「すみません、すみません、すみません!!」
幻太郎「…帝統。私のことで怒ってくれるのは
ありがたいですが、今度はあなたが冷静になる番です」
帝統「……。ちっ。」
独歩「っぐはぁ…っごほ、ほ、ほんとうに、すみませ…」
帝統「てめーのワンペアより安い謝罪なんざ、その辺の犬にでも食わせとけ。これだからリーマンはよ。何でもかんでも頭下げれば解決できると思ってんじゃねえぞ。つか、てめえみたいな矜恃もなんもねえ奴は、どうせ会社でもお荷物になってんだろ!」
独歩「っあぁ…っはは…そう…ですね……。まさに、おっしゃる、通り、かと」
一二三「っ〜〜!!!」
ヒプノシスマイク起動音)
一二三「つーか…今俺が言える立場じゃないってことはわかるけど、それをわかった上で言わせてもらう…。あんたが独歩の何を知ってるんだ!!こいつは身を削って頑張ってんだよ!!!それな
のに、よく知りもしないあんたが知った口を利くな!!!」
帝統「ハッ!おもしれえ、受けてやるぜ!!」
幻太郎「はあ…。仕方ありません、元を辿れば私の責任ですね」
独歩「一二三…、はぁ、やるしか、…ないのか」
一二三「行くぞ!!」
〜独歩&一二三ラップ〜
帝統「っなかなかいい奴もらっちまったな…」
幻太郎「変な奴らだが、スキルは本物ですね…」
一二三「へへっ、もう終わりかい?大したことないんだな!」
帝統「はっ、言ってろ。次はこっちの番だ!!」
ヒプノシスマイク起動音)
幻太郎「……さて…。やりますかね」
ヒプノシスマイク起動音)
〜帝統&幻太郎ラップ〜
一二三「まだまだ終わりじゃない…!」
女「ああ!こんなところにいた!皆、こっちよ〜〜!」
一二三「!?っ女…!どっぽ、じゃ、ジャケット…」
独歩「だめだ!!!これを着たらお前、面倒なことになるからだ」
帝統「ここまでみてえだな」
幻太郎「そうみたいですね」
一二三「っ!!この決着は明日必ずつけてやる!!」
帝統「はっ、こっちのセリフだ!じゃあな!」

幻太郎「とりあえず、もう誰も追ってきていないようですね」
帝統「っだあ〜〜!疲れたあ!」
幻太郎「そうですね…」
帝統「あぁ〜、腹減ったあ!今日は無一文だから、なんも食えねえのによお!」
幻太郎「ふ、やれやれ…。今日は特別に奢ってさしあげましょう」
帝統「ああ?またお得意の嘘だろ、どうせ」
幻太郎「いえ、これは嘘じゃないですよ」
帝統「うお、まじかよ!やったぜ!!」
幻太郎「ま、さっきの礼くらいはしたいですから」
帝統「あー?なんか言ったか?」
幻太郎「ふっ…何も言ってないですよ。それじゃあ行きますか」
帝統「おう!」

一二三「はあ、はあ…ここまで来れば大丈夫だろ」
独歩「はぁっ、はぁっ…そ、そうだな。ふう、ふう…。…なあ、一二三」
一二三「んぁ?なんだよ」
独歩「いや、さっきは、すまなかった」
一二三「すまなかったって、なんかお前、俺っちに謝ることしたか?」
独歩「え、いや、俺のために怒ってくれただろ。なんていうか……救われた気持ちがした」
一二三「…はーはっはっはっは!!!
独歩「いてっ?!いててて」
一二三「ばぁーーーっか!!そんなんいいって!!俺ら何年の付き合いだと思ってんだよ!」
独歩「…すまない。そう言ってくれると助かる」
一二三「ま、一つだけやめたほうがいいことがあるな」
独歩「ん?なんだよ…」
一二三「独歩。すみませんって口癖になってるから、治した方がいいぞ!」
独歩「あ、ああ…すまない、」
一二三「ほーらな?」
独歩「…みたいだな。気をつける」
一二三「…ま、むりだろーけどねえ」
独歩「え?」
一二三「なーんでもないって!さ、腹減ったから飯食って行こうぜ!お前の奢りで!」
独歩「…ま、いいけど」
一二三「やったー!!じゃ、回らない寿司!」
独歩「まっ……?!!?安月給には無理だ!!」

〇Me Against The World
(飲み物を注ぐ音)
ニュースキャスター「凄まじいバトルの末、MAD TRIGGER CREW vs 麻天狼の勝者は麻天狼に決まりました。優勝した麻天狼には賞金と、次回ディビジョンマッチの、(テレビを消す音)」
寂雷「ふう…なんとか勝つことができましたが、左馬刻くんのチーム、さすがのスキルといったところでしょう。紙一重の差で、我々が勝ちましたが、次はどうなるか…。一郎くん、飴村くんのチームも、どこが優勝してもおかしくなかった。それほど力は拮抗していた。(飲み物を飲む)…今、もう一度The DIrty Dawgが再集結すれば、あるいは中王区に…ふっ。私自身がまだ彼を許せていないのに、何を考えているんでしょうね」
(ピンポーン)
一二三「せーんせー!おーはざまーす!!おーきてますかーー?」
独歩「一二三!やめろって!まだ寝てたらどうするんだよ!!」
寂雷「…(ガチャ)二人とも、おはようございます。どうしましたか?」
一二三「先生!俺っちたち、まじで勝ったんだよね?夢じゃないっすよね?!」
独歩「せ、先生…すみません。一二三のやつ、起きてからずっとコレなんです。先生に確認するまで信じないって言って」
寂雷「はは。君たち二人が頑張ってくれたおかげです。間違い無く勝利を掴んだのは、我々ですよ」
一二三「まぁああじっすかあ!!!やっほ〜〜〜う!」
独歩「…っ一二三ぃ!!他のお客さんも居るんだぞ…!!大声出すなって!」
寂雷「立ち話もなんですから、部屋の中へどうぞ」
一二三「あざーっすっす!!」
独歩「すみません…失礼します」

一二三「いやあ〜〜まじ、パネえ!俺っちたちが
優勝かぁ〜!」
独歩「一晩たっても、実感があまり湧かないです。」
寂雷「コーヒーです。良かったらどうぞ」
独歩「ありがとうございます」
一二三「サンキューでぇす!」
寂雷「ああ、賞金は私が預かっているので、後程お渡ししますね」
一二三「はへえ…賞金って、ちなみにいくらなんすか?」
寂雷「一億だね。」
独歩「(吹き出す)いぃいいいい、…一億ぅ?!」
寂雷「三等分だときりが悪いので、私は3000万でいいですよ。二人には、3500万ずつお渡しします」
一二三「あざまーす!!泡銭だしぃ、お客さんたちに何かプレゼントしよっかな〜!」
独歩「さんぜん、ごひゃくまん…、おおおおれの、年収の、軽く6倍近く…」
一二三「あれ、他のディビジョンのぉ、支配権とかもあるんすよね?」
寂雷「そうだね。支配権といっても、中王区の認める範囲内ではあるけど」
独歩「そ、それでも、支配権って…。なら、忌々しいハゲ課長を、地方に飛ばすことも出来るのかな…?」
一二三「うわぁ、独歩ちん鬼畜ぅ!」
寂雷「独歩くん。そういったことは…」
独歩「い、嫌だなぁ先生、冗談ですよお、冗談…。あははは」
寂雷「制限はありますが、そういうことも可能だと思います。だからこそ、提案があるのですが、いいでしょうか?」
一二三「なんすか?」
独歩「はい!」
寂雷「この支配権は、私欲のために使えば、治安を混乱させる結果となるでしょう。しかしその逆もまたあり得るということです」
独歩「つまり、いいことに使えば治安を安定させられると」
寂雷「はい。私は差し当たって、地方ディビジョンで医療がまだ行き届いていないところに病院を建設させるつもりです」
一二三「たしかに、中王区政権になってから地方はゴタゴタしてるみたいっすからね。」
寂雷「次回のトーナメントにも勝てるとは限りません。だからこそ、後身の指針となれるような使い方をしませんか?」
一二三「はい!了解っす!」
独歩「はい、もちろんです!」
寂雷「ふふ、ありがとう。二人とも

寂雷「…さて、昨日の疲れが取れていないでしょうから、帰ってゆっくり休」
一二三「なーんてことは言わせねえっすよ先生!今日はぁ、祝賀会をやりましょうよ!!」
独歩「おいおいおい一二三!先生はお疲れになっているんだぞ…せめて日を改めて」
寂雷「独歩くん。気遣いは無用ですよ。一二三くん、せっかくですのでやりましょう!」
一二三「やったね〜!じゃあ、俺っちたちのマンションでやろう。料理は、二人で作っておきまーっすっす!」
独歩「え?おおおおれ、料理なんてできないぞ」
一二三「はははは。もーまんたいもーまんたい!独歩ちんは、俺っちのアシストをしてくれればいいから!」
独歩「まあ、それくらいなら俺でもできるか…」
寂雷「二人の料理、楽しみにしていますよ」
一二三・独歩「「はい!!」」
寂雷「それでは、先に帰っていてください」
独歩「先生は、帰らないんですか?」
寂雷「はい。ちょっとこの後、行くところがありまして」
一二三「おっけーっす!じゃあまた後でっすね〜!さ。独歩ちん、行くぞ〜!」
独歩「うお、お、おい、一二三引っ張るなって!!」
一二三「いいからいいから、行こうぜ〜!」
(バタン)
寂雷「…昨日のバトルの時、どういうわけか関係者席に……一郎くんと左馬刻くんは気がついているのでしょうかね。」

銃兎「…はあ」
理鶯「…ん?ため息などをついてどうしたというのだ」
銃兎「ため息の一つもつきたくなりますよ。こんな朝早くに左馬刻からの呼び出しです。大方昨日の敗退の件でしょう」
理鶯「うん、そうであろうな。しかし、だからといって何故ため息をつくのだ?」
銃兎「何故って……ふっ。わかりませんか?あの左馬刻ですよ。どうせ、めちゃくちゃに当たってくるのがオチです。それを宥める身になって考えれば、自ずと理解できるでしょう?…はあ」
理鶯「…ふむ。………思考してみたが、理解できなかった。教えを請う」
銃兎「…理解を求めた私が間違っていましたよ。忘れてください」
理鶯「そうか。それでは忘れよう」
銃兎「ふう…」

左馬刻「おう。鍵開いてっから入れよ」
銃兎「入りますよ」
理鶯「失礼する」
左馬刻「わりーな、朝早くから呼んじまってよ」
銃兎「あっ……はい、ぜ、ぜんぜん、問題ありません。よ?」
理鶯「うん。小官も問題無い」
左馬刻「ならよかったぜ。って何突っ立ってやがんだ、そこら辺に座れよ」
銃兎「あ、ああ…」
理鶯「うむ。」
左馬刻「コーヒーでいいか?」
銃兎「?!…あ、ああ…あ、ありがとう、ございます」
理鶯「すまない。頂こう」
左馬刻「ん。」
銃兎(ど、どうなってやがる…?暴れるどころか、逆に機嫌がいい?!)
左馬刻「ほら、飲めよ」
理鶯「(飲む)…ほう、うまいな」
左馬刻「はっは。俺様はコーヒーを淹れさせたらプロ並だからな。」
銃兎「(飲む)っ…!本当だ。うまい…」
理鶯「馳走になってしまったので、ヨコハマ・ディビジョンに戻ったら、小官が料理を振る舞おう」
左馬刻「お、おう…お手柔らかに頼むぜ」
銃兎「さ、左馬刻!お前、熱でもあるのか?」
左馬刻「ッんだよ。熱なんてねえって。気安く人のデコ触ってんじゃねえぞ」
銃兎「おまえ…ああ、怒ってないのか?」
左馬刻「あぁ?なんで俺様が怒んねえといけねえんだよ」
銃兎「て、てっきり俺は、昨日の敗退でお前に当たられるとばかり…」
左馬刻「バカか。お前らにキレるわけねえだろ。むしろ感謝してんだよ」
銃兎「かっ…?!?!感謝だと…?お前が、俺たちに…?!」
左馬刻「おうよ。一郎の時もそうだが、先生のバトルの時も、オメエらが居なかったらこんなにやれてなかっただろうよ。だからなんつーか、…サンキューな」
銃兎「っ…!ああ、」
理鶯「感謝は不要。小官たちは、運命を共にする共同体だからな。それに、小官の力がもっとあれば、このような結果にはなっていなかった。」
左馬刻「それは俺様にも言えんな。……次は負けねえ」
銃兎「(咳払い)やはり、負けたままではいられませんよね」
理鶯「ああ。軍人に土をつけさせたんだ、このまま引き下がれるわけもない」
左馬刻「はっは!面白くなって来たじゃねえかよ。(電話が鳴る)…あ?先生…?先生、昨日の今日でどうしたんだよ」
寂雷「左馬刻くん。話したいことがあるんだ。少しロビーで話せないかな」
左馬刻「話?電話じゃダメなのか」
寂雷「少し、気になることがあって」
左馬刻「…ま別にいいけどよ。なら今から下降りるわ」
寂雷「ありがとう。それじゃあ後程」
理鶯「どうかしたのか?」
左馬刻「ちょっと先生から呼ばれたから下行ってくるわ。」
銃兎「もうすぐチェックアウトだから、手短にしろよ。全員揃わないと出れないんだからな」
左馬刻「わかってるっつの」
(バタン)
銃兎「神宮寺寂雷からか…一体何の話なんだ?」

(ピンポーン)
一郎「おーい!二郎、三郎!起きてっか?」
(ガチャ)
二郎「…おはよう、兄ちゃん」
一郎「おう!おはよ、って…すげえクマじゃねえか。寝てねえのかよ?」
二郎「…ぅ、とりあえず、中に入ってよ」

三郎「あ、いち兄…おはようございます」
一郎「おはよう。なんだ、三郎も寝てねえのか?」
三郎「えへへ…」
一郎「二人してどうしたんだよ?」
二郎「昨日の、決勝戦…すごいバトルだったよね」
一郎「ああ、そうだな。すげえ接戦だったな」
二郎「あれをみて…悔しくてさ。」
三郎「ぼくたちがもっと強ければ、決勝に進めていた…それを考えたら、眠れなくて」
二郎「俺たちが兄ちゃんの足を引っ張っちゃったから…情けなくて、情けなくて…」
一郎「…二郎。……三郎…。すまない!」
二郎・三郎「「えっ…」」
一郎「そんな風に思わせちまったのは俺のせいだ…!俺がもっとしっかりしてれば、負けることもなかったし、お前らも悲しまなかった」
三郎「いいち兄!!やめてください!!」
二郎「そうだよ、兄ちゃん!!!」
一郎「いーや、最後まで聞いてくれ。今回、左馬刻の野郎に執着しすぎて、周りが見えていなかったんだ。もし俺があの時、冷静になってお前らと協力できていたら…。こんな結果にならなかった。だから、自分たちを責めるのはやめてくれ」
二郎「兄ちゃん…」
三郎「いち兄…」
一郎「お前たちは日々進化してる!それを今回のバトルで感じさせてもらった。そりゃ、めちゃくちゃ嬉しい反面、俺もしっかりしねえとって思わされた。な?だから、次こそは3人の力を合わせて、必ず勝とうぜ!二人とも、未熟な兄貴だけど…ついてきてくれっか?」
二郎「当たり前だよ…!俺はどこまででも兄ちゃんについていくよ!」
一郎「二郎…!」
三郎「もちろんです!いち兄に負けないように、精進します!!!」
一郎「三郎…!よしっ、ここから再スタートだ!!」
二郎「うん!」
三郎「はい!」
二郎「それにしても、全員揃わないとチェックアウトできないなんて面倒くさいよね。」
一郎「…まあ、これも中王区側の思惑があるんだろうなあ」
三郎「チェックインとチェックアウトの時だけで、滞在中は割と自由なのが気になりますけど」
二郎「チェックアウトはやすぎなんだよなあ…。ふああ…。もっと寝たい…」
三郎「チッ。お前がそれを言うなよな…」
二郎「あぁ!?聞こえてんぞ三郎ォ!!」
三郎「ははっ!低脳のくせに耳はいいんだなぁ!?あーあ、昨晩の二郎には参りましたよ」
一郎「どうしたんだぁ?」
三郎「ずっとぶつぶつ独り言を呟いてはのたうちまわっていましたから。ぶっちゃけ、眠れなかった原因のひとつはそれですよ」
二郎「うぉお!三郎!てめ、何ちくってやがんだ!!内緒にするって昨日話したじゃねえかあ!!てめえがそのつもりならなあ、俺も言ってやんよ!!!」
三郎「あっ!」
二郎「コイツなんて、ずっと布団の中でシクシク泣いてやがったんだよお!」
三郎「っやああめろおお!!!」
二郎「なっ!てえめええ何しやがんだあ!!」
三郎「うるさいっ!!そのお喋りな口を永遠にきけなくしてやる!!」
二郎「おうおうおう、上等だ!!返り討ちにしてやんよ!!」
三郎「うるさいバカ!!!」
二郎「うるせえお前の方がバカだ!!!」
(電話が鳴る)
一郎「…ん?寂雷さん?!…おーい!二人とも、電話に出っから静かにしろ!!」
二郎「!!ご、ごめんよ…」
三郎「申し訳ありません…」
二郎「くっ…」
三郎「ぐぅう…」
二郎「バーカ」
三郎「っせバーカ!!」
一郎「もしもし?」
寂雷「一郎くん。すこしいいかな」
一郎「うっす。」
寂雷「今からロビーに来られるかい?」
一郎「いいっすけど…どうしたんすか?」
寂雷「直接話したいことがあって。そんなに時間は取らせないよ」
一郎「了解っす。それじゃあ今から向かいますよ」
寂雷「ありがとう、それじゃあ後程」

幻太郎「さてと…そろそろ出る時間ですねえ。帝統のやつ、まだ寝ているのか…」
帝統「(いびき)…ジャックポットだぜぇ、むにゃ…やってやったぜ、大金持ちだ…」
幻太郎「…。だらしない顔をして、幸せな夢を見ているのですね。ふふっ…ああ、大金を手にしたと思ったら、次の勝負で全ツッパして、負けてしまいましたねぇ…。」
帝統「う、うう、うう…そんなあ…なんでおれは、あそこで全ツッパなんて馬鹿なことを…しくしくしく」
幻太郎「あははは…!なんて単純なんですかねえ、帝統は。ほれ〜?帝統は〜ん?起きんしゃい?ヌシが見ているのは、ゆーめ。全部夢なのだぞよ」
帝統「っ…は!!夢?!」
幻太郎「おはよう、帝統」
帝統「お、おう…おはよう。げ、幻太郎。すげーヤベエ夢見ちまったぜ」
幻太郎「ほう…どのような夢を?」
帝統「数億ギャンブルで買ったと思った次の瞬間に、全部スる夢だ…」
幻太郎「それはそれは。けど、良いんですか?」
帝統「なにがだよ?」
幻太郎「起きた瞬間に夢の内容を人に話すと、その夢が正夢になるんですよ?」
帝統「えっ…ま、マジかよ〜〜〜〜〜!??!?!』
幻太郎「ま、嘘ですけどね」
帝統「う、うそ?はぁ〜…。嘘でよかったぜ…」
幻太郎「おや、怒らないのですか?」
帝統「嘘で良かったって思いのが強すぎて、怒る気がしねーよ」
幻太郎「それはそれは、さうざうしく心やましくと思ふ、けふこのごろ。」
帝統「なにわけわかんねーこと言ってやがんだ…」
幻太郎「さて。遊びは終わりにしましょうかね。帝統、帰る支度してください」
帝統「…あ、もうそんな時間かよ。時間があれば、この間の賭場にリベンジしに行きたかったんだけどなー」
幻太郎「ふむ、賭場といえば帝統。忘れてはいないですよねえ?」
帝統「なんのことだ?」
幻太郎「お金。お貸ししたことです」
帝統「あっはっはっはっは!」
幻太郎「なに笑って誤魔化そうとしてるんですか。」
帝統「つか、乱数起こしにいかなくていいのか?」
幻太郎「ああ、先ほど乱数からメールが来まして…。何やら、『ボク、用があるからちょっぴ出てくるね!ロビーで待っててちょんまげ〜!』だそうです」
帝統「はぁ〜。リーダーともなれば、色々あんだな〜」
幻太郎「色々、ねえ」

左馬刻「チッ。朝から見たくもねえツラがいやがんなあ」
一郎「…。左馬刻」
左馬刻「(タバコ吸う) ……『さん』つけろや、ボケナス」
一郎「リスペクトできねえ奴になんで『さん』付けなきゃなんねんだよ」
左馬刻「もう一度ぶち殺してやろうか、今ここでよ…ま、結果はこないだと全く同じになるんだろうけどな」
一郎「チッ。」
左馬刻「なんだ?なんも言い返せねえのかこの鶏野郎。」
一郎「今回のバトルは俺たちが負けたが、次も同じだと思うなよ?」
左馬刻「はっ。何度だって返り討ちにしてやんよ」
一郎「偉そうにしてられんのも今のうちだ。この…ッシスコン野郎!」
左馬刻「っ、あぁ?!?!?!テメエ誰がシスコンだ?!」
一郎「テメエだよ、テメエ!!!そうやってムキになんのがその証拠じゃねえか!」
左馬刻「確かに、合歓は死ぬほど可愛い。だから俺様が守ってやってたんだ!!!」
一郎「それをシスコンって言うんだ!!!」
左馬刻「っ、つーかそれならテメエもブラコンじゃねえか!!!」
一郎「っ?!ああ?!ブラコンじゃねーよ!!!俺はあいつらを一人前にするために指導してるだけだ!!」
左馬刻「過保護すぎんだよ。だからあのクソガキ共は成長しねえんだろうが!!!」
一郎「二郎も三郎もめちゃくちゃ可愛い、それこそ
目に入れても痛くねえ!!」
左馬刻「それをブラコンっつんだよ!!」
一郎「っ…この、シスコン野郎!!!」
左馬刻「あぁ?このブラコン野郎!!!」
一郎「あぁ?!」
左馬刻「もっぺん言ってみろ!」
一郎「この、シスコン!」
左馬刻「言ったなこのヤロ、ブラコン野郎!!!!!」
一郎「は〜〜〜〜あ????」
寂雷「二人とも。すこし落ち着いてください」
一郎・左馬刻「「けっ…!!」」
寂雷「私から呼んでおいて待たせてしまったのは申し訳なかったですね。時間もありませんし、早速本題に入らせてもらいます」
左馬刻「っ…(タバコ吸う)」
寂雷「…白膠木簓くん。波羅夷空却くん。この二人が昨日の決勝の場にいました」
一郎・左馬刻「「っ!?」」
寂雷「君たちが昔チームを組んでいたメンバーですよね?」
左馬刻「な、なんで…」
寂雷「他にも何人か目立つ男がいました。」
一郎「空却が…中王区に?」
左馬刻「簓ァ…あの野郎」
寂雷「それに、私の昔馴染みの男も居ました。我々に関連する人物が現れたのは、中王区の何らかの思惑があるのかもしれません。そうじゃない可能性も多分にありますが、警戒しておくに越したことはないでしょう。それと、飴村くんですが」
一郎「乱数が、どうかしたんすか」
寂雷「…いえ。これは、私の流儀に反しますね。忘れてください」
左馬刻「先生が言い淀むなんて珍しいな」
寂雷「ただ、ひとつだけ覚えておいてください。…飴村くんには、注意してください」
左馬刻「…乱数の野郎を?」
一郎「それは一体、どうして…」
二郎「にいちゃーん!そろそろ、出る時間だよ」
三郎「荷物持ってきましたよ!」
一郎「、おぉ。サンキューな」
銃兎「まったく…遅くなるなと言ったじゃないですか」
理鶯「左馬刻。時間を守れないのは軍人として看過できないぞ」
左馬刻「(舌打ち)っせーな…」
二郎「!お前ら…」
三郎「入間銃兎…毒島メイソン理鶯…」
銃兎「おや!学生さんたちじゃないですか。奇遇ですね、出る時も一緒なんて」
二郎「っ…今のうちに見下しとけよ。次は負けねえ」
三郎「いつだって、上に立つのは下から這い上がったやつだってこと、わからせてやる」
理鶯「いい目だ。最初に会った時より、ずっとな」
独歩「…先生!そろそろお時間ですよ」
一二三「先生。お荷物、これだけでしょうか?」
寂雷「二人ともありがとう。思ったより時間がかかってしまいましたね」
帝統「?何で全員揃ってんだ?」
幻太郎「これはこれは、皆さんお揃いのようで。伊奘冉一二三氏に観音坂独歩殿も、その節はお世話になり申した。」
独歩「あっ…おはようございます」
一二三「ふふ。こちらこそ、その節は僕が失礼した」
幻太郎「はて…?あんさん、身に纏うとる雰囲気が違うとるように見えますがな」
一二三「僕は僕さ。しかし、そう見えるのであれば、僕と違う可能性を君の瞳が捉えているに過ぎない」
幻太郎「…何言ってんだコイツ」
一二三「ははははは!!はーっははははは!!」
独歩「あーーーっすいません、すいません!!こいつ、スーツ着ると人が変わってしまうんですよ!!」
幻太郎「はあ。それはまた、随分と胡散臭い話ですねえ。」
帝統「胡散臭いってお前が言うなよなー。つーか、そこのリーマンよお。前に言ったじゃねえか、何度も下げる頭に価値はねえってな」
独歩「ひ!!!す、す、すいません、」
帝統「はあ。俺とお前はきっと生まれ変わっても仲良くなれそうにねえよ」
幻太郎「ははは。」
独歩「…二十歳そこそこの奴にコケにされても、俺は頭を下げることしかできないのか…。なんで俺はこうなんだろう。…あれ?けど勝ったのは俺たち…。ってことは、会社の序列で言うと、あのクソ砂利が平社員で、俺が社長くらいの立場の違いがあるんじゃ?ってことは、威張ってもバチが当たらないんじゃ…。よ、よし、やってやる、やってやるぞぉ…!!…や、やい!きしゃま!目上の人間に対する言葉遣いを、お、教えてやる…」
帝統「あぁ?!?!?!?声が小さすぎて何言ってっか聞こえねえぞお!!」
独歩「ひえええ!!!!ご、ごめんなさい、調子に乗りました、申し訳ございません、今すぐ私と言う存在をこの世から抹消するのでお許しをぉ!!生まれてきてすいませんすいませんすいません!」
一二三「っはは!独歩くん。落ち着きたまえよ。君が居なくなってしまったら、僕が悲しみという海溝に深く沈んでしまうから、消えないでくれたまえよ!」
独歩「すみませんすみませんすみません!!」
寂雷「さあ、二人とも挨拶はそこまでにして帰りましょうか。それじゃあ皆さん、また次のバトルで」
一二三「かしこまりました。」
独歩「ッはい!それじゃあ、入間さん、またどこかで…」
銃兎「ええ。次は負けませんからね」
幻太郎「…さ、帝統。我々はあちらの方で乱数を待ちましょうか」
帝統「おう。りおーさん!またメシ、食いに行きますよ!」
理鶯「うん。待っているぞ」
銃兎「さて、我々も行きましょうか。」
理鶯「承知した」
左馬刻「…一郎、テメエのスキルだけは認めてやんよ」
一郎「ふっ、」
左馬刻「だがな。テメエが合歓にしたことは、ぜってえ許さねえからな」
一郎「…俺が、合歓ちゃんに?何言ってんだ、アイツ?」

乱数「やあやあっ、無花果オネーサン☆ボクだよっ」
無花果「飴村か。そこに座れ」
乱数「はぁーいっ。よっと」
無花果「今回のバトルはどうだった?」
乱数「…えぇ〜ん!ボク負けちゃったよぉ〜!慰めてぇ〜?」
無花果「ふん。私を愚弄するとどうなるかわかっているのか?」
乱数「あっはは〜。冗談が通じないな〜?つまんなーい」
無花果「初めてのディビジョンバトル、収益は予想以上だ。この見世物は、娯楽としてもビジネスとしても大成功と言える。そして何よりも、争いを好む愚かな男たちは、我々中王区にではなく他のディビジョンを敵視し出すだろう。」
乱数「そうだね☆そのために、次は新勢力も参戦させるんだよね?」
無花果「過去にお前が蒔いた種が、また咲くことになるかもしれないな」
乱数「えっへん!ボクすっごい!」
無花果「で、だ。お前に次、やってもらいたいことは、」

乱数「はぁ〜いっ!了解したよ〜ん!」
無花果「よし。つつがなく任務を遂行しろ」
乱数「おけまるぅ〜!あ、そうそう。ヒプノシスキャンセラーって、完成してたんだねえ。もしかしてアレって、真性ヒプノシスマイクにも効果あるの?」
無花果「ふん。私からの答えは一つだ。お前が知るようなことじゃない」
乱数「えぇ〜?!なんで答えてくれないのぉ〜!?」
無花果「飴村。調子に乗るなよ?文字通り、お前の代わりなんていくらでも、」
乱数「 オネーサンこわ〜いっ!!…それじゃ、無花果オネーサンまったね〜☆」
(バタン)
無花果「…フン。やはり『失敗作』か」

乱数「…あの女、…いつか殺してやる。ふっ、いや…あの女だけじゃない、人間共全員を……ふふふ、あはははは…あはははははは!!!!」

〇証言
一二三「かんぱ〜〜い!!」
独歩「か、かん、ぱ、ひっ、ひい…」
寂雷「…ん?独歩くん、どうしたんですか」
独歩「っ…すみません、せっかくの祝いの、祝いの席なのに…っ」
寂雷「一二三くん。彼はどうしたんですか?」
一二三「…っははは、そ、それがあ、独歩のやつ、賞金を全部電車の中で落としちゃったんすよ…」
寂雷「そ、それはまた」
独歩「うぅ …。っお、おれがいけないんです。紙袋じゃなく、ちゃんと鞄に入れておけばよかったのに…うっ、うう…」
寂雷「なぜそのような愚行を?」
一二三「俺も言ってたんすけど、独歩のやつ、聞かなかったんすよ!」
独歩「キャリーバッグしか無かったので、小さく、抱き抱えられる方がいいと思って…ふう、それが、このザマですよ…!!!はは、はあ …」
寂雷「そんなに大事に持っていたのに、どうして落としたんですか?」
一二三「独歩ぉ、疲れてて、電車の中で寝ちゃってたんすよ。俺っちもウトウトしちゃってて、気がついたら降りる駅についてて、それで慌てて独歩を起こして、急いで降りたんす。っしたら、袋を落としちゃって…」
寂雷「なるほど。で、そのまま電車が行ってしまったのですね」
一二三「っはははは…そういうことです」
寂雷「それは、なんというか …災難でしたね。こんなことならば、私がちゃんと車で送っていけばよかったですね」
独歩「っいえ…!先生もお疲れでしたので、それは
仕方ありません。そもそも、自分で断っていますし
…」
一二三「元気出せって独歩ぉ!悪いことがあった後は、いいことがあるもんだぜ?ま、知らんけどね〜!」
独歩「っ …無責任なこと言いやがって…!」
寂雷「独歩くん。よろしければ賞金の半分、お渡ししますよ」
独歩「っありがとう、ございます…しかし流石にそれは受け取れません…。自分が招いたことですし、気持ちだけ受け取らせてもらいます」
一二三「だいじょぶだいじょぶ!独歩ぉ、お金がなくなっても、俺っちが居るからさ!」
独歩「一二三…でも、できれば金のことだから頼らないようにするよ」
寂雷「ふふ。遠慮なく言ってくださいね」
独歩「っ、先生…!本当に、ありがとうございます!」
一二三「うっしぃ!じゃ、改めて乾杯といきますかあ!」
独歩・一二三・寂雷「「「乾杯!!」」」
一二三「はーーはっはあ!!!独歩には悪いけど、勝利の酒は格別だあ〜!」
独歩「先生はお茶でいいでしょうか?」
寂雷「はい。お酒を飲むと記憶がなくなってしまいますからね。今日はみんなで勝利を祝いたいんです。私に気を遣わず、飲んでください」
独歩「ありがとうございます。それじゃ、今日は、やなことを忘れるために飲むぞお…!」
一二三「っはは!独歩ぉ、嫌なことってわかるけど、今日は、祝賀会だからな?」
独歩「ぷはっ、そ、そうだった!祝酒とヤケ酒を同時に味わうなんて、すごい複雑だ…」
寂雷「はは。それにしても、すごく豪勢な料理ですね。二人で作ったんですか?」
独歩「いえ。ほとんど一二三が作ってくれました。僕は、ポテトサラダのジャガイモを剥いて、潰したくらいですね」
寂雷「ほう。一二三くんは料理が得意なんですね」
一二三「へっへー、毎日飯作ってたら、レパートリーが増えてスキルも上がったんすよ!特に自信作は、この『ズッパディペッシェ』なんで食べてくださいよぉ!どーぞっ!」
寂雷「珍しい料理も作れるんだね。それでは、いただきます!…おいしい!一二三くん、料理人になれるんじゃないかい?」
一二三「ははっやった〜!先生に褒められちった。たくさんあるから、ジャンジャン食べてくっさいよ〜?!」

一二三「そういえば、先生。ちょっち聞きたいことがあるんすけど、いいすか?」
寂雷「ん?なんですか?」
一二三「元The Dirty Dawgのメンバーって、昔からあんな仲悪かったんすか?」
独歩「ッ一二三!!!そんな失礼なこと聞くんじゃない!!」
一二三「ええ?だって気になるじゃん!独歩は気にならないの?」
独歩「…それは、」
一二三「な?気になるっしょ?!」
独歩「しかし、」
寂雷「独歩くん。私なら問題ないですよ。隠してもいませんし」
一二三「やった〜!!で、どうなんすか?」
寂雷「そう、ですねえ。」

(回想)
寂雷「乱数くん。お邪魔しますよ」
乱数「どうぞどうぞ〜!あれっ、衢は今日来ないの?」
寂雷「ええ。彼は今日別件があって来られません」
乱数「そっかそっかあ。あっ、寂雷そこのソファーに座ってて?今飲み物持ってくるよ!」
寂雷「わかりました。…一郎くんと左馬刻くんはまだ来てないようだね」
乱数「少し遅れるみたーい。なんか二人で歩いてたら、バトル仕掛けられたって」
寂雷「大丈夫なんですか?」
乱数「じゃっくらーい。それ、どっちの心配してるのぉ?」
寂雷「もちろん、二人に絡んだ方々の心配ですよ」
乱数「あっは☆だよねー!あの二人に絡むってことは、覚悟があってのことでしょ?どうなろうとどうでもよくなーい?ハイっ、コーヒー」
寂雷「それは薄情すぎますよ、乱数くん。」
乱数「っとー、わしゃわしゃ…」
寂雷「っ乱数くん、どこ触っているんですか」
乱数「えっへへー!寂雷の髪は相変わらずサラッサラで触り心地いいなぁ〜!えへへ〜!ふっふふ〜ん!でっきるかなーっと〜。はい、三つ編みの完成だよっ☆」
寂雷「私が三つ編みなどしても似合いませんよ」
乱数「ええ?めちゃめちゃ可愛いよぉ!?はい鏡、みてごらんよっ」
寂雷「…やはり見慣れないですね。私よりも、乱数くんなら間違いなく似合うと思いますよ」
乱数「あっははー☆ならボクも、三つ編みにできるように髪伸ばそっかな〜!」
左馬刻「おう、みんな集まってんな」
一郎「遅れて悪い!」
乱数「あ!一郎と左馬刻だあ!ぜんぜんだいじょびだよーん!」
寂雷「私も先ほど来たばかりですから気にせずに」
一郎・左馬刻「「っ!?」」
寂雷「どうしました?二人とも」
一郎「い、いや、寂雷さん、それはこっちのセリフっつーか、」
左馬刻「先生、どうしちまったんだよその髪型は…」
寂雷「ん?あ、ああこれですか。これは先ほど乱数くんに弄ばれた結果、こうなってしまいました」
乱数「あーあーあー!!解いちゃうんだあ!」
一郎「つか、乱数と寂雷さん、本当仲良いよな。」
乱数「えっへへへ〜。ボクと寂雷はあ、『ペアレントフレンド』だからね!」
左馬刻「(タバコ吸う)…ペアレントフレンドだ?意味わかんねえよ」
一郎「ペアレント…親?フレンド…友。ああ、そういうことか!」
左馬刻「ああ?どういうこったよ」
一郎「ペアレントは親で、フレンドは友じゃないっすか。」
左馬刻「うん。だな。だからどうしたっつんだ?」
一郎「親と友を漢字にするんすよ!」
左馬刻「親、友…ああ。親友か」
乱数「ピンポンピンポンだいせいかーい☆はいっ、正解した二人には、飴ちゃんをプレゼント〜!」
一郎「お、おう、サンキュ」
左馬刻「ンなもんいらねえよ」
乱数「左馬刻サマこわひ〜」
左馬刻「乱数てめぇ舐めてんのか?」
乱数「あははっ!舐めてなんかないもーん。おちょくってるだけだもーん!」
左馬刻「テメぶっ殺す!!!!」
乱数「あっはは!ボクはこっちだよ〜!つっかまえてごらーん☆」
左馬刻「っちょこまかと動き回りやがって!!!」
乱数「よっとお!」
一郎「ったく…左馬刻さんはすぐ熱くなるんだからなあ!」
寂雷「ところで一郎くん。乱数くんから聞いたけど、バトルしたようだね。君たちを見る限り、無傷なのはわかるけど…相手は大丈夫なのかい?」
一郎「あっはは、まあ、途中で、ギャラリーが止めに入ってくれたおかげで、大事には至らなかったですね」
寂雷「一郎くん。左馬刻くんのことは言えないですよ。君も熱くなると、周りが見えなくなってしまいますからね」
一郎「はははっ、俺もすか?」
寂雷「君たちは似たもの同士ということですね」

乱数「それでーっ、話って何かなあ左馬刻?もしかして西のチームとのバトルの件かな?」
左馬刻「(タバコ吸う) …いや、その件じゃねえよ」
寂雷「ではどういった件なのかな?」
左馬刻「前に組んでたチームの傘下の奴らが、どうやらシブヤでくだらねえことやってるらしいんだわ」
寂雷「くだらない、こと?」
左馬刻「ああ。帳残星と残閻ってゲス兄弟なんだが、シブヤでガキ使ってひでえことしてるみてえでな」
乱数「こわーい!そんなことする人が左馬刻の友達なのぉ?」
左馬刻「あんなクソどもダチじゃねえよ!!!(モノを蹴る)」
一郎「前に俺が、空却とチームを組んでた時に、あの兄弟をラップでボコボコにしたんすよ。そんで、イケブクロから出て行って、シブヤに流れたみたいなんす」
乱数「ふ〜ん。それでぇ、そいつらを捕まえに行くってことかな?」
左馬刻「ああ。だが情報がすくねえんだわ」
一郎「乱数なら、シブヤのアンダーグラウンドに精通してるだろ?」
乱数「えっ?!ボクそんな怖い人たちなんて知らないよっ?」
左馬刻「カマトトぶってんじゃねえぞこの野郎!!!」
乱数「左馬刻サマこわひ〜」
左馬刻「てめえ!!!」
一郎「左馬刻さん、落ち着いてください!話が先に進まないっすよ」
左馬刻「っ…。」
寂雷「乱数くん。本当に知らないんですか?私たちは仲間なんですから、助け合うのは当然ですよ」
乱数「っはは、そうだね〜。ボクたちはポッセだもんね。左馬刻の反応が面白いから、ちょっとふざけただけだよっ☆」
左馬刻「あぁ?誰に向かってふざけてやがんだァ!!」
一郎「左馬刻さん!!!」
左馬刻「〜〜〜。(タバコ吸う)」
寂雷「乱数くん。彼らが知りたい情報がわかると?」
乱数「もちのろんろんっ!今聞いてあげるからー、ちょっぴ待っててね〜!」
(電話をかける音)
乱数「あっ、オネーサン?ボクだよボク!ちょっぴ聞きたいことがあってねえ?〜〜」

乱数「おっ待たせ〜〜!!」
一郎「もうわかったのか!?」
乱数「わかったよーん。」
左馬刻「でえ?あの蛆虫どもはどこにいやがんだ」
乱数「焦らない焦らなーい!探している二人は、松濤付近の工場跡地を根城にしてるみたいだね」
左馬刻「助かったぜ。んじゃ行くぞ一郎、ぶっ潰してやろうや」
一郎「行くか!」
乱数「あー、待って待って!」
左馬刻「んだよ?」
乱数「多分彼らは、君たち二人が探していることに気がついてるっぽいよ?最近腕利きのチームをたーくさん仲間に引き入れてるみたいだし。」
左馬刻「関係ねえ。どんだけいようが俺と一郎が居りゃ負ける気がしねえよ、なあ一郎?」
一郎「ああ。相手が何人だろうと叩き潰す。」
乱数「はあ。二人の力はもちろん知ってるけど、君たち二人だけが仲間なわけじゃないんだよ?っ、今はボクもいるし」
寂雷「私もいます。我々は一蓮托生です。先ほども言いましたが、仲間は助け合うものですよ」
一郎「乱数、先生…」
左馬刻「前は俺と一郎がやる。ケツは任せるぞ」
寂雷「ふふ。もちろんですよ。私と乱数くんは、後衛でこそ力を発揮しますからね」
乱数「それじゃあ、四人で悪者退治しに〜!レッツラゴー!」

残閻「残星。ガキはどうするよ?」
残星「ああ、気絶してる間に奥の部屋に閉じ込めとけ。ちゃんと鎖は繋いどけよ」
残閻「ういー。」
残星「結構集まってきたなあ、弟よ」
残閻「うん。そろそろ 、取引を始めましょうかね?」
残星「はははは。いくら値がつくか楽しみだぜ!」
残閻「ふっふふふふ…そのおかげで、僕たちのシノギは順調じゃないか」
残星「ははははは。ちげえねえ」
(電話が鳴る)
残閻「どうしました?」
手下「ボ、ボボボボス!!!敷地内に、だだThe Dirty Dawgの奴らが侵入しました!!!」
残閻「はっはっはっは、やはりきましたか」
手下「は、はやく、逃げないと!!」
残閻「これは面白いことを言いますねえ。なぜ、逃げないといけないんですか?」
手下「だ、The Dirty Dawgって言えば、東京のほとんどのチームを伸しちまった、最強のチームじゃないですか!!」
残閻「それで?」
手下「次は西日本を牛耳っている、無敗のチームに挑むらしいし…!!」
残閻「ふっふ。確かに彼らは強いですね。しかし、いくら強いといっても、所詮は4人。こっちには何人いると思ってるんですか?力というものは、必ず量に比例するものですよ」
手下「確かに、そうですが…」
残閻「なので、そのまま通しなさい」
手下「しかし!!!!」
残閻「はあ。いいですか?こちらに何人いると思ってるんですか?奴らを袋叩きにできれば、我々の名も上がりますよ?」
手下「…っ、わかりました!!」
残閻「それと全員、下に集めておいてください」
手下「はい!!!」
残閻「ふふふふふ、」
残星「なんかあったのか?」
残閻「奴らがきた」
残星「奴ら?山田と左馬刻の野郎か?」
残閻「まあ、飛んで火にいるなんとやらってやつだね」
残星「あん時の借りを利子つけて返してやるぜ」
残閻「さて…。元ボスをお出迎えしようじゃないですか」

左馬刻「ここが奴らのたまり場か」
乱数「あぁ、そうだよ」
一郎「それにしても、きったねえとこだなあ!…っ、開かねえな。なら蹴破るか!!」
寂雷「一郎くん。一応、中を確認するまでは軽率な行動は控えた方がいいかと」
一郎「…うっす。にしても、あの兄弟は形にこだわる奴らだったけど、タムロしてるところまで悪役の型にハマってやがる」
寂雷「ふむ、実に興味深い。その兄弟は自分たちのことを、悪役と認識して、このようなことをしているんですね。立場を楽しんでいるのか、楽しむために立場を構築しているのか、」
一郎「奴らは寂雷さんが興味を惹かれるような大層なもんじゃないっすよ。自分たちの利のためには
平気で弱者を食い物にする外道っすから」
寂雷「道を外すものには幾つかのパターンがあります。環境的要因、心象的要因、快楽的要因。もう一つあるのですが、それは私が最も嫌う外道の要因です。ま、彼らがどの要因なのかは見て確かめましょう」
一郎「ははっ、寂雷さんらしいっすね」
乱数「あっ!あそこの窓から中を確認できるよ!」
左馬刻「んなまどろっこしい真似なんかやってられっかよ!!!!(ガシャーン)おらおめえら早く来い!!!!」
乱数「はあ。ほんと左馬刻はせっかちさんだな〜」
寂雷「ふふ。やはり一郎くんと左馬刻くんは似たもの同士ですね」
一郎「ははっ、そうみたいっすね!」

左馬刻「…んだよ、暗くてなんも見えねえぞ」
残閻「ようこそ!左馬刻さん?」
左馬刻「ッんだよ、眩しいな!!!」
残閻「はっはっはっはっは。僕たちを探っているのは知っていましたが、ここを探り当てるまでにはもう少し時間がかかると思っていましたよ」
残星「山田あ、左馬刻い、いつかの借りを返すぜえ?」
乱数「はえ〜、あれが帳兄弟かあ。二人とも性格悪そうな顔してるね!」
左馬刻「残閻。残星。テメエらまた反吐が出ることやってるみてえだな?」
残閻「不快な思いをさせてしまっているみたいで申し訳ないですねえ。しかし、なんの理由であなたは私たちを止めるんですか?関係ないですよねえ?」
左馬刻「ははっ。元舎弟だった奴らが胸糞悪いことしてるってだけで理由は十分なんだよクソボケがあ
!!!!」
残閻「なるほど。だからといって、僕たちは左馬刻さんが胸糞悪いと思っていることを、やめる気はさらさらないので。話し合いは、意味がなさそうですねえ」
残星「はははは!!元々テメエらをタダで帰す気はねえけどな!!!」
一郎「ならよ、ごちゃごちゃ言ってねえで、さっさとマイクを出しやがれ!!!」
残閻「ふふふふ。その傲慢な態度がいつまで続きますかね(指を鳴らす)」
(いっぱい来る)
乱数「うわー、人相が悪い人が100人くらい居るね」
寂雷「個では敵わないから数できますか。当然と言えば当然ですね」
左馬刻「有象無象どもなんか数のうちに入んねえよ。」
残閻「減らず口が悲鳴に変わるのが楽しみですねえ」
残星「ふはははははは!!!」
一郎「…相変わらずダセエ野郎だな!!!」
残閻「なんとでも。勝てればなんでもいいんですよ」
ヒプノシスマイク起動音)
残閻「さて、正々堂々とラップバトルをしましょう」
左馬刻「先生、乱数。後ろは任せるぞ」
寂雷「はい」
乱数「あっはは〜!まっかせて〜!」
ヒプノシス起動音)
左馬刻「一郎、やれるか」
一郎「ふっ、それ誰に言ってんすか?」
ヒプノシス起動音)
左馬刻「はっはっは、そう来なくっちゃなあ!!
ヒプノシスマイク起動音)行くぞ!!!」
〜一郎&左馬刻ラップ〜
残閻「半分が気絶か…ふんっ、相変わらず下品なまでに無茶苦茶な力だ。しかし、(指を鳴らす)まだまだいますよ?さて、兄者」
残星「おうよ」
左馬刻「おいどうしたそんなもんか?」
残閻「では、この人数のラップを一斉に食らってください」
残星「っへへ!!ひとたまりもねえだろ!!」
一郎「そんなションベン臭えラップなんざぜんっぜん効かねえよ」
残閻「100人混合だぞ?ダメージを受けないなんてことがあるわけが…」
〜寂雷&乱数ラップ〜
残閻「くっ…そういうことか…。回復系のラップか!」
モブ「てめえ!何とち狂って!」
モブ「死ねやああ!!(殴る)」
残星「っ馬鹿野郎!何仲間割れしてやがる!!」
残閻「っ!?どうなっている?!」
左馬刻「残閻。残星。覚悟はできてんだろうなあ?」
残閻「くっ、クソが!!」
一郎「てーめえ…何逃げてやがんだ!!!」
残閻「そこまでだ!!!あなたたちがラップをしたら、このナイフでガキを刺す」
子供「!ふええ…!!ひっ、助けてぇ!」
残星「へへへへ、てめえら、マイクを捨てやがれ」
寂雷「はあ。残念です。」
残星「え?てめえ何言って、」
寂雷「私はあなたたちのことを少しは興味深いと思っていたんですが、利己的要因の外道は、最も嫌いなものの一つです」
残閻「嫌っていただいて結構。そんなことより、早くマイクを捨てたらどうですか?」
寂雷「なぜマイクを捨てなければいけないのですか?」
残星「てめえはバカか?この状況がわかんねえのかよ!!ガキがどうなっても、」
寂雷「人をバカ呼ばわりする前に、ご自分の状況を今一度確認したほうがいいですよ」
残星「は?」
寂雷「そうですよね?飴村くん」
乱数「えっへへへ!そうだねえ!」
残閻「さっきから何を言って…?!」
左馬刻「残閻、テメエの手元をよく見ろや」
残閻「何…?!っ!?!?!?なんだこれは?なんで僕は、ドラム缶を?!ガキはどこに行った?!」
乱数「えっへへへ〜。ボクのラップは、相手に幻を見せることができるんだよ〜!すごいでしょ☆」
モブたち「!??!?!」
一郎「テメエら、タダで済むと思うなよ」
左馬刻「蛆虫どもは体に教え込んでやんよ」
残星「っ …」
残閻「ひっ!て、テメエら、あ、ぼ、僕たちを守れ!!!」
モブ「じょ、冗談じゃねえよ!んな無茶苦茶な奴らを相手にするなんざ、割に合わねえ!!」
(手下たちが帰る音)
一郎「逃げられるなんざ、そんな虫のいい話があると思ってんのかよ!!!」
左馬刻「テメエらゴキブリどもはここでぶっ潰す」
乱数「おとなしくやられちゃってね〜☆」
寂雷「外道は外道の矜恃を持って散るべきですね」
左馬刻「覚悟しやがれ!!!!」
〜TDDラップ〜
モブたち「ぎゃ〜〜〜〜〜!!!!」

左馬刻「(タバコ吸う)先生、乱数。今日は俺と一郎のゴタゴタに巻き込んじまってすまなかったな」
乱数「えっへへ!全然気にしないでよ。ボクたちは最高のチームだって再確認できたから、むしろテンション爆上がりしたよ!」
寂雷「たしかにそうかもしれませんね。」
左馬刻「にしてもあのノミども、ガキ使って商売するなんざ鬼畜もいいところだな」
一郎「ああ。その商売が成り立つこともイカれてやがる」
寂雷「彼らから得た情報では、どうやら中王区の一部の役人が絡んでいるようです」
一郎「体制側は常に強者で、それ以外は弱者で搾取され続けるってことか。」
左馬刻「中王区のクソ役人どもが…」
寂雷「独裁政権というものは常に危険を孕んでいるということです。」
左馬刻「んなこたどうでもいい。そもそも今のこの世界が異常なんだよ」
一郎「変えるしかねえな…中王区うをぶっ潰してやる」
寂雷「今日のような出来事を撲滅するという意味であるならば、私も協力しましょう。」
乱数「ねえねえ〜!そんなことより〜、お腹空かない?」
一郎「乱数。少しは空気をよ、(お腹の音)…。」
左馬刻「っは!んだ一郎、腹減ってんじゃねえか」一郎「ちが、その、いや、すいません…」
左馬刻「おーし、なら今から飯食いに行こうぜ。もちろん今日の支払いは俺がしてやっからよ。」
一郎「いいんすか?!」
左馬刻「小僧が何財布出そうとしてんだ、黙ってついてこい」
乱数「やった〜〜!んじゃあ、ボクどこの部位でもいいから、たっかいステーキが食べたいな☆」
左馬刻「いや別にお前に、」
一郎「左馬刻さん、あざす!!弟たちにも土産持ってくか!!」
左馬刻「お土産…?」
寂雷「ふむ。肉ですか、非常に興味深いですね」
左馬刻「いやせんせ、……。おう、任せとけ!!今日は大盤振る舞いしてやっから、好きなだけ食えや!!!!………いち、に、さん …下ろせるトコあったかな?」

(回想終わり)
寂雷「ええ。いっしょにやっていたときは、みんな仲が良かったですよ」
一二三「ええ〜〜!?ぜんっぜん想像がつかないっすよ!」
独歩「確かに、失礼ですが…あの雰囲気を見た後では、仲良くしている姿が想像できないですね」
寂雷「よく4人で食事したり、海に行って釣りしたり、ボーリングとかもしましたね」
独歩「本当ですか?!」
一二三「まじっすか?!」
寂雷「ええ。本当ですよ」
独歩「信じられない…」
寂雷「人間の関係性というものは時と共に移ろいゆくものです。しかし、変わらないものも確かに存在していると私は思っています。彼らと共有した時間は確かにあったのですから」
独歩「…」
寂雷「願わくば、我々3人の関係性はこのままでいたいものです」
一二三・独歩「「先生…」」
寂雷「はあ。喉が乾きました、少し話しすぎましたかね。私の飲み物は…」
独歩「っ!!先生、それは違いま、」
寂雷「(ごくごく…)っぷは、」
一二三「…めちゃくちゃ飲んだー…!!!!ど、どっぽ、これはかなりヤバくないか?!」
独歩「あ、ああ、ちょっと外に避難しよう…」
一二三「っああ、そうだな…」
一二三・独歩「「そーっと、そーっと …」」
寂雷「うぉおい!!!お前らぁ!!!!どこに行こうってんだ!!!」
一二三・独歩「「ひいいい!!!!」」
寂雷「今日は、朝まで飲むぞ!!!!こんちくしょうが!!!返事はどうしたんだよ!!!!」
独歩・一二三「「は、はい!!!喜んでぇ!!!!!」」
寂雷「ははははは、酒だ!!!もっと酒持ってこんかい!!!」
独歩・一二三「「ひ、ひえええ〜〜!!!!」」

〇Fight For Your Right
(キーンコーンカーンコーン)
二郎「ぅ、ふわああ…やっと昼飯かあ。まじ授業とかだりーなあ…」
(遠くから足音)
女子「あっ!あのあの、お弁当作ってきたから食べてください!」
女子「二郎くん、これよかったら食べて!」
女子「またお弁当作っちゃいました、食べてくれますか…?」
女子「ずるーい!私のも食べて!」
女子「ねえ二郎くーん!」
女子「ちょっと邪魔しないで!」
二郎「あ、ああ、なんか、いつも悪いな…ちゃんと全部食うけど、量が多いから、ダチと分けてもいいか…?」
女子たち「いいよぉ!」「えへへ」「ああでも、ハンバーグは〜〜」
二郎「……お、おう…」
男子「じ〜ろうちゃーんっ。毎日モテモテじゃないか」
男子「我らのディビジョン代表、MCM.B.は今日も見せつけてくれるねえ!
男子「マージ羨ましいわ!各クラスの可愛い子
全員来てるしよ」
二郎「茶化すんじゃねーっての。弁当分けてやんねーぞ」
男子「あぁっ〜うそ!うそ!」
男子「すんません!調子に乗りました〜!」
男子「コレ食べるのが目的で学校来てるんだからな?!」
二郎「おまえら…プライドはねえのかよ」
男子たち「「ない!!」」
二郎「清々しいほどのアホだな。お前ら」
男子「じゃあ早速…」
二郎「おい、待てって!…いつも言ってんだろ、貰ったからにはまず俺が全部一口食ってからじゃねーと、筋が通らねえってよ」
男子「わーりいわりい、腹減っててついな」
二郎「ったくよ」

男子「にしてもそんなにモテるのに、なんで彼女作らんの?」
二郎「…。毎日弁当くれるのは嬉しいんだけど」
男子「ならあの子たちの誰かと付き合えばいいじゃんよー。したら俺らも他の子いけるチャンスあるしなあ?」
二郎「お、おお女の子と何喋っていいか、わかんねえんだよ」
男子たち「「…あっはっはっは!!」」
二郎「しょ、しょうがねえだろ」
男子「あーはいはい。じろちゃんのそういうとこ、ま〜じ大好きだわ!」
二郎「うるせえな。ほっとけ」
梧桐「あの!や、山田くん」
二郎「お、梧桐じゃん。どうした?」
梧桐「そ、その…お、お願いが、あって。じ、じつは、…」

三郎「いち兄。はい、コーラ」
一郎「おっ。サンキューな、三郎」
三郎「いえ!」
一郎「(ごくごく)…ぷはぁ!」
三郎「今日はなんのアニメを見ているんですか?」
一郎「これか?これは、」
(バタン!!)
二郎「 兄ちゃん!ちょっと、話が…って、それ!! 『転生したらチート魔術師じゃなくてチートラッパーだった件』じゃん!Blu-ray出てたんだ!!」
一郎「おう!二郎も好きだったよなあ!」
二郎「もちろん!!前兄ちゃんが勧めてくれてからすぐに見て、原作も全部読んだよ!」
一郎「最高だよなあ!」
二郎「最高だよ!俺も後で買いに行ってくる!!」
一郎「三郎もどうだ?見ても損はないと思うぞ!」
三郎「僕も前にオススメされた時にリアタイで見ましたよ。仰る通り、とても面白かったです。けど、なぜBlu-rayを?今は高いお金払って買うよりも、千円くらい払ってアニメ系の動画サイトに入会した方が得じゃないですか?それに、二郎はなんで
買うんだ?いち兄に借りればいいじゃないか。わざわざ同じものを買いに行くなんて、」
一郎・二郎「「はあ…」」
三郎「な!?なんで、そんなに呆れているんですか?」
一郎「三郎…お前は何もわかってないな〜。なあ、二郎」
二郎「そうだね、兄ちゃん。三郎はアニメ好きの風上にも置けないね」
三郎「な!?なんでだよ。」
一郎「二郎。三郎に教えてやれ」
二郎「任せといて。」
三郎「っなんで僕が二郎なんかに教わらないといけないんだよ!」
二郎「へっへっへっへ…」
三郎「ちっ近い、近い!!!離れろって!!」
二郎「うるせえ!!何もわかっていないお前に、この俺が直々に教えてやるんだ!感謝しろよ」
三郎「ど、どうせ教わるなら、いち兄が教えてくださいよ!」
一郎「いいじゃねえか。たまには二郎に教えてもらえって」
三郎「そんなぁ…」
二郎「あっははは!!三郎、耳の穴かっぽじってよおーーく聞けや!!」
三郎「ぅ、ううう!」
二郎「お前には足りないものがある。それは、『愛』だ!!!」
三郎「あ、愛だってえ?!何言ってんだ!!」
二郎「まあいいから聞けって。俺と兄ちゃんはこの作品のことを愛している。それはわかるよな?」
三郎「あ、ああ…なるほど!!愛しているからお布施をするってことか!」
二郎「まあ、それも一つの理由だわな」
三郎「それ以外にもあるのかよ?」
二郎「愛していたらすることがあるだろ。」
三郎「な、なに言って、」
二郎「愛していたら!自分の手元に置いておきたいも、ん、だ、ろ?!?!」
三郎「そ、それは…そうだけど」
一郎「三郎。一期だけで二期が作られないアニメは数えきれないほどある。少しでも二期が制作される可能性をあげるのは、ファンとして当然だ。それに考えてみてくれ、自分の愛している作品の作家が、売り上げが低いせいで続きを書けなくなってしまった時のことを。その愛する作家の心が、折れてしまった時のことを!!」
二郎「っう、想像しただけで悲しいよ、兄ちゃん!!」
一郎「うっ…だよな、辛すぎんだろ!!!」
三郎「いぃ、言っていることは理解できますが、な、泣くほどですかぁ?」
二郎「当たり前だろ!!!!これで泣かないとかお前は鬼か?!!」
三郎「あっ…えええ?!」
一郎「二郎ぉおおお…!!!そんなわけないだろ?三郎はクールだから表情に出てないだけで、心ん中ではごん泣きしてるはずだ!!な〜〜〜あ、三郎…!!」
三郎「えっ!?!?ええ、えええ、まあ、そ、そうです、ね…」
一郎「そうだろ?そうだろ?!なあ、二郎?!」
二郎「うん!俺も教えた甲斐があったよ!」
一郎・次郎「「あっははははは!!」」
三郎「二郎は相変わらず低脳でどうでもいいけど、
い、いち兄のことは尊敬している…。だけど、すみません、生意気なことを思ってしまうことを許してください!!………なに言ってんだコイツら。」
一郎・二郎「「はははははは!!あーっはっはっはっは!!」」

一郎「…そういえば二郎、部屋に入ってきた時、何か言いかけてなかったか?」
二郎「あ、忘れるところだった!兄ちゃんに頼みがあるんだ」
一郎「どうしたんだ?」
二郎「俺じゃなくて高校のダチなんだけど、ソイツから兄ちゃんに助けてもらいたいことがあるって言われて。だから、連れてきてもいい?」
一郎「おう、もちろんだ。連れてこいよ!」
二郎「ありがとう。そう言ってくれると思って、呼んでるんだ!多分、そろそろ来ると思うけど…」
(コンコン)
梧桐「すみま、せーん!こちら、山田二郎くんの、ご自宅でしょうか?」
二郎「おっ、ちょうどきた」
(ガチャ)
二郎「おう、まあ、入れや」
梧桐「し、しつれい、します!」
二郎「兄ちゃん、コイツが相談があるって言ってたやつ。」
梧桐「あ、はじめ、まして。坊城梧桐と申します」
一郎「俺は一郎だ。坊城くん、よろしくな」
梧桐「あ、よろしく、です。…一郎さんのご活躍はかねがね、」
一郎「まあ立ち話もなんだから、座れよ。」
梧桐「ぁあ、ありがとう、ございます…」
二郎「兄ちゃん。こいつには借りがあるから良くしてやってよ」
一郎「へえ。借りって?」
梧桐「そ、そんな、借りだなんて、大袈裟だよ。鉛筆と消しゴムを貸しただけだし」
二郎「いやいや、危うく何もかけないで0点になっちまうところだったんだから、俺にとっちゃデケエ借りだっつの」
三郎「はっ。どうせ0点じゃなくても赤点は取ったんだろ」
二郎「はあ??三郎、テメエなに適当なこと言ってやがんだ!!」
三郎「実際、何点だったんだよ?」
二郎「…。」
三郎「さあ、ほら!早く言えよ!!」
二郎「ぐ、じゅ、じゅうご、てん」
三郎「うっッッわ。マジ引くんだけど。馬鹿にしてやろうと思ったけど、リアルにバカすぎてバカにできないよ!」
二郎「て、てめえ!!」
三郎「赤点野郎が吠えても何も怖くないね!」
一郎「お前らいい加減にしろ。客の前だぞ」
三郎「す、すみません…」
一郎「ったく…坊城くん、すまねえな。」
梧桐「い、いえ!」
一郎「二郎が世話になった。で?その相談って何だ?」
梧桐「、はい。実は、昨日、僕の弟が、拐われてしまって」
一郎「…さらわれた?穏やかじゃねえな。何で警察じゃなくて、俺のところに来たんだ?」
梧桐「っ…」
一郎「ん?どうした?」
梧桐「い、いえ、なんでも、ありません…」
一郎「…」
梧桐「さらった奴らに、 『警察に言ったら弟の無事は保障しない』って、そう、言われて…」
一郎「そうか。なんでさらわれたんだ?」
梧桐「それは…」
二郎「おい梧桐。理由がわからねえってことはねえだろ」
梧桐「うん…彼らから、お金を要求されてて。それを、断り続けたら…」
三郎「さらわれた、と。」
梧桐「はい…」
二郎「そのゴミ屑野郎どもって、まさかウチの高校か?」
梧桐「違うよ!!ほ、他のディビジョンで、チームを組んでいる人達」
三郎「他のディビジョンって、どこですか?」
梧桐「ヨコハマ・ディビジョンです」
二郎「…ヨコハマって、兄ちゃん」
一郎「いや、違うな。MAT TRIGGER CREW…左馬刻の野郎は絶対に噛んでいない」
二郎「え。何でわかるの?」
一郎「アイツは単細胞で馬鹿だが、そんな卑怯な真似は絶対にしない」
二郎「そ、そうなんだ…」
一郎「なるほどな。そのチームのクソどもから、俺らに弟を助けてほしいってことか?」
梧桐「…はい。最近ソイツら、用心棒がわりにすごい強いチームを雇ったらしくて」
二郎「ンなもん関係ねえ!!俺たちがその屑どもを蹴散らしてやんよ!!ねっ、兄ちゃん!」
一郎「…。」
二郎「…兄ちゃん?」
一郎「ん、ああ。そうだな」
二郎「ってことで、大船に乗ったつもりでいろよ。お前の弟は必ず助けてやっからよ!」
梧桐「ありがとう、二郎くん。… ……あっ、あの!!このことは、絶対に誰にも言わないでほしいんです。その、誰にも、話すなって、言われてまして…」
一郎「ああ、心配すんな。仕事柄、絶対に口外しねえよ」
梧桐「 …ありがとう、ございます…。それじゃあ、後程、よろしくお願いします」
(ガチャ、バタン)
二郎「まったく…。とんでもねえことする奴らも居るもんだな」
一郎「 …。」
三郎「あの人、様子がおかしかったですね」
一郎「ああ…そうだな」
二郎「えっ?そうか?」
三郎「さらわれたって話した時に、ずっと目が泳いでいたし…言動も、ね」
二郎「そりゃお前、弟がさらわれたんだから動揺してたんだろ」
三郎「…そうかもしれないけどね。」
一郎「杞憂であればいいけどな。」
二郎「っダチが困ってるんだ、兄ちゃん、助けないってことはないよね?」
一郎「当たり前だ。お前のダチが困ってんだ、力貸してやろうじゃねえか」
二郎「そう来なくっちゃ!」
三郎「今日の夜でしたね、お金の受け渡しは」
一郎「ああ。ヨコハマのコンテナヤードだって言ってたな。…車はそれまでに用意しておく。」
三郎「お願いします!」
一郎「向こうには手強いチームがいるらしいから、二人とも気を抜くんじゃねえぞ」
二郎「うん!」
三郎「はい!」

〇Somebody Gotta Do It
銃兎「売人どもの部屋は、237号室でしたか。」
警官「っはい。」
銃兎「ふう、…ココですね。マイクを構えておいてください?」
警官「っ承知しました」
銃兎「よし……突入するぞ!」
(ガラッ)
銃兎「警察だ!!動くな!!
男「っう!?」
男「サツだと?!」
警官「っ銃兎さん、あそこの机にあるのが…」
銃兎「ああ、ブツだ。……さて、あなた方には選択肢が二つあります。このまま無抵抗でしょっぴかれるか、無駄だとは思いますが、最後まで抵抗するか。私は優しいから正解を教えて差し上げましょう。大人しくしょっぴかれる方が正解ですよ」
男「そりゃご丁寧にありがとよ!!けど、それは不正解だぜ!!」
銃兎「…はあ。そちらのあなたはどうですか?そこのバカとは違い、賢明な判断を、」
男「けっ!生憎俺も、バカなんでねえ!!」
警官「っ奴ら二人とも、違法マイクを?!銃兎さんっ、」
銃兎「大丈夫です。私に任せてください。(ヒプノシスマイク起動音)…やれやれ。忠告はしましたからね」
男「オラあ!!!来やがれ、ポリ公!!!」
〜銃兎ラップ〜
警官「さっ、さすがです、銃兎さん!!」
銃兎「所詮はチンピラ。いくら虚勢を張ってもこの程度、」
男「へっへへ、なあにがこの程度だって?まだまだ俺らはやれるぜえ?」
警官「!アイツらの、あの目…グラスホッパーをやってるのか?!」
銃兎「ふん、なるほど。グラスホッパーの効果で私の攻撃に耐えましたか」
男「ふはははははははあ!!そのすましたツラァ、すぐに歪ませてやるぜぇ!!!!!」
男「あーッッはっはっはっはぁあ!!!」
ヒプノシスマイク起動音)
男たち「っがはぁ…!!」
警官「ど、どうしたんだ?!」
銃兎「グラスホッパーの副作用、か …!」
男「があああああっ!!!!!あぁああ!!!」
警官「っおい、っ〜〜〜!!銃兎さん!コイツら、息してません…」
銃兎「救急車、」
警官「え、」
銃兎「救急車だ!!!!!コイツらに死なれたらどうすんだ、バカ野郎!!!!
警官「え、あ、はいっ!…もしもしっ、救急車お願いします!」
銃兎(こんな危険なブツが出回ってやがんのか…!一刻も早く、元をぶっ潰さねえとな…)

(コンコン、)
左馬刻「オヤジ。入るぜ」
退紅「おう。入れや。…すまねえな、忙しいところを呼びつけちまって」
左馬刻「他でもねえオヤジの呼び出しだからな。シカトはできねえよ」
退紅「はっは。我が火貂組の若頭は忠誠心が厚くて嬉しい限りだなァ、おい」
左馬刻「んで?何の用だよ」
退紅「急くな、急くな。ゆっくりいこうや。ほら、お前も一杯やれよ」
左馬刻「…俺様も暇じゃねえんだ。手短に頼むわ」
退紅「…つれねえやつだな。」
左馬刻「…ああ?何だこれ。コイツは、ヤクかぁ?見たことねえ形してんな」
退紅「グラスホッパーって呼ばれる新型のブツだ」
左馬刻「驚いたな。ウチの組ヤクはご法度だろ?それともコイツをウチの新しいシノギにすんのかよ」
退紅「はっはっは。(パリン!!)……なあ、左馬刻。その軽口は、俺がヤクを死ぬほど嫌いって知ってのもんなんだよなあ?」
左馬刻「はっ。わーるかったよ、冗談だ冗談。うちの組でヤクをシノギにした奴の末路を知らねえわけがねえだろ」
退紅「冗談は好きだがその手の笑えねえ冗談は死ぬほど嫌いだ」
左馬刻「…で?このグラスホッパーってのがどうしたんだよ」
退紅「……ウチのシマで、それを売ってるバカがいる」
左馬刻「なるほどな。そのバカどもを始末しろって?」
退紅「話が早くていいねえ。左馬刻、時間つうもんは貴重だ。使うことと費やすことはできても、モノにすることも持つこともできねえ。そんで一回失うと、同じ時間は二度と戻ってこねえから厄介だ」
左馬刻「…さっきは急くなとか言ってたくせによお。」
退紅「はっはっは。前のことは覚えてねえよ」
左馬刻「よく言うぜ。…そんじゃ、オヤジの言う貴重な貴重な時間を無駄にしねえように、早速そのクソッタレな害虫どもを駆除してくるかねえ」
退紅「…左馬刻、」
左馬刻「…ああ、わかってるって」
退紅「なら問題ない…」
左馬刻「ウチに喧嘩売ったんだ、死んだ方がマシって思えるくらい追い込んでやるよ」
(ガチャ)
左馬刻「まーずはヤサからだな。下のもんに探させてもいいが、こういうことはウサちゃんに聞くのが早えか」


銃兎「なるほど?それを火貂退紅に命じられたと。それにしても、っふふふ、」
左馬刻「…ああ?何笑ってんだ?」
銃兎「これは失敬。あなたもヤクザとはいえ、組織に属する人間。上からの命令には大人しく従うんですね」
左馬刻「…。くだらねえこと言ってんじゃねえ売人もろとも沈めちまうぞ」
銃兎「おお、怖い怖い」
左馬刻「にしても、そのヤクはそんなにヤバイもんなのか」
銃兎「服用すると、多幸感や強い幻覚が見えるらしい。服用者は瞳孔が極端に開くことから、グラスホッパー…なんて呼ばれてる」
左馬刻「ふうん。」
銃兎「グラスホッパー…バッタか。感情の浮き沈みが激しいようだから、それにもかかっているんだろう」
左馬刻「効果は今まであったようなクスリと変わらねえみてえだが、何でこんな爆発的に流行ってんだ?」
銃兎「今までのブツとはブッ飛び方がだんち(※段違い)で、値段も安価だからだろうよ。」
左馬刻「だんち、ねえ。副作用もその分強烈そうだな」
銃兎「やりすぎると精神が錯乱して、心臓発作を起こすみたいだ」
左馬刻「…。んなもんやる奴ぁアホだな。」
銃兎「けど、まあちょうどいいタイミングだった。うちもグラスホッパーの出所を探っていたところだったからな」
左馬刻「で、ヤサはわかってんのか?」
銃兎「ええ。もちろん。売人を逮捕してそいつらから得た情報を辿っていき、ようやく探り当てた」
左馬刻「そいつぁご苦労さん。早速行くとしようぜ」
銃兎「落ち着け。向こうに何人いるかわからねえんだ、理鶯のもとに協力を求めに行ってるんだろ」
左馬刻「はは!普通ならテメエの手下どもをたくさんつれてきゃいい話だろうが、ヤクが絡んでるとなるとポリとしちゃ行きたくねえもんなあ」
銃兎「…。黙れよ」
左馬刻「薬に手ェ染めてる奴らにゃ容赦ねえもんな。ま、気持ちは分からねえこともねえよ。なんせテメエの親とダチが、」
銃兎「黙れっつってんだろうがよ!!!!(キキーッ)ぶち殺されてえのか!!!」
左馬刻「っっぶねーな!!急に加速すんじゃねーよ!!!
銃兎「テメエがいらねえこと言ってっからだろうが!!」
左馬刻「事実言っただけじゃねえか人に当たってんじゃねえぞボケ!」
銃兎「っ…まったくイラつく野郎だ」
左馬刻「…お互い様だろこのクソウサ公」

左馬刻「っ毎回思うけどよお、理鶯のやつ、よくこんな森の深い場所で生活してるよなあ」
銃兎「理鶯なりに、っ考えがあるんだろうよ」
左馬刻「そんなもんかねえ、」
銃兎「さあ、見えてきましたよっ、理鶯の野営地が」
左馬刻「…ああ?理鶯のヤツいねえじゃねえか」
銃兎「火があるので、遠くには行っていないと思うんですがねえ」
(遠くから聞こえる鼻歌)
左馬刻「よお、理鶯!上機嫌じゃねえか」
理鶯「左馬刻に銃兎か。ちょうどいい時にきたな。さては、小官がレアな食材を手に入れたのを察知したのか?ははは。いやしんぼさんだな」
左馬刻「いやしんぼさんっておまえ…」
銃兎「理鶯…!そんなこと言うタイプじゃ、っ(咳払い)…それより、手に持ってるグロテスクな生き物が気になる」
理鶯「今日は良き日だ。食事は大勢で囲んだほうが断然いい。待ってろ、今調理するから」
左馬刻「待てって理鶯!」
銃兎「そっ、そうですよ。私たちは、理鶯に頼み事があって来たんですよ?」
理鶯「頼み事?」
銃兎「実は、」

理鶯「薬物、か」
左馬刻「ああ。ウチのシマで荒稼ぎしてやがる」
銃兎「ヨコハマ・ディビジョン内の若年層に爆発的に広がっている。安価で効果も絶大だからな」
理鶯「事情はわかった。それで、召喚に頼みというのは?」
銃兎「あなたに手伝ってもらいたい。ヨコハマのゴミ掃除を」
理鶯「貴殿らは同じチームで借りもある。力を貸すことになんの問題もない」
銃兎「ありがとう、理鶯」
理鶯「ひとつ、気になるんだが。どうして警察の人間を使わない?」
銃兎「、それは……」
左馬刻「理鶯。それはだな、えーその、あのー、あれだ、えー」
理鶯「…うん?」
銃兎「左馬刻…いい。ありがとう。力を借りるのに、言わないのはフェアじゃない。」
理鶯「ふっ。何か事情があるようだな」

銃兎「人間の死はありきたりだ。毎日途方もない人数が死んでいる。私の話は、そんなありきたりな話なんだが、」
理鶯「だが、貴殿にとっては、許容できないモノなのだな」
銃兎「その通りです。私の両親は、善人でした。コツコツ真面目に働き、誰にも迷惑をかけていませんでした。しかしある日、錯乱した薬物中毒者の車に轢かれて、他界しました」
理鶯「それは…すまない。思い出したくない話を」
銃兎「いえ、…あなたにはいずれ、話すつもりでしたので」
理鶯「…そうか」
銃兎「私は、薬物を根絶したいと思い、警察官になりました。しかし、そこでも…薬物関連で大事な人を亡くしました」
理鶯「…。」
銃兎「私の先輩、いや…友人だな。彼は正義感が強く、曲がったことが嫌いな、警察官の鑑のような人物でした。公私ともに仲が良く、警察官のイロハを私に教えてくれました。そんな彼も、薬物が原因で命を落としました。仕事をし続けるうちに、精神を病み、私の知らないところで、薬物に手を出していたようです」
理鶯「それで、薬物を嫌悪するように?」
銃兎「…そうです。国の正当な罰では生温い、私自らの手で裁く。それが遺された私にできる、彼らへの弔いです」
理鶯「承知した。本件で小官は、貴殿の剣だ。命令に従おう」
左馬刻「俺様はオヤジに言われた仕事だからやるけどよ…ま、たまたまおめえの目的と被ったってだけだ」
銃兎「二人とも…ありがとう」
理鶯「うん。」
左馬刻「ふっ。」
銃兎「それでは今夜、奴らのところに乗り込みます」
左馬刻「おう」
理鶯「承知した。」
銃兎「場所は港付近のコンテナヤード、後ほど集合ということで」
左馬刻「じゃー理鶯、後でよろしく頼むわ
理鶯「二人とも、どこに行くんだ?」
銃兎・左馬刻「「え?」」
理鶯「腹が減っては戦はできぬ、と言うだろ。今日は稀に見る良い食材だ。豪勢な食卓になるだろう」
左馬刻「いやいやいやいや、あの、りおー?」
理鶯「待っていろ。すぐに調理するからな」
(理鶯の鼻歌)
理鶯「天日干しのゴキブリにカメムシで風味を…スズメバチとミツバチか…」
銃兎「っ!!なんて食欲が減退する光景なんだ!?あ、あれを、食べないといけないのか?!な、なあ左馬刻!」
左馬刻「っ〜〜〜〜〜」
銃兎「何してるんだ、左馬刻?!」
左馬刻「スクワットだよ!!!!極限まで、腹減ってたら、勢いで、食えるかも、しんねえ!!!」
銃兎「っ、逃げないのか?!」
左馬刻「バカ、やろう!!!あんな、嬉しそうな、りおーを、置いて逃げれっ、かよ!」
銃兎「…確かに…、鼻歌なんか歌って、よほどあの
グロ食材たちが取れたことが、嬉しかったのか…。くっ!!っふ!〜〜!私も、体を、動かして、腹を、減らさないと!!!」
左馬刻「目標、千回だ!!!!!!!」
銃兎「っ、千回?!ふっ。五千回いきましょう!!」
理鶯「 ツヤハダアリの幼虫か。(?)ここにコオロギの〜…」

〇We Just Wonna Party with You
(チャリンチャリンチャリン…)
帝統(今日はツキにツキまくってやがるぜ…!!1万が数百万になりやがった…!ポーカーを選んで正解だったな〜…へへ。クイーンのペアか…いいカードだ、)
帝統「コール!」
男「チェック」
残閻「チェック、」
帝統(あとは、コミュニティカード次第だが…っへへ。キング、クイーン、2か。この時点でクイーンのスリーカード…。一応、他の奴らがどう出るか、見させてもらうか)
男「チェック。」
「コール」
残閻「コール、」
帝統(奴さんたち…そこそこ自信ありげじゃねえか。おもしれえ!2、3…キタキタキタ!!!フルハウス!!ここが勝負所!!!)
帝統「オールインだ!!!!」
帝統(っへっへっへっへ…)
親「他の方々、どうなさいます?」
男「ホールド。」
帝統「怖気付きやがったな?」
残閻「私は勝負しますかね」
帝統「っふふふ…はっはっはっは!!いいぞ!!今最高に生きてるって感じがしやがる…!さあ、勝負と行こうじゃねえか!!!」
親「それでは、オープンしてください」
帝統「どうだ!!!フルハウスだ!!!」
残閻「これはこれは。なかなかお強い役ですねえ」
帝統「なっ。なんだと!?」
残閻「私はキングのフルハウス。あなたはクイーン。私の勝ちですね」
帝統「っ…びゃ、びゃかにゃ…」
残閻「ピリつく勝負をありがとう。ご馳走様でした」
帝統「んがーーーーーーーんん!!!ううぁああっ!!!」
親「っ誰かコイツを摘み出せ!!」

帝統「はーああ…。あんな僅差で負けちまうとはなー…無一文になっちまったぜ…」
残閻「まさか、この公園で寝泊りするなんて言わないですよね?」
帝統「あ?ってお前はあ!!さっき俺に勝ちやがったやつじゃねえか?!」
残閻「ふふふふ。そう睨まないでください。隣、座っても?」
帝統「ふんっ!好きにしろよ」
残閻「それでは、失礼して…。」
帝統「で、無一文になった俺に、なんか用があんのかよ?」
残閻「あっはは。自分の全てを賭けていたんですか。あなた、なかなか肝の座ったギャンブラーですねえ」
帝統「肝が据わってても、負けちまったら意味がねえけどな」
残閻「ま、確かにそうですねえ。しかし、私はあなたのそのキモの据わり方が気に入りました」
帝統「そいつはどうもあんがとよ。そんなくだらねえことだけわざわざ言いに来たのかよ?」
残閻「もちろん違いますよ。実は、あなたにお願いしたい仕事がありましてね」
帝統「仕事?」
残閻「ええ。無一文のあなたにとって、悪い条件ではないと思いますよ?」
帝統「そんで、その仕事とやらは何をすればいいんだよ」
残閻「なに。至極簡単ですよ。ある荷物を運んでいただくだけです」
帝統「ハッ。確かにそりゃ簡単だな。けど、そんな簡単な仕事なら、俺である必要は …」
残閻「報酬は、先ほど私が買った額、全てお渡ししますよ?」
帝統「よしっ!任せておけ。俺は、荷物を運ぶのには定評があるんだ。」
残閻「快諾していただけて嬉しいですよ。あ、これは、前金です。終わりましたら残りをお渡しします」
帝統「うおー!!!すげー!!!」
残閻「それでは、荷物はこのメモに書いてあるロッカーに入れておきました。これが鍵です。運ぶ場所と時間も、荷物の上に置いておきましたので、よろしくお願いいたします」
帝統「おう!任せとけってよ!」
残閻「それでは、私はこれで。…そうだ、言い忘れてましたけど、荷物は全部で3つです。重いので、あと二人ほど連れて行った方が楽だと思いますよ」
帝統「おお、そうか!教えてくれてサンキューなー!
残閻「いえいえ。それでは、幸運を……ああそうだ。名乗るのを忘れていました。私の名は、」

男「ああ…もう仕事やりたくないなあ…」
幻太郎「あそこのくたびれたサラリーマンは、実は王手ゼネコンの社長。ああして冴えない風態を装い、周りを油断させている。」
女の子「あっはは!にーげろー!」
幻太郎「あそこで走り回っている小学生は、実は子供のふりをしているだけで、実年齢53。人ならざる超常の力を使える」
帝統「おーい!おーい!おい!!」
幻太郎「…ん?」
帝統「っはあ、はあ、 …はあ。この辺にいると思ったぜ」
幻太郎「このクズそうな男は有栖川帝統。見たまんまである。夢野幻太郎という稀代の小説家に多額の借金があるにも関わらず返済していないクズである」
帝統「誰がクズだよ、誰が!!」
幻太郎「あっは。これは帝統、嘘ですよ嘘。それより、そんなに慌ててどうしたんですか?」
帝統「っおお、そうだそうだ!!長い間借りちまって悪かったな!」
幻太郎「…帝統、この金は…!!まさか盗んで、」
帝統「ばかちげえよ!!!これは正当な仕事の報酬だ!!」
幻太郎「かくて、有栖川某は科人となりて、この現世を捨て去り、世界へと反逆するに至りけり…吾輩はそれを、この眼に刻み込む…」
帝統「何わけわからんこと言ってやがんだ…。大体、俺がそんなことするようなやつに見えんのかよ!」
幻太郎「うーん、まあ、見ようによっては見えないこともなくはないですかねえ。」
帝統「…お前が普段から俺をどう見てるのか理解したわ。」
幻太郎「はは。嘘ですよ、嘘。それにしても、あなたが仕事ですか。帝統、今の空の色は何色ですか?」
帝統「あ?…。青に決まってんだろー?」
幻太郎「ほう。ではこれは夢ではないようですね」
帝統「どういうことだよ!!!」
幻太郎「帝統が仕事などと訳の分からないことを言うので、いつの間にか夢の世界に移動してしまったのかと思いましてね」
帝統「おまえなあ!俺だって仕事くらいするっつーの!!」
幻太郎「ま、それもそうですねえ。後学のために、なんの仕事か教えてくれやせんかい?!」
帝統「おお!そうそう、おまえに頼みがあったんだ!仕事手伝ってくんねえか?」
幻太郎「質問を質問で返さないで頂きたいですね」
帝統「で、手、貸してくれるのか?」
幻太郎「貸すも貸さないも、なんの仕事か聞かせてくれないと」
帝統「おお、そうだなあ。大したことじゃねえって!ちょろっと一緒に荷物を運んでもらうだけだ!」
幻太郎「…荷物を運ぶだけでこんな高額な報酬を?」
帝統「すげえ気前がいいやつだったぜ!」
幻太郎「…帝統。本気で言ってますか?それ。」
帝統「っ?そ、それは、…」
幻太郎「はい。それは?」
帝統「し、 しかたなかったんだ!危ねえ仕事かもしれねえって思ったけど、ギャンブルで無一文になっちまったから、」
幻太郎「本当にあなたと言う人は…仕方がないですね。いいでしょう、手伝ってあげますよ」
帝統「まじ!?ちょー助かるぜ…!!!やー、持つべきもんはマブダチだぜ!」
幻太郎「っ、本当に…あなた以上に現金な人を見たことがありませんよ」
帝統「おー!サンキューな!」
幻太郎「褒めていないですからね…」


(ガチャ)
帝統「おーい!乱数!…居ねえなあ。奥の部屋か?」
幻太郎「お邪魔します。と、…んん?女性モノの靴がある…ふむ。嫌な予感しかしませんねえ。帝統?少し待っていて、」
帝統「乱数ー。ここか?」
女「…えっ?」
乱数「あっ、帝統だー!やっほ〜!」
帝統「へ、なんで下着姿の女がここに?」
女「きゃーー!!」
帝統「?!?!??!?!」
乱数「あっはははは!オネーサン怒ってたね!帝統がいきなり入ってくるからだよ!」
帝統「いっつつ、」
幻太郎「やはりこうなりましたか …」
乱数「あっ、幻太郎だ〜!はろ〜!」
幻太郎「乱数?何をしていたかはあえて問いませんが、ちゃんと鍵をかけてください?お互いのために」
乱数「やだなー。ボクはオネーサンの服を作るのに、採寸してただけだよっ☆まあ、鍵をかけなかったのはごめーんね!ボクってうっかり屋さんだから〜」
帝統「まったくだぜ。おかげでひでえ目に遭っちまった」
乱数「大丈夫〜、帝統!ボクが治してあげるよ!いたいのいたいの、とんでけ〜!はいっ、これでもう
大丈夫だよん」
帝統「っガキじゃねえんだ!大丈夫な訳あるか!!」
乱数「っははは!」
幻太郎「帝統。あなたもあなたですよ?人様の部屋なんですから、ちゃんと確認してから入らないと」
帝統「う、そうだな …乱数、悪かったな」
乱数「あっはは!ボクはぜんっぜん大丈夫だよーん!オネーサンには後でボクがフォローしとくし!」
帝統「ああ、わりーな!」
乱数「そんなことよりもっ、なんかボクに用があったんじゃなーいの?」
帝統「おおお、そうだ!!乱数に渡すモンがあってよお…」
乱数「ええ〜!何かな何かなっ?」
帝統「へへ、…これ!借りてた金。なげえ間、悪かったな!」
乱数「すっごぉ〜い!全額入ってるね!うまくやったんだね!」
帝統「うまくやったって…何がだよ?」
乱数「だって、これ、どこかからくすねてきたんでしょ?」
帝統「ッッなんでお前らはコレが働いて稼いだ金だって発想が出てこないんだよ!!」
乱数「けどボクは〜、それがどんなモノでも問題ないよ☆お金はお金だしね〜」
帝統「そ、それはそれで、どうかと思うぜ」
幻太郎「正確には、働く予定の前金みたいですけど。ね、帝統?」
帝統「あ、あっはは…」
乱数「?働く予定?」
帝統「じ、実はよ、」

乱数「あっははは!帝統やっぱ面白いね!普通だったらそんな怪しさ満点の仕事なんて受けないよ?」
帝統「んぐぐ…。し、仕方なかったんだ!」
乱数「あはは、それで、ボクにも手伝ってほしいってことだったんだね?」
帝統「そ、そうなんだよ!!頼む、この通り!!一生のお願いだ!!」
幻太郎「やれやれ…あなたの一生は一体何回あるんですかねえ」
帝統「う、うるせえな。来世の分まで含めてんだよ、俺は!」
幻太郎「はあ。来世でもあなたと一緒ですか…」
乱数「面白そうだから、ボクも手伝うよ☆」
帝統「まじぃ!?助かるわ〜!やー、やっぱ持つべきモノはマブダチだな〜!」
乱数「そんじゃあ、早速そのロッカーに荷物を取りに〜?レッツラゴー!」

帝統「317、317…おっ、あったあったここだ!」
(ガチャ)
幻太郎「怪しさ満点のダッシュケースが…三つありますねえ」
乱数「ねえねえ!中開けてみようよ〜!」
幻太郎「ええ、」
帝統「待て待て待て!!中を見るのはマナーに反する!」
幻太郎「まあ正論ですが、どうせ見るのは無理です。鍵が掛かっていますから」
乱数「本当だ〜。結構頑丈に掛かってるねえ」
帝統「よほど見られたくねえもんなんだな」
幻太郎「本当に怪しさしかないですね…」
乱数「あれっ?ロッカーの中にメモみたいなのがあるよ?えっとー、なになに?場所の指示が書いてあるね。ヨコハマ港付近のコンテナヤードだ!時間は夜遅くだね〜!」
帝統「ヨコハマか…帰りに理鶯さんのとこでも寄ってくか〜!」
幻太郎「ああ、そうだ帝統。この仕事を持ってきた人物、名前…聞いていないんですか?
帝統「名前?あー、確か名乗ってたな。なんつったっけか…。とまり、とじまり?そうだ!」
幻太郎「思い出しました?」
帝統「『帳 残閻』だ!」
乱数「っ!帳残閻?」
幻太郎「…?乱数、知っているんですか?」
乱数「あっはは、ボクの知り合いに名前が似てたから、驚いただけだよ!」
幻太郎「ふうん。そうですか」
乱数(なんで奴が接触してきたのかわからないけど、間違いなく面倒なことは確かだな。けどまあ、二人にわざわざ言ってやることもないか。)

(キーンコーン、ガチャ)
残閻「失礼しますよ。素晴らしい部屋ですねえ。いったいこの部屋は、一泊いくらするんですか?」
女「あなたは部屋の値段を聞きに、わざわざ来たのですか?」
残閻「世間話から入るのは、ビジネスをする上で大事なことだと思ってるんですが…。どうやら、あなたには無用のようですね」
女「それは、友好的な関係を築くのが前提ですわ。私とあなたにあるのは、純然たる利益のみ。でなければ、あなたのような卑賤な男と会話するのも、怖気が走りますわ」
残閻「これはこれは。随分と手厳しい。ですが、そちらの方が分かりやすくて好きですね。座っても?」
女「どうぞ。」
残閻「こちら、今月分です」
女「…確かに。グラスホッパーは、いつも通りのルートでお送りしますわ」
残閻「ありがとうございます。」
女「それで、例の件はどうなっていますの?」
残閻「つつがなく、ヨコハマ・シブヤの奴らは僕
シンジュク・イケブクロは、兄者がうまくやってるんで」
女「それで、いつやるんですの?」
残閻「今夜ですねえ」
女「今夜…ですか。ふふっ。自分たちが強者だと思い上がっているバカな男どもの絶望に満ちた顔を見るのが、楽しみで仕方ありません」
残閻「アレは、どうでしょうか?」
女「もちろん、準備してありますわ。アレを持ち出すのは、私も相応のリスクを負っているのですから
…確実に、彼らを葬り去ってくださいね」
残閻「ご心配なさらず。アレを使ったら、負けようがありません」
女「ふふふ!私は、後方から楽しませてもらいますわよ」
残閻「ふふふふ。ごゆっくりと、お楽しみください?」

〇29歳のリアル
独歩「えっ?ご紹介した機器を、導入していただけるんですか?あ、ありがとうございます…!そ、それでは、後日詳しい話をしにお伺いいたしますので、はい、…はい。失礼いたします。……また商談が決まった…!こ、このままいくと、ウチの会社で過去最高成績になってしまうぞ…今月いいことが続きすぎて、こ、怖いんだが…」
課長「観音坂くん!!!!!」
独歩「ッッはい!!?!?」
課長「観音坂くん!」
独歩(な、なんだ?なぜ、ハゲ課長が…?!)「あああ、何か僕、やってしまったでしょうか…?!」
課長「大変なことをしてくれたね!」
独歩「え、な、何がですか…?思い当たる節は何も無いが…俺の預かり知らぬところで、きっとろくでも無いことが起きたに違いない…。そんできっとクビになるんだろうな、ああ…。やっぱり
俺にいいことが続くと、揺り返しがデカいと思ったんだよな…。」
課長「いや〜、観音坂くん、素晴らしい!実に素晴らしい!!」
独歩「…え?」
課長「虎ノ門中央病院の大口、決めてきたそうじゃないか!!」
独歩「え、え?え、ああ、はは、偶然かと思います…」
課長「はっはっはっは!運も実力だ!私はねえ、観音坂くんはやれる男だと思っていたんだよ!ディビジョンバトルも優勝したし、絶好調じゃないか!!」
独歩「あ、は、はあ、ありがとう、ございます…」
(何言ってんだ、このハゲ!?いつもくどくどと説教する時、『お前みたいな出来損ないは、俺が輪廻転生しても出会えない能無しだ』とかなんとか言ってたくせに。)
課長「この調子で頑張ってくれたまえよ!君はウチの、エースなんだからね!!」
独歩「っが、がんばります…。…はあーあ。いよいよもってやばい気がする。あの課長が俺を褒めるなんて…厄介なことが起きそうだなあ…」

独歩「はあ。説教くらうのも嫌だけど、褒められすぎるのも居心地が悪い…」
子供「…ちく!」
独歩「ああ、そうだ。今日は一二三が休みだから、どこか飲みに行こうとか言ってたな。」
子供「社畜!」
独歩「駅に向かうか…」
子供「おい!!!そこの社畜!!」
独歩「え?」
子供「やっと気がついたな。社畜は仕事に追われて耳が変になってるのかと思ったぞ!」
独歩「な、なんで小学生が、こんなところに…。ボク、迷子かな?」
子供「っ社畜風情が、子供扱いするな!!」(ドカッ)
独歩「うおおおっ!しょ、小学生に社畜呼ばわりってなんだよ?!…どど、どこでそんな無慈悲な言葉を覚えたんだい?」
子供「そんなこと社畜に教えてやらないね。」
独歩「ぐっぬぬ…。なんて口が悪いガキなんだ…!!はあ、無駄に語彙力があるし、なんなんだこいつは?!」
子供「おい社畜。この俺を神宮寺寂雷のところまで連れて行くことを許してやる!」
独歩「は?な、何言ってんだこのガ、」
子供「ふんっ!!!」
独歩「あいったぁ!?!?!」
子供「ガキじゃない!!!俺の名前は坊城翌檜だ!」
独歩「っいっててて、す、スネを爪先で蹴るな …〜!!」
翌檜「っさい!!社畜がガキなんて言うからだ!ちゃんと翌檜って呼べ!」
独歩「ッッ、はいはい。俺が全部悪かったですよ…」
翌檜「さあ、時間がない!神宮寺寂雷のところに行くぞ、社畜!」
独歩「…はあ。まずは、寂雷先生に会いたい理由を教えてもらおうか?それと、俺の名前は社畜じゃない。俺は、」
翌檜「 …知ってるよ。麻天狼のメンバー観音坂独歩だろ」
独歩「あ…こんな小学生まで、俺の名を…。ディビジョンバトルに出てから、知名度が飛躍的に上がったな…。で?小学生が俺に何の用?」
翌檜「…俺が神宮寺寂雷に会いたいのは、(ぐう〜〜)…ぁ!うう、うぅ…」
独歩「…はあ。ほら、ちょっとついてこい」

店員「ありがとうございました〜」
独歩「ほらよ。『からあげさん』だ。遠慮せず食べろよ」
翌檜「ッ!!っはむ、はむ」
独歩「…。取らないから、ゆっくり食べろよな。なんか長くなりそうだし…とりあえず一二三にメールするか」
翌檜「えへへー、うまかったー!特別に礼を言ってやろう!」
独歩「そりゃあ、どうも…」
翌檜「独歩ぉ!お前、いい奴なんだな!」
独歩「現金な奴め…。それで?なんで寂雷先生に会いたいんだ?」
翌檜「それは…っぎゃあ!!?」
一二三「ちょっちょっちょりりーす!!ちゃんどぽ〜、変な小学生に絡まれてるってぇ?!面白すぎるっしょ!で?その小学生はどこにおるん〜!?」
独歩「…。お前の足元にいるよ」
一二三「んー?って本当だ?!俺の足元で何してんだ?!それとも、それが最近の小学生の間で流行ってるの〜!?」
翌檜「っっ〜〜〜〜〜!この無礼者ー!!!!」
一二三「ははははは!!!んははは!!!独歩、小学生が『無礼者ー! 』だって!やべえ、ちょうウケるんですけどー」
翌檜「おい!独歩!なんなんだよこいつは!」
一二三「ひゃはははは!!独歩お!!小学生に呼び捨てにされてやんの〜!」
独歩「ふんっ!!!!!!!!」
一二三「あいてっ!」
独歩「お前は少し黙ってろ…!!!」
一二三「ほーい…」
翌檜「て、あっ!よく見たら、伊奘冉一二三!!!」
一二三「おっ。ちび助、俺っちのこと知ってるかーんじ?」
翌檜「…不本意ながらな」
一二三「ひゃっははははは!!この小坊、いちいち難しい言葉使うよなー」
翌檜「っガキ扱いすんな!俺は11歳だ!!」
一二三「11ちゃい?イレブンちゃい?いちいち、ちゃいー?ガキ以外の何者でもないじゃんかー!」
翌檜「ぎいい …!!レ、レディに対してなんてこと言う奴なんだ!!」
一二三「なーにがレディーだよ。男は『メン』って言うんだよ〜?」
翌檜「…ん?何言ってんだお前。そんなの知ってるに決まってるだろ。俺は女だからレディーって言ったんだ」
一二三「っははは!!はは…おんな?」
翌檜「俺は女だ!!!」
一二三「ひいいいいいいい!!!!!ぎゃあああ!!!!おんなっ、ひいい」
独歩「うわ!!一二三、しがみつくなって…」
翌檜「なんだ?!きゅ、急に、どうしたんだ?!」
独歩「…ああ、お、お前、女の子だったのか?」
翌檜「?そんなの見ればわかるだろ」
独歩「いやいやいや。短髪でその口調なら、男だと思うだろ!」
翌檜「なんだと!?こんな美少女を捕まえて男とは失礼な奴だな!!」
独歩」…はあ。失礼なのはお互い様だろ…」
一二三「う、ぅ、こわい、こわい、こわい …」
翌檜「…?伊奘冉一二三はどうしたんだ?」
一二三「ひっ…こっちくるなよ…」
独歩「はあ。こいつは、極度の女性恐怖症なんだ。だから、あんまり近づいてやるなよ」
翌檜「女性恐怖症?…えっへへへ!!はっは〜!ほらほら〜!女だぞ〜!!」
一二三「わあああ!!俺っちに、触るなあ!!」
翌檜「へっへっへ〜!待てーー〜〜!!」
一二三「い〜〜や〜〜だ〜〜!こっちに来ないでよ〜〜!」
独歩「…はあ、まったく。一二三が怯え切ってるからやめろ」
翌檜「おーーろーーせーー!!!はーなーーせーーしゃーちーくーー!!んががが!」
独歩「話が逸れまくったけど、なんで寂雷先生に会いたいんだ?」
翌檜「!そうだった。実はお前たち二人にも会いたかったんだ。」
独歩「は?」

(ぴんぽーん)
寂雷「やあ。待っていたよ」
独歩「す、すみません。急にご連絡して、押しかけるなんて」
一二三「先生。突然お邪魔する無礼をお許しください。こちら、つまらないものですが。」
寂雷「これはご丁寧にありがとう。ところで、一二三くんはなぜスーツ姿なんですか?」
独歩「えっと、」
一二三「それはですね、」
翌檜「お邪魔しまーーす!!っおお〜!!さすがお医者さん!!家の中すごくかっこいい〜〜!』
独歩「ここ、こら!!勝手に中に入るんじゃない!!」
翌檜「へへ、だって俺こんな家見たことないもん!!」
寂雷「これは可愛らしいお嬢さんですね。」
独歩「す、す、すみません先生!!すぐに捕まえますので、」
寂雷「ああ、別に構わないよ。それにしても随分オテンバな子ですね」
独歩「!って、先生、よくこの子が女の子だと気が付きましたね」
寂雷「ん?これはおかしなことを言いますね。見ればわかることですよ」
独歩「…僕は最初、ずっと男の子だと思っていたので」
一二三「恥ずかしながら、僕も気が付きませんでした」
寂雷「なるほど。あの子がいるからスーツを着ているんですね。一二三くん、あんなに小さな子でも、女性だとダメなんですね」
一二三「…はははは、はあ、重ね重ね、お恥ずかしい限りです」
翌檜「ほら、お前ら二人がおかしいんだぞ!!こんな美少女を捕まえて男と言うのは!」
寂雷「そうですね。こんなに愛らしい子を男の子なんて酷いですね」
翌檜「へへへへ〜」
独歩「さ、さすが先生…もう懐かれてる」
寂雷「さ、立ち話もなんですから、中へ」
独歩」「あ、ありがとうございます」
一二三「失礼します」
翌檜「苦しゅうないぞ!入れ入れ!」
独歩「お前が言うなよな」

寂雷「どうぞ。」
独歩「すみません…お気を遣わずに」
一二三「ありがとうございます」
寂雷「君にはこれを。リンゴジュースでいいかい?」
翌檜「ありがとう!!」
独歩「…なんか、俺らに対する接し方と、えらく違うな。妙に素直だし」
一二三「ふふ、それだけ先生が女性の扱い方を熟知しているということだろうな。僕も先生を見習い、精進しなければ」
独歩「お前、その言い方…」
寂雷「さて、相談があるって電話で言ってたけど、どうしたんだい?」
独歩「はい、この子は坊城翌檜って子でして、彼女の」
翌檜「独歩!!お願いするのは俺だ。だから自分で言う。」
独歩「!…そうか」
翌檜「神宮寺寂雷先生、お願いだ!俺の兄貴を助けてくれ!!」
寂雷「…君のお兄さんを?事情を話してくれないかい?」
翌檜「…俺の兄貴は気が弱いけど見栄っ張りで、唆されるとすぐに調子に乗る奴なんだ。それで不良の奴らに焚きつけられて、一緒にヨコハマのラップチームにバトルしに行ったんだ。そしたらそいつら卑怯もんで、めちゃくちゃ強いチームを連れてきていたんだ。」
寂雷「そのチームに負けてしまったと?」
翌檜「…うん。それで兄貴の仲間たちは逃げたみたいだけど、兄貴だけがヨコハマのチームに捕まっちゃって」
寂雷「だけど、それだったら」
翌檜「なんで警察に行かないかって言うんだろ?警察に行ったら兄貴を殺すって言ってるんだ。無事に返して欲しければ金を持ってこいって」
寂雷「ふうん。ありきたりな悪人ですね」
翌檜「うちの親は金を持って行こうとしてるんだけど、そんなことする奴らが素直に帰してくれるとは思えないし、けど…俺だけじゃ奴らに勝てるわけないし…それで…」
寂雷「私に相談に来たということですか」
翌檜「うん…」
寂雷「そういうことでしたら、力になりましょう」
独歩「っ。もちろん僕もです」
一二三「はい。当然僕も。微力ながらお力添えをします」
翌檜「おまえら…ありがとう。そ、それと、この件は、絶対誰にも言わないでほしい。」
寂雷「繊細な問題ですから、他言はするつもりありません。職業柄、口は堅いので安心してください」
翌檜「…理由は聞かないのか?」
寂雷「本来ならば聞いたほうがいいのでしょうが、他言して欲しくない件を掘り下げて聞こうとは思いません」
翌檜「ありがとう…」
寂雷「ところで、日時と場所を教えてくれますか?」
翌檜「今日の夜で、場所はヨコハマ港付近のコンテナヤード。」
寂雷「今日の夜ですか…まだ少し時間がありますね。」
独歩「先生?」
寂雷「戦の前の腹ごしらえですよ。ちょうどシチューを作ろうとしていたので」
一二三「先生。僕も手伝いますよ」
寂雷「それじゃ、手伝ってもらおうかな」

独歩「って…お前どうしたんだ?浮かない顔して」
翌檜「ああ、…お前ら、すごいいい奴らだな」
独歩「?」
翌檜「 …ごめん」


〇Don't Play No Game That I Can't Win
帝統「指示された場所ってー、…この辺だよな?」
幻太郎「あなたの仕事なんですから、私に聞かないでもらえますか?」
乱数「あっははははは〜〜!コンテナヤードってボク、初めて来たな〜〜!鉄の箱がたっくさんあって、かっこいいね〜〜!今度ボクのブランドのルックここで撮ろっかな〜!」
幻太郎「それにしても、コンテナヤードですか。怪しい取引現場として、様々な小説で使い古されている…この鞄の中身が違法なものだったら、この場所を指示した人間は、犯罪小説の読みすぎですね」
帝統「まだ中身が違法のモンって決まったわけじゃないだろ?」
幻太郎「ええ。確かに開けるまでは不確定、違法なものか、はたまた合法のものか…。まさにシュレディンガーの猫状態ですね」
帝統「なんだあ?しゅれっしゅれの、ねこ状態?お前何を言ってるんだあ?」
幻太郎「…にゃー!吾輩の前世での名は、シュレシュレ!ねこだったのにゃー!久方ぶりにそのことを思い出して、鰹節が食べたくなったのにゃ〜」
帝統「何言ってんだお前。おつむ、大丈夫かよ」
幻太郎「大丈夫じゃないにゃーー!帝統に頭の方を心配されるにゃんて、吾輩、死にたくなったのにゃ〜〜!」
乱数「あっはは、にゃーにゃーにゃーー!なになになに?猫さんごっこしてるの〜!?ボクも混ぜてにゃ〜!」
幻太郎「にゃ〜!それじゃあ、帝統の周りを回るのにゃ〜!」
乱数「了解にゃ〜!」
幻太郎「にゃあにゃあにゃあ!」
乱数「にゃあにゃあにゃ〜!」
帝統「やっ、やめろお!!二人して俺の周りを回るんじゃねえ!!」
幻太郎・乱数「「にゃーにゃーにゃー!」」
帝統「ああ〜〜〜〜〜〜!!うぜ〜〜〜〜〜!!!」

一郎「さあ、着いたぞ。」
二郎「…ここか、だだっ広いところだな」
三郎「坊城さん。ここのどこに呼び出されているんですか」
梧桐「ええっと、…Aの7番まで来いって、書いてあります」
二郎「A7か、ここはAの5ってことは…11区画離れてるってことか。ちょっと離れてるな」
三郎「はぁ〜〜〜。13区画だよ、二郎。お前ABCもわからないのかよ?本当にバカなんだな、お前」
二郎「べっ、べつにABCがわからなくても生きていけるから、問題ねーって!」
一郎「坊城くん。そういえばさっき言ってた、中学のダチは?」
梧桐「今連絡したんですが、ここから近い場所にいるらしいです。もうすぐ、つくかと」
男「梧桐!悪いなあ、待たせたみたいでよ」
男「へえ?本当にBuster brosのメンバーを連れて来たんだな」
梧桐「う、うん…」
二郎「20人くらい居そうだな…。こんなに沢山ダチがいんなら、俺たちが力貸すまでもねえんじゃねーのか?」
梧桐「い、いや!!向こうにいるチームは、数なんか物ともしないくらい、強いんだ。ね、ねえ?!」
男「オレたちじゃ、全く歯が立たなかったんすわ!」
二郎「…そんなにヤベエ奴らなのか」
男「そりゃあもちろん。」
三郎「じゃあ、なんでこんな大勢で来たんですか?」
男「万が一なんかあったときには、多い方が対処できるでしょう?」
三郎「…。なるほどね」
男「決してあなた方の力を疑ってるわけじゃないんです。あくまで、保険みたいなものです」
一郎「それは助かるが、お前らの出番は来ねえ。ウジ野郎どもは、オレら3人で仕留めちまうからな」
梧桐「よっ、よろしく、おねがい、します…」
一郎「そんじゃ行くか。こんなバカなことをする奴らだ、遅れたら坊城くんの弟に何するかわかんねえしな」
二郎・三郎「「う、うん!」」
男「それじゃあ、オレらが先導しますんで!ついてきてください」
一郎「おう。頼むわ」
男たち「…へっへっへっへっへ…!」

左馬刻「ここがクソ売人どもの根城か?」
銃兎「…いや、違う。今日ここで大量の薬物の取引があるらしい」
左馬刻「ああ?そんな末端の奴らを押さえても意味ねえだろ」
銃兎「はあ、俺の話聞いてたか?大量の薬物だ。そんなもの、」
理鶯「下っ端がやるはずがない。大量のものともなれば、売買する金額も大きいからな」
銃兎「理鶯の言う通りです。ヤクザなら、当然知っているものかと思っていたんですがねえ」
左馬刻「…ウチの組はヤクご法度だから知らねえよそんなん」
銃兎「ま、別に知らなくていいんですけど。あなたが、ヤクに手を染めていたら、今頃檻にぶちこんでいますし」
左馬刻「けっ…」
理鶯「それで、相手の戦力はどの程度なのだ」
銃兎「私の情報では、腕利きのラップチームを雇ったとのことですが…。具体的な人数までは把握していません」
理鶯「そうか。では、あらゆる事態を想定しておいた方がよさそうだな」
銃兎「ですね」
左馬刻「ンなモンする必要はねえ。目の前にいる敵全部ぶっ飛ばせば解決だ」
銃兎「短絡的なバカはこれだから始末に負えないんだ…」
理鶯「二人とも、静かにしろ」
左馬刻「ああ?」
銃兎「どうしました、理鶯?」
理鶯「向こうから声が聞こえてくる。」
左馬刻「ああ?どうしてお、」
銃兎「馬鹿野郎!!!乗り出して見る奴がいるか!!隠れてる意味がねーだろ!!!」
左馬刻「てめえなにしやがんだ!手ェ離せ!!」
銃兎「黙れっての!」
理鶯「声が聞こえなくなる。二人とも、黙れ」
左馬刻「っ…。」
幻太郎・乱数「「にゃーにゃーにゃーー!!」」
帝統「あぁ〜〜〜〜〜〜!!!うっぜええ〜〜〜〜〜!!!!」
銃兎「…ん?アイツら…?!」

寂雷「A7…あそこのようですね」
独歩「…なんだ?すごい沢山人がいるぞ…」
一二三「2、30人くらい居そうだね」
翌檜「アイツらが兄貴の友達だ。」
独歩「な、なんか、強面の人ばっかりだな…」
翌檜「おい!連れてきたぞ!」
男「おぉ!坊城の妹ぉ、よくやったなあ」
翌檜「…ふんっ。」
男「麻天狼の皆サァン、わざわざこんなところまで来てもらって、あざっす!」
寂雷「困っている人を助けるのは当然ですので、お気になさらずに」
男「俺たちじゃあ、どうしても向こうが呼んできたチームに勝てなくて。どうか、梧桐のこと、助けてやってください!」
一二三「僕たちがきたからには、もう大丈夫。全力で相手を叩きのめしますよ。なあそうだろう、独歩くん!」
独歩「え?あ、ああ、そうだな…ところで、その相手のチームはまだ来ていないんですか?
男「ああ、もうすぐくると思うんすけど」
男「おい!奴らが来たぞ」
男「このクソったれどもぉ!待たせたな!!「
男「それはこっちのセリフだぁ!!!この、ゴミ屑どもがあ!!!」
独歩「向こうも、かなりの人数いますね」
寂雷「ただあそこにいる大多数の人は大したことありません。問題は…件のチームがどの程度のものかってことですね」
一二三「 …そうですね」
男「そんじゃ!麻天狼の皆さん、お願いします!!」
寂雷「…さて。どなたが、我々の相手でしょうか」
男「っへへ、焦るなって。それではあ、お願いします!!」
寂雷「…?なぜ、君たちが」


幻太郎「…はあ。久しぶりに走り回ると疲れますねえ」
帝統「だったらあんなことすんじゃねーよ…全く、鬱陶しいったら無いぜ」
乱数「あっははは!面白かったね〜!また猫さんごっこしようね〜!」
帝統「やってもいいが、今度は俺がいないところでやってくれ」
幻太郎「ところで、約束の時間が過ぎていますが…どうしたんでしょうねえ」
帝統「あー…確かにな。メモには、ここで待ってれば人が来るって書いてあ、」

銃兎「おやおや、Fling Posseの皆さまが、雁首揃えてこんな場所で、お散歩ですか…。」
幻太郎(アレは入間銃兎、確か警官だったはず。厄介ですね…)
左馬刻「よお、乱数。テメエ何してやがんだ?」
乱数「あっ!左馬刻サマだー!やっほっほー!こんな所で何してるの〜?」
左馬刻「そりゃこっちのセリフだぞクソボケ」
乱数「えぇっ?!左馬刻サマこわひ〜!」
左馬刻「わりーがおふざけはなしだ、馬鹿野郎。」
理鶯「…有栖川、その手に持っているものはなんだ?」
帝統「あ、あは、や、やだなあ、理鶯さん。なななななんでもないっすよぉ…」
銃兎「何でもないなら、その手荷物をこちらに渡してもらえませんか?」
帝統「いいいいいいいいや、なんでもないけど、大事なも、もんだからよお。だ、だから」
銃兎「やれやれ。これは警官として、職務質問をしているんですよ。さあ、早く出してくれませんか?」
帝統「う…うる、」
幻太郎「おや。それは任意ですよねえ?私たちには拒否する権利があります。…帝統、あなたではすぐにボロが出てしまいます。少し手で口を隠していてください」
帝統「っんんん!」
銃兎「チッ、応じないのであれば、公務執行妨害でしょっぴいてやってもいいんだぞ?」
幻太郎「おやあ。それは脅しですか?でしたら監察室に苦情を入れましょうか?そもそも、こんな場所にそこのヤクザさんと居るあなたの方が、怪しいですよねえ?」
左馬刻「…んだとこの野郎」
幻太郎「っおお怖い怖い。やはりこのことを報告しましょうかねえ。それが嫌なら、周り右してこの場から…」
銃兎「っっせえなあ…」
幻太郎「はい?なんですかあ?よくきこえませ、」
銃兎「うっせえなあ!ごちゃごちゃごちゃごちゃ、
ペチャクチャペチャクチャ御託並べやがって!!左馬刻、理鶯。あのクソカスどもをぶちのめすぞ」
左馬刻「言われなくてもわかってんよ」
理鶯「仕方あるまいが、明らかに奴らが持っているカバンは怪しい。有栖川、悪く思うなよ」
幻太郎「…ふう。思い通りにならないからと言って、実力行使ですか。だがこちらも、ただでやられるわけにはいきませんよ」
乱数「ははっ☆あのお巡りさんこわ〜い!ボクぶちのめされたくないから、抵抗しちゃうぞ〜!」
幻太郎「…帝統?いつまで口を押さえてるつもりですか?」
帝統「っ!!っぷは、なんかえらいことになっちまったが、こうなったらしょうがねえ。やるか!!」
銃兎「クソ売人どもが…!」
ヒプノシスマイク起動音)
銃兎「地獄を見せてやるよ!!!」



一郎「…寂雷さん?どうして、」
寂雷「それはこちらのセリフですよ…一郎くん」
二郎「っおい、そこのクソリーマン!!!!」
独歩「ひっ!?な、なんでしょう…」
二郎「てめーのこと、見損なったぞ!!!ディビジョンバトル決勝の時、不覚にもイケてるって思ったのによ!!!」
独歩「え、いいいや、なぜ見損なわれないといけないのか、皆目見当がつかないよ…。そ、それに、この状況だと、君の方が見下げた奴じゃないか!!」
二郎「んだとコラァ!!!」
独歩「ぐっ、ひゃあああ!!!すみません、すみません!!!ひっ、言い過ぎました、っ本当は、人間のクズってくらいにしか思ってません!!」
二郎「ッッぶっ殺すぞ、てめえ!!」
独歩「がっはっひいい!!!!」
二郎「あのクソどもに手を貸してんだ。てめえも同罪だ!!!」
独歩「っ…?何言ってんだコイツは…?これだからキレる十代は…いや?今はサトリ世代で、キレる奴は少ないって聞くぞ?なら、コイツが特殊なんだ。…悪事に手を染める青少年を救うのは、大人の役目か!!」(ヒプノシスマイク起動音)

一二三「…おや?そこの中学生は、彼のように、僕に突っかかってこないね」
三郎「僕はあのバカとは違う。それに、お前らみたいに、人道から外れた奴に何言っても無駄だろ。」
一二三「 …ふん、おかしな話だね。人道から外れる?理解できないね」
三郎「正気か?あんな奴らについておきながら…」
一二三「なぜなら正義は、僕たちの中にあるんだから」
三郎「どうやら相容れないようだね」
一二三「 …みたいだね」
三郎「ッッ覚悟しろ!!!」
一二三「っふふふ、それはこちらのセリフさ」

寂雷「一郎くん。なぜそちらの方々についているのですか?」
一郎「それは、言えないっす。俺の職業柄は依頼人の話をするのはご法度なんで。逆に俺の方が聞きたいっすよ。これは一体どういうことなんすか?!」
寂雷「私にも理由があって言えません。」
一郎「寂雷さん、あなたのことです。何か事情があるんでしょう。」
寂雷「それはお互い様ですよね」
一郎「…はっ。そうっすね。」
寂雷「はは。そういえば、私と一郎くんは似ているところがあったね」
一郎「はっ。頑固なところはお互い変わってないっすねえ!」
寂雷「そうですね。この状況になれば、もはや普通に言葉を交わすだけではダメですね」
一郎「恨みっこなしっすよ!!」
寂雷「ああ。もちろんだとも」
ヒプノシスマイク起動音)


〜銃兎ラップ〜
幻太郎「ッッさすがと褒めておきましょう、さて…次はこちらの番です!!」
〜幻太郎ラップ〜
銃兎「ッッ…ふふふふふ、あっはははは!テメエがくたばるまで、俺は攻撃をやめない!いくぞ!」

帝統「…理鶯さん、ほんとにやるんすか」
理鶯「有栖川。覚悟を決めろ。小官は戦いにおいて、手を抜けるほど器用ではないのだからな」
ヒプノシスマイク起動音)
帝統「くっ、」
理鶯「行くぞ!」
〜理鶯ラップ〜
理鶯「そのまま寝ていろ。悪いようにはしない」
帝統「っへへ、こっちに正義はねえけど、俺のダチ2人が庇ってくれたんだ。最後まで悪あがきしてやる!!」(ヒプノシスマイク起動音)
〜帝統ラップ〜
帝統「俺も同じことを言います。そのまま寝ててください。できれば、アンタをもう傷つけたくない」
理鶯「…ふふ、舐められたものだ。有栖川、小官は軍人だ。情けはいらない。全力で来い!!!」
帝統「ちっ…クソが!!!!」


乱数「あっははっ!こうして左馬刻とサシでバトルするのー、久しぶりだよね〜!」
左馬刻「…。ああ、そうだな。乱数、なんでヤクなんかに手を染めやがった?」
乱数「ええ〜〜!?ボクそんなもの知らないよ〜!?鞄の中身なら本当に知らないんだ!」
左馬刻「だったら寄越しやがれ。俺様が中見てやっからよ」
乱数「それはぁ、めっ!だよぉ?」
左馬刻「ハッ。ならやるしかねえよな?」
乱数「ねえねえ左馬刻〜!最後に戦ったときは、ボクが勝ったよね?だからやめておいた方がいいんじゃなーい?どうせボクが勝っちゃうよん☆」
左馬刻「おもしれえ、その挑発乗ってやんよ」
ヒプノシスマイク起動音)

〜左馬刻ラップ〜
左馬刻「はっ。吹き飛ばねえのは褒めてやるわ」
乱数「よっと!あはっ!左馬刻に褒められちった〜!なら今度は、ボクが左馬刻を褒めさせてね☆
ヒプノシスマイク起動音)
〜乱数ラップ〜
乱数「おぉ〜!さっすが左馬刻サマ〜!ボクの幻覚を見ても意識を保ったままなんて〜!すご〜い!褒めて遣わすぞっ!」
左馬刻「テメエのそのニヤケ面、すぐ歪ませてやっから覚悟しろや!!」



ヒプノシスマイク起動音)
二郎「覚悟しやがれ!!!」
〜二郎ラップ〜
二郎「っは!優勝者はまだまだこんなもんじゃねえだろ?!」
独歩「うぅ…ここで俺が倒れても、あの2人がいる。
きっとなんとかしてくれると思う、だけど!そんなのは嫌だ!!俺もあの子の力になるんだ!!!」(ヒプノシスマイク起動音)
〜独歩ラップ〜
独歩「はあ、はあ、はあ。」
二郎「っへへ、さすがにやるじゃねえか…。だがこれくらいじゃくたばれねえよ!!行くぞ、リーマン!!!」
独歩「ッッっ来い!!!!!」

一二三「さて、中学生くん。覚悟はいいかな?」
三郎「ふんっ。逆に聞きたいね。お前は僕にやられる覚悟はあるのか?」
一二三「ふふふ、その性格、僕は嫌いじゃないよ。」
三郎「っは。僕は嫌いだね。お前みたいにチャラい奴は」
一二三「それは残念、(ヒプノシスマイク起動音)…では、手加減しないよ!」
〜一二三ラップ〜
一二三「正義は勝つ。それが世の理さ」
三郎「っふふ、何が正義だ!!笑っちゃうよ!!」(ヒプノシスマイク起動音)
〜三郎ラップ〜
三郎「正義は勝つんだよなあ。それなら、お前がもう立たなければ、その説は立証されるぞ!」
一二三「…。ふふふ。面白い、面白いよ君!どっちが正しいか、最後まで立っていた方になるね。この満天の星空が証人になってくれる!!」
三郎「カッコつけてないで来いよ!!
一二三「言われなくても…行くぞ!!」

〜一郎ラップ〜
一郎「今言うべきではないんすけど、俺は寂雷さんとバトルするのが好きっす。」
寂雷「それは嬉しいですね、私も毎回強くなっていく君を見ると、やる気が起きますよ」
一郎「寂雷さん…」
寂雷「しかし、だからといって勝ちを譲ることはできない!!行きますよ」
〜寂雷ラップ〜
寂雷「成長するのは、何も若者の特権ではないのですよ。」
一郎「っ、…さすがですね、アレからさらに攻撃力が増している!!けど」
寂雷「お互いまだまだやれそうですね。では、続きを!!」
一郎「始めようぜ!!」


左馬刻(……くそッ、認めたくねえが乱数の野郎、やりやがる…)
乱数(チッ。青棺左馬刻、ヤツの攻撃をまともに食らってたら、一瞬で意識を持っていかれるぞ…)
左馬刻「おい、乱数!」
乱数「なーにかなっ?」
左馬刻「お互い限界みてえだな、」
乱数「そうみたいだね。」
左馬刻「 …ケツの穴しっかり締めろや。全力で行くからよお!!!」
乱数「あっはは☆ご忠告ありがとう!!」
左馬刻「ぶっ飛べやあ!!」
(音が止まる)
左馬刻「っ…なんだあ?」
乱数「!これは!!」
幻太郎「音が…」
帝統「消えちまったぞ?!」
銃兎「…まさか!」
理鶯「…ヒプノシス、キャンセラー…」
残閻「(拍手)いやいやあ、実にいいものを見せてもらいましたよ?さすがは、Fling PosseとMAD TRIGGER CREW、と言ったところですねえ」
銃兎「っ、誰だ?アイツは…」
帝統「あ、あーー!!アイツはあ!!俺に仕事を頼んできたヤツじゃねえかよ!!」
幻太郎「確か名前は、」
左馬刻「……残閻。テメエ何しにきやがった?」
残閻「はっはっはっは。何しにきたってえ?決まってるでしょ。あなたたちにとって、ろくでもないことをしにきましたよ」
左馬刻「んだとこの野郎なめてんじゃねえぞ!!!その前にぶっ潰してやんよ」
残閻「んっふふふふ。そんな消耗し切った体で、できるんですかねえ?」
銃兎「左馬刻、アイツを知ってるのか?!」
左馬刻「あの公害ビル野郎(?)は昔俺が仕切ってたチームの傘下にいたヤツだ。」
こうがいびるってなに???
残閻「公害ビルとは失礼な。虫に例えるのなら、今のボロボロのあなたの方がお似合いですよ?」
左馬刻「この状況、まさかテメエ何かしやがったのか?!」
残閻「おや。随分察しがいいですねえ。その通りです、小細工を弄させてもらいました。グラスホッパーをこの界隈で流行らせ、左馬刻さんの組と、そこの警官の方に目をかけてもらい、場所をあえて漏洩しました。」
銃兎「っそんなことの、そんなことのために、あんなヤバイ薬物を流行らせやがったのか…!!」
残閻「それで、そこの有栖川さんに仕上げを手伝ってもらいました。」
帝統「え、 …おれ?!」
残閻「そのカバンを運んでもらったじゃないですか。大変だったんですよお?あなたを、イカサマギャンブルで無一文にするのは」
幻太郎「はあ…。帝統、やはりあなたは騙されていたんですねえ」
帝統「いやいやいやっ!!カバン運んだ件はぶっちゃけどうでもいい!!今、イカサマがどうとか言わなかったか!?」
残閻「ええ。言いましたけど?」
帝統「ななな、なんてことしちゃってんだよお!!!返せよ、おーれーのーかねーーーー!!!」
残閻「おかしなこと言いますねえ。前金という形で、お返ししたじゃないですか」
帝統「はっ!?たし、かに…ってことは、喜んだ俺がバカみてえじゃねえかよーーー!!!!!」
幻太郎「バカみたいなんじゃなくて、あなたは本物のバカなんですよ。全く」
乱数「あっははははははは!!帝統、バカなんだ〜!!」
帝統「テメエらな〜〜!大事なダチをバカ呼ばわりするなんて、どういう了見だ!?」
左馬刻「〜〜〜〜〜あああ、うっせえなあ!!!テメエら少し黙ってろや。」
残閻「(咳払い)…どうも、状況をあまり理解していないようですねえ。(指を鳴らす)」
男たち「ひっひっひっひっひ〜〜!」
理鶯「…ざっと100人はいるな」
銃兎「チッ…マイクは使えない…体も満身創痍。八方塞がりか…」
左馬刻「残閻。よくも馬鹿の一つ覚えみてえに毎回こんな蓑虫どもを集められるもんだな。テメエにはクソムシ収集家の称号をくれてやるよ」
残閻「ふっ。お好きなように罵ってください。その、蓑虫どもにやられるのは…あなたなんですからねえ。やれ」
男たち「うらーー!!」
左馬刻「ッックソッタレがあ!!!!!」

(音楽が強制終了)
一郎「はあ、はあ、はあ、はあ…なんだ?!」
残星「はーっはっはっはっはっはっは!!いいザマだなあ!」
寂雷「はあ、はあ、っ確か、彼は」
一郎「帳…残星!」
残星「おい。こいつらが弱っているうちに縛り上げろ!」
男「えい。」
残星「ふっふ。かたっ苦しい演技も、ここまでだな」
三郎「っ?!、離せよ!!」
梧桐「っ…ごめん!!」
二郎「っ?!!なんだよ、梧桐!一体どういうことだよ?!?!」
梧桐「…こうするしか、なかったんだ」
残星「おらおらおらおら〜〜!大人しく縛られろや!!」
一二三「っ?なんだ君たち?!」
翌檜「ごめんなさいっ…」
独歩「!?どういう、ことだ…?翌檜…」
翌檜「…ごめん」
残星「ふふはははははあ。この二人には、お前らを争わせるためだけに近づかせたんだよ」
二郎「ッッ梧桐!!その話はマジなのかよ?!?!」
梧桐「ほんとに、ごめん…」
独歩「っ翌檜、なんでそんなことを…?!」
翌檜「っ、」
残星「あーーはっはっは!!いいねいいねえ、言いたくても言えねえよなあ。けどそれこそが忠誠の証だ!」
一郎「てえめえ…。何言ってやがんだ!!」
残星「はーっはあ。こいつらには、俺らが許可した情報しかお前らに言うなって言ってあっからなあ。それを健気に守ってるのがクソほど笑えるぜ」
一郎「っくっそ野郎が…!!っあの二人に何しやがった!!!」
残星「はははははは。あの二人の弟をさらっただけだ。よほど小さい弟が可愛いんだろうなあ?弟の弱った声を聞かせただけで、『なんでもするから弟には手を出さないで』って、すぐに落ちやがったぜえ。へへ。おい、連れてこいや!!」
楓「お兄ちゃん!お姉ちゃん!!」
梧桐・翌檜「「かえで!!!」」
残星「へーへへへへ。」
寂雷「相変わらず、不愉快な男ですね」
残星「なんとでも言えや。テメエらこの俺の手の中で踊らされてたんだからよ」
残閻「正確には、兄者のじゃなくて僕の手の中で、だけどねえ」
残星「おお!残閻来たか。で?そっちの首尾は」
残閻「もちろん上々さ」
左馬刻「…一郎?なんでテメエがここにいんだよ」
一郎「左馬刻…そりゃこっちのセリフだ」
乱数「げっ!寂雷のジジイがいやがるし…」
寂雷「飴村くん…この状況がわかっていますか?」
残星「いーーい眺めだなあどいつもこいつも間抜けづらぶら下げてやがって。」
残閻「ふふふふふ。思い通りにことが進むのは、やはり最高の気分ですねえ」
左馬刻「残閻、てめえ。なんでこんなことしやがった」
残閻「これはまた、おかしなことを言いますねえ。あなた方には、散々煮え湯を飲まされてきたんですから?理由なんていくらでも思いつくでしょうに。…ただまあ、今回は、過去の遺恨が原因ではありませんよ」
一郎「だったら何なんだ」
残閻「ディビジョンバトル。あんな茶番劇で勝ったからといって、偉そうなツラをされるのが我慢ならないんですよ。だからこうして、
ストリートの流儀で、勝負を挑ませてもらいました」
一郎「っ何がストリートの流儀だ?!」
残閻「…おやあ?ストリートはなんでもありだと、僕は認識していますが?」
左馬刻「…相変わらず虫螻よりも劣る生き物だなテメエはよお!!」
残閻「縛られてる状態でそんな言葉を投げられても、何にも思わないんですよお、あーっはっはっはっは!!」
理鶯「…目的などどうでもいい。そんなことよりも貴様ら、どうしてヒプノシスキャンセラーを持っている?」
残閻「ああ。そのことですか?それは、」
鶲「それは私がいるからですわよ」
銃兎「っあいつは!!行政監察局の副局長?!」
乱数(へーえ。一二 鶲(つまびら ひたき)ねえ。面白いやつが裏にいたもんだな)
残閻「一二さん。表に出てこないんじゃ、なかったんですかねえ?」
鶲「んっふふ。やはりこの4チームの無残な姿は、直接見たいと思いましてね」
残閻「それはそれは。存分に見ていってください」
鶲「っふふ、いい!いい!屈強な男どもが、私の前に平伏している…うっふふふ、もっとです。もっと表情を歪ませなさい」
残閻「相変わらずいい趣味してますね。」
銃兎「っなんで副局長がこんな奴らと連んでいる…?!」
鶲「…ないわよ」
銃兎「っはぁ?」
鶲「薄汚い男が…私様に許可もなく、話しかけてるんじゃないわよ!!!残閻!残星!あの不敬な男たちを始末しなさい!!」
残閻「と、いうことです。そろそろ、あなたたちにはこの世から退場してもらいましょう」
残星「へへへへへへへへ。安心しろ、しっかりと
苦痛を与えて消してやる」
鶲「ふっふふふふ!!ヒプノシスキャンセラーで、あなたたちのマイクは使用不可能。さらにこちらには、真性ヒプノシスマイクがある。一方的に蹂躙され、苦痛に歪む顔を見せてくださいませ…!」
一郎「ッッ、クソッタレ…!!」
鶲「さぁ、行きなさい!!…っ?な、なんで、キャンセラーが、停止した?」
無花果「…まったく、誰の許可を得てキャンセラーを使っている?」
鶲「っ!!!!い、いい、無花果様…!何故、このような場所に…?」
無花果「それはなあ、一二。お前を粛清しに来たからだ」
鶲「言っ、許してください。キャンセラーを持ち出したのは、ほんの出来心で…!!」
無花果「キャンセラーの無断使用だけじゃない。まだまだあるよなあ?一二。」
鶲「っいえ、一体、なんのことか…私には、皆目見当が…」
無花果「人身売買。違法薬物売買。業務上横領。」
鶲「ひっ!!お、お許しを …」
無花果「一二。粛清だ!!!」(ヒプノシスマイク起動音)
無花果ラップ〜
無花果「…こいつは連れていく。さて、と。」
残閻「っど、どうする気だ。僕たちを、粛清するのか?」
無花果「身の程を弁えろ。お前みたいなゴミに、私が直接手を下すわけないだろ」
残星「だったらどうするんだよ!」
無花果「どうにもしない。あとはバカな男たち同士で、どうにでもなれ」
残閻「〜〜〜ふっふっふっふ…。ムカつく女でしたが、この場を放置して行くとは。」
残星「ビビったがまだこっちには100人以上いるし、テメエらは動けねえ」
残閻「つまり、我々の有利はまだ変わりませんね」
二郎「っくそがあ!!せめて縄さえ、解ければ …」
梧桐「っ二郎くん、ごめん。今解くから!」
二郎「っ梧桐。お前…!!」
梧桐「こんなことしか、出来ないけど…」
二郎「あとで文句は言わせてもらうが、今は他の奴らの縄を解いてくれ。時間は俺が稼ぐ!!!」
梧桐「!っうん!!!」

独歩「っ!お前、」
翌檜「もうすぐ解けるから待ってろ!っこんなことを言う権利なんてないけど、俺たちを助けてくれ!!!」
独歩「…任せろ!」
二郎「…おい、りーまん。」
独歩「っ、なんだよ?」
二郎「お前、名前なんつーんだっけ」
独歩「観音坂だ。」
二郎「ちげーよ!!下のだ」
独歩「っ独歩、だけど」
二郎「よーし、独歩!俺とお前で時間を稼ぐぞ!!」
独歩「あ、ああ。任せとけ、二郎くん!!!」
ヒプノシスマイクを起動)
二郎「行くぞ!!」
独歩「ああ!!」
〜二郎&独歩ラップ〜
男たち「うわーーーー!!!」(バタバタバタ…)
男たち「っおら、いくぞーー!!!」
独歩「っ、数が多すぎる …!」
二郎「もうすぐだ、もうすぐ!兄ちゃんたちが、」
一郎「っ、待たせたな!!」
二郎「兄ちゃん!!」
寂雷「独歩くん。よく頑張りましたね」
独歩「先生!!!」
左馬刻「らーむだあ。まだやれっか?」
乱数「あーははー!ボクもうダメかも〜〜っ☆だから左馬刻、おんぶしよっ」
左馬刻「は。大丈夫みてえだな」

一二三「…中学生くん。まだやれるかい?」
三郎「ふっ。そっちの方こそ、まだやれるか怪しいもんだ!」
一二三「ふふふ、それじゃ…共に戦おう!!」
三郎「普段なら嫌だけど、特別に、力を貸してやるよ」

銃兎「…おい、そこの嘘つき。根性見せてみろ。まだまだやれんだろ」
幻太郎「某は根性がないので、もうラップができないでござるよ〜。」
銃兎「できないでもやれ!!やれないならしょっぴいてやる!」
幻太郎「はあ。…やれやれ。小生は根性論が好きではないのですがねえ。この場合仕方ありませんか」

帝統「まさか、理鶯さと組むなんてな〜!」
理鶯「そうだな。有栖川、お前もソルジャーならここで力を示せ」
帝統「そるじゃあ?俺はギャンブラーなんだけどなあ〜…。まいっか!何にせよ、全力を出すことには変わりねえしな!」
理鶯「あいつらには、軍人を嵌めたことを後悔させてやる」

一郎「覚悟しやがれ!!!!!」
ヒプノシスマイク起動音)

(どか〜〜〜〜ん)
残閻「く、くそお〜〜〜!!」
残星「クソが〜〜〜〜!!!!」

梧桐・翌檜「「楓!!!」」
楓「うわーーん!!!お兄ちゃん、お姉ちゃん〜〜!」
梧桐「っ、よかった!無事で…「
翌檜「楓、本当に、本当によかったっ!!」

一郎「…ま、とりあえず一件落着ってところだな」
三郎「騙し討ちされたのは癪ですが、あの光景を見せられちゃうと、今は何も言えませんね
二郎「だなあ。梧桐のやつには後できっちり落とし前つけてもらうが、今は兄弟の無事を喜ばせてやろうじゃねえか」

一二三「っ先生。お疲れ様でした!」
寂雷「ああ。一二三くんも独歩くんもお疲れ様。彼女の本当の意味での笑顔を取り戻せて嬉しいよ」
独歩「ああして笑っていると、無邪気で年相応の可愛さになりますね」
寂雷「そうですね」(中王区の中にも、彼女のような子供を利用する輩が出てきましたか…。腐敗の速度が速い。)

左馬刻「…これでひとまずグラスホッパーは出回らなくなるな」
銃兎「ああ。帳兄弟は捕まえたし、こいつらには洗いざらい吐かせてやる」
左馬刻「つってもまあ?ヤクが無くなるってことはねえんだろうけどな」
銃兎「…そうだな。だが、必ず俺が撲滅してやるさ。そのために俺はここにいるんだからな。(腹が鳴る音)…やべ、鳴っちまった!!!「
理鶯「うん。二人とも、腹が減ったのか。で、あるならば、小官のベースに戻って夜食にしよう。確か、バロットが残っていたはずだ」
銃兎「ひっ!?ば、バロット…?!」
左馬刻「おい。なんだそのバロットってやつは…?!
理鶯「 …ん、知らないのか?バロットは、孵化直前のアヒルの卵を、」
左馬刻「おおお最後まで言わなくていいぞ。」

帝統「まったく!とんでもねえやつらだったな」
幻太郎「そうですねえ。畜生もかくやといった連中でしたねえ」
乱数「あっはは!彼らは昔っから古悪党だったな〜!」
幻太郎「…乱数、昔からって、彼らを知っていたのですか?知っていたのであれば、なぜ名前を聞いたときに教えてくれなかったんです?」
乱数「えっへへ〜!ごめんごめーんって!顔を見て思い出したんだよぉ!」
幻太郎「…ふうん?なるほど。そうでしたか」
帝統「って、あ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
幻太郎「っビックリしたぁ。帝統、いきなり大声出すのやめてください。どうしたんですか?」
帝統「っ、残りの金を奴からもらってない …!!!今行ったらさすがにやべえよなあ?警察がいるし…」
幻太郎「あなたと言う人は…。」
乱数「あっははははは〜!」
幻太郎「だいたい、あなたが怪しい仕事を受けなかったら、こんなことにはならなかったんです。少しは反省してください」
帝統「あっははは…」

一郎「やっぱ、俺らで変えないとな」
二郎「…兄ちゃん?」
三郎「いち兄?」
一郎「っいや、なんでもない。次のバトルは、俺らがテッペン取ろうぜ!」
二郎・三郎「「うん!!」」

(コンコンコン、)
無花果「入ってもよろしいでしょうか」
乙統女「入りなさい。」
無花果「失礼いたします。ご報告いたします。行政監察局 副局長 一二鶲を本日二二〇〇に粛清いたしました。後任はいかがなさいましょうか?」
乙統女「ご苦労様。あなたに任せます」
無花果「はっ!中王区のさらなる発展に、粉骨砕身の覚悟で身を捧げる人物を選出いたします」
天谷奴「…ハッハッハッハッハッハ!相変わらずカッチカチな挨拶じゃねえか。大昔の軍人か、っての」
無花果「っ?!何故貴様がここにいる!?…天谷奴零!」
天谷奴「おーおーこええこええ。そう睨むなってのぉ。そんなんじゃ嫁に貰ってもらえねえぞ?て、あっ…お前そうか、アレだよな。男に対して、」
無花果「ッッきっさまあ!!!!!っ」
乙統女「無花果。やめなさ」
無花果「も、申し訳ございません…」
乙統女「彼は私が呼びました」
天谷奴「ふう…そういうこった。それとも、男の俺がなんで中王区に出入りできてるのか、もう一度教えてやろうか?」
無花果「チッ。いらん。耳障りなその口を閉じてろ」
乙統女「彼には、次のディビジョンバトルで大きく動いてもらいます」
無花果「っ!では…この男を参加させるのですか!?」
乙統女「ええ。新たなディビジョンをお願いしています」
無花果「…何故…この男を…」
乙統女「この男は、この世で一番信用できません。しかし、一番信用できる男でもあります。なぜならば、金で動くからです。この男が裏切るほどの額を提示できる者はいないでしょう。私以上に、この男を納得させる金額を出せないのですから」
無花果「しかし!」
乙統女「それに、飴村乱数はまだまだ不安定ですし」
無花果「それは…そうですが」
天谷奴「そういうこった。この俺が出張れば、色々と野郎どもを動かしやすいってこった。それに、ヤツの完成品ももうすぐでできるしよぉ?したら、監視システムはほぼ万全になるんじゃねえのか?」
乙統女「そうですね。彼が壊れる前には、完成品を頂きたいものです」
天谷奴「おお。まあもうちょい待ってくれや。っんじゃ、俺ァそろそろ行くわ。無花果ちゃんも、俺に早く居なくなってほしそうだしなぁ?」
無花果「ッッ、天谷奴貴様ぁ!!その呼び方をやめろと何度言わせる気だ!!!」
天谷奴「お〜こええこええ。んじゃーな〜……あ〜そうだ乙統女。しばらく、向こうのディビジョンにいっから、なんかあってもすぐに動けねえかもしんねえ。」
乙統女「承知しました。」
天谷奴「んじゃあな〜」
(バタン)
無花果「ちっ!!下品な男め…!」
乙統女「ふふふ。そう言わずに。先程はああ言いましたが、彼の目的は金だけじゃないのはとっくに理解しています。彼は私たちを利用しているようですが、最後に笑うのは我々です。んっふふふふ」

天谷奴「ふふん。金で動く、ねえ。間違っちゃいねえがな、さて…あの野郎どもはどう動くか、楽しみだ」

〇aikata back again
簓「ただいまー、って、誰もおらんから返事はないんやけどねえ。ふう、タバコ…って禁煙してるんやったな。代わりの飴ちゃんはっと。あ、あったあった!…はむ。口寂しい時は飴ちゃんに限るで〜!(ピーンポーン)…お?何やねん。帰ってきて早々に…。よっこいしょういち、まるのすけざえもん!っはいはい、どちらさん?」
男「白膠木さんのご自宅でよろしいでしょうか?」
簓「ああ、おうてるよ」
男「荷物お届けにあがりました。」
簓「ほな、開けるから上までよろしゅう!……はて、荷物?誰からやろな。」

男「それでは、失礼します」
簓「ご苦労さん!」
男「あー…」
簓「っ?どないしたん?」
男「あの…お笑い芸人の白膠木さんですよね?」
簓「せやけど?」
男「っファンです!!ホンマは、業務中にこういうのアカンのやけど、握手してもろてもええですか?!」
簓「おー!かまへんかまへん!!」
男「〜〜〜!!めっちゃ嬉しいです!超応援してますんで、頑張ってください!!」
簓「おおきに〜!ほなな〜!」
(バタン)
簓「…差出人は?… …はぁっっ?!まじか?!?!中王区??!?!……えーなになに?『厳正な審査の結果、白膠木簓様には、次回ディビジョンラップバトルに参加していただきます。つきましては、ヒプノシスマイクをお送りいたします。期日までにチームメンバーを選定し、中王区行政監察局 ディビジョンバトル運営までご連絡ください かしこ』…はああ。また難儀な話やなあ。していただきます、って決定事項なんかい!!(くしゃくしゃ、ぽいっ)…。メンバーかあ、今俺の周りで組みたいやつは居らんしなあ。どないしたもんか、 …いや。一人だけおるな。さて、どうしたもんか。」

芸人たち「おっ!簓おったぞ〜〜!」
簓「おっ?なんやなんや?!そんな仰山集まって!」
芸人「社長から聞いたでえ。自分、次のディビジョンラップバトルに参加するんやってな?!」
簓「はあ〜…あんまり人に言うなって言うてたのになあ」
芸人「メンバー決まってなかったら、自分と組まへん?!」
芸人「いやいや!!こんなギャグもつまらんボケと組むんやったら俺と組めて!!」
芸人「あーかんあかん、この二人なんかと組んでも将来なんかないで!組むんやったら、今年漫才トーナメント準優勝の俺と組まんとなあ」
芸人「準優勝て。まぐれやろ〜!」「いやいや!!」
簓「〜〜〜みんなありがとうなあ!気持ちは嬉しいんやけど、同業と組むのは考えてへんねん」
芸人「あ、そうなん?それならしゃーないな」
簓「っすまんなあ」

「簓、まだ時間大丈夫か?」
簓「まだ大丈夫やな。」
「こないだ話した件、考えてくれたか?」
簓「あのネズミ講まがいのやつ?」
「あっほっかあ!!!説明したやろ。ネズミ講やなくて、ネットワークビジネス言うもんや!!」
簓「俺からすりゃ違いが分からへんわ。」
「ほんなら、一度社長に会わせるから話だけでも聞いたってえや〜。お前のこと話したら、ぜひ会いたいって言うとったから!!」
簓「はあ、どうしよっかな〜」
「社長は忙しすぎて説明会にも姿を現さんお方や!!今回は特別にお前のためだけに、説明会を開いてくれるそうや!!」
簓「っはははは、それは、すごいなあ…」
簓(いよいよたまらんなあ。今回は特別に、お前のためだけに〜なんて、いかにもな言葉やないかい!アホやアホやと思うとったが、ここまでアホやったとはなあ!)
「なっ?なっ、なっ?ええやろ〜!?」
簓「あ〜、どうかなあ、仕事が詰まってるか、
(…ん?待てよ?こんな怪しすぎる話、聞くんは逆にアリなんちゃうか?!今度出る番組のネタにしよか!!)
…わかった!お前の顔立てていっぺん話だけでも聞いてみるわ」
「おーーーーっ、ほんまか!?ならすぐ話通しとくから、詳しい日程出たらすぐに伝えるわ!」
簓「よろしゅうな!」

(キーンコーンカーンコーン)
盧笙「すー、はあ…っ、よし、いくぞ…。み、みなさん、お、おは、おはようございます」
生徒たち「おはようございまーす」
盧笙「そ、それでは、きょ、今日は、ぜんかいの、続きからなので、129ページをひ、開いて、ください」
生徒たち「はーい」
女子生徒「っひひ、先生可愛いわ〜」
男子生徒「授業以外はぜんっぜん普通やのにな。ホンマわけわからんくておもろいわ」
女子生徒「そこが盧笙先生のエエとこやんなあ!」
盧笙(…はあ。いつまで経っても、このあがり症は治らんよなあ。)
(キーンコーンカーンコーン)
盧笙「え、えー、今日の、授業は、ここまで、で、
次までの、宿題は、さっき配った、プリント、です。皆さんちゃんと、やるように」
男子生徒「きりーつ。れーい。ありがとうございましたーー」
盧笙「…はあ。やっと終わった」
女子生徒「ろしょーせんせー!ちょっとええか?」
盧笙「ああ?ああ、どうした?」
女子生徒「っふふふ!」
盧笙「…なんで笑ってるんだ?」
女子生徒「だって先生、授業の時と別人なんやもん!」
盧笙「はは。それは自分でも理解してるから何も言えないな」
女子生徒「どっちの先生もええですよ!」
盧笙「あんまりからかうなよ」
女子生徒「はいは〜い!」
盧笙「はいは一回な」
女子生徒「はーい」
盧笙「それで?どうしたんだ?」
女子生徒「そうそう。ちょっと、相談があって」
盧笙「…相談?」
女子生徒「うん。ちょっとこの間バイト中に、」
盧笙「うちの高校はバイト禁止だぞ。それを教師に相談してどうするんだよ」
女子生徒「っへへへへ。他の先生には内緒にしといてな」
盧笙「…はあ、仕方がないなあ。」
女子生徒「はーい」
盧笙(…まあ、俺も内緒で副業してるから、人のことあんま言えへんよなあ)
「で?バイト中にどうしたんだ?」
女子生徒「そうそう。こないだバイト中にな、芸能事務所の人にスカウトされたんよ!」
盧笙「へえ。タレントになりたいってオーディション受けてたから、良かったじゃないか」
女子生徒「えっへへ。そうなんよ!」
盧笙「けど、街のスカウトって、怪しくないのか?」
女子「それそれ。相談の内容ってのが、それなんよ!」
盧笙「なるほどねえ」
女子「そうやねん!その時は名刺もろて、連絡先交換だけで終わったんよ。帰って事務所のホームページとかも調べたら、ちゃんとした事務所ってのもわかったんやけど」
盧笙「けど?」
女子「まだちょっと、怖くてさ」
盧笙「…。なら、断ればいいじゃないか」
女子「っやけど、せっかくのチャンスやし、逃しとうないねん!そやから、一度、そのスカウトした人に、私の兄っていう体で、会ってほしいんよ!!」
盧笙「親御さんに頼めないのか?」
女子「うちの親、厳しいし、芸能界なんて絶対反対するに決まっとるから…形が整って、断れない状態にしてから話したいんよね〜!」
盧笙「まったく。最後には親に話すんだから、早い方がええぞ」
女子「ねえっ盧笙先生お願い!!頼れるの先生だけなんよ〜!」
盧笙(…ずーっとタレントになりたい言うてたし、なんとか力になってやりたいなあ…。)「はあ、今回だけだぞ」
女子「や〜〜った〜〜!!先生ありがと〜!」
盧笙「はいはい。」
女子「先生、はいは一回やないの〜?」
盧笙「…はい。」
女子「ほんならっ、あとはよろしくね〜!」
盧笙「?後はよろしくて、どういうことだ?」
女子「これからバイトなんよ!だから先生だけで行ってきて!ここに待ち合わせ場所書いてあるから!じゃあ、よろしくね〜〜!」
盧笙「…はあ。俺が受ける前提で話を持ってきてたんかい。」

(ちゅーちゅー)
簓(…あのアホ。てっきり同席するんか思っとったら、こうへんのかい!!!)
店員「クリームソーダおまたせいたしました」
簓「おおきに!」
(にしてもそのお偉いさん、来るの遅すぎやないか?クリームソーダ三杯目やぞ!?!)
天谷奴「〜〜。待たして悪いなあ。俺は天谷奴だ。よろしく」
簓(…なんやこのおっさん。人を待たせといてえらい偉そうやなあ)
「よろしゅう!俺は、白膠木簓や。」
天谷奴「はっはっはっは!今をときめくピン芸人の白膠木簓に会えるなんて光栄だぜ〜!あ、そこの綺麗なおねーちゃん!コーヒー頼むわァ」
簓(…えらいユルいオッサンやな。)
天谷奴「そんじゃ、早速ビジネスの話に移るとしますか」
簓「その前に、ちょいと聞きたいことがあるんやけど、ええか?」
天谷奴「もちろんだ。なんでも聞いてくれや」
簓「ちょいと、話だけ聞きたいんやけど。どうにも俺にはネズミ講との違いがわからへんのやけど?
(ホンマはわかるけど、どんな感じで説明すんのか楽しみやな)
天谷奴「はっはっはっは。なるほど。んじゃ、そっから話していくか。ネズミ講ってのは、法で禁止されてる無限連鎖講ってやつだ。そんで俺らがやってるのは、マルチレベルマーケティングだ。正式には、連鎖販売取引って言われてるんだ。」
店員「コーヒーお待たせいたしました」
天谷奴「おう、あんがとよ。(ごくごく)〜〜。どこまで話したっけか?」
簓(説明は一応普通やな。もっと突っ込んでみるか)
「その、無限連鎖講と、連鎖販売取引の違いって何なんや?」
天谷奴「最大の違いは、ネズミ講は金品の受け渡しが目的で、マルチレベルマーケティングは商品の取引を目的としてるってとこだな。」
簓「はへ〜!そうなんやねえ。ちなみに御社の取り扱ってる商品は何ですのん?」
(これで情報商材とかやったら笑えんわ!)
天谷奴「主に情報商材が多いかなあ。サプリや日用品もあるけどよ」
簓(吹き出す)
天谷奴「お、どした?」
簓「あ、あっはは、えらいすんません。」
天谷奴「本当は、ダメなんだけどよお。簓くんには特別に、…100万する情報商材を見せてやるよ」
簓「はあ。そいつはどうも。」
天谷奴「オラよ。ちょっと見てみな」
簓「ほんなら、失礼して」
(……なんやこれえ?100万円の価値なんてないやろ。この方法を実践すれば確実に儲かる〜!なんて文言からしてやばいのに、『インフォプレナーになりましょう』って、その方法がまためちゃくちゃやん!こんなようある手口に引っかかるんは、余程のアホやな)
天谷奴「どうよ?うちの情報商材は。なかなかのもんだろ?」
簓「はははは。そうやなあ」
(やばいな、このおっさん。俺をただのカモや思うて舐めとるな?)
天谷奴「うちの会員はいろんな職業のやつがいる。人脈を広げるって意味でも、うちに入るメリットはあるぜえ?今見せてやっから、ちょっと待ってな…ん、ん、ん… …ほーらよ。すげえたくさんいんだろ?」
簓「そ、そやなあ。」
(会員の個人情報を初対面の俺に見せるとか、いよいよもってやばいヤツやん)
天谷奴「もし気になる奴がいたら、いつでも紹介してやるよ」
簓「そりゃ、おおきに、…!?!?」
天谷奴「お?早速誰か、気になるやついたかい?」
簓「〜〜ああああ、いや。知ってるやつに名前が似とったけど、違ったみたいやわ」
天谷奴「おお、そうかそうか」
簓「っえらい、すんません。このあと、仕事があるんで、そろそろ行きますわ!!」
天谷奴「さすが売れっ子芸人。忙しいところ時間作ってもらっちまって、悪かったなあ」
簓「いやいや、興味深い話を聞かせてもろたんで」
天谷奴「…また近々、会うことになると思うけどなあ?」
簓「はぁ…?」
(あの間抜けのドアホめ。相変わらず騙されやすい奴っちゃな!ま、このあと会うつもりやったから、ついでに注意したるか)

(ガチャ)
盧笙(6時か。例の芸能事務所のやつと会うまで、少し休んでから行くか。…って、あ?リビングの電気がついとる。消し忘れたか?)
簓「やあ!」
盧笙「あ?」
簓「おかえり!!」
盧笙「…。っふん!!!」
簓「あいてっ!!!」
盧笙「って、なんでおのれがおんねん!!!」
簓「っ相変わらずキレのあるツッコミやなあ!」
盧笙「ツッコミやない。自分どうやって入ってん!!」
簓「へへっ。」
盧笙「合鍵…?いつの間に?!」
簓「むか〜し泊まった時にな!!」
盧笙「まったく。油断も隙もあらへん奴っちゃな」
簓「ち、な、み、に?(チャリチャリ!)まだこんなにあるんやで〜!!」
盧笙「はあ。怒る気ぃも失せたわ。相変わらず難儀な奴っちゃな」
簓「こういうやり取り久しぶりやん!俺はカエルがひっくりカエルくらい楽しいけどな!!」
盧笙「相変わらずおまえは舞台にでてへん時のギャグはくそつまらんな」
簓「な、なんやと〜!?おもろいやんけ!カエルがひっくりカエルやぞ!?」
盧笙「それを面白いと言えるおまえの頭が面白いわ。頭のお薬処方したろか」
簓「くっ。相変わらずおまえは舞台に立ってへんかったらおもろいやんけ!コンビ組んどった時にこれをやれればよかったんやけどなあ」
盧笙「ほっとけ」
簓「ま、そうも言うてられへんやん?なんせ俺は仏やからほっとけん、ってな!くっふふふ!」
盧笙「今ので笑えるとかほんまに正気を疑うレベルやな。で?何しにうちにきたんや」
簓「ああ、そうそう!おまえと話すの楽しすぎて忘れるとこやったわ!おまえ、今副業とかやってるやろ。」
盧笙「っ!う、なんのことや!」
簓「隠さんでもええ。誰にも言わへん。せやけど、」
盧笙「?」
簓「そのビジネスは十中八九詐欺や。今すぐに手を引け」
盧笙「はぁ?いきなり何言うてんねや」
簓「さっきそのビジネスやってる元締めのやつと会うてきたんやけど、あらおまえ、怪しさ100%やったぞ。そんで会員名簿の中にお前の名前があってビックリしたで」
盧笙「社長に会ったんか?!俺ですら会ったことないのに。どうやって会ったんや?!」
簓「そんなんどうでもええことや。ええか、重要なんは、お前が会ったこともないヤツを信じるか、それとも、元相方の俺を信じるかの二つに一つや」
盧笙「!…」
簓「さ!どないやねん。」
盧笙「…プリン。」
簓「は?なんて?」
盧笙「昔俺が楽しみに取っといたプリンを勝手に食べたんはお前やんけ。それに、貸した五百円もまだ返してもろてないし、更には俺が大事にしてたラジコン壊したやろ。」
簓「、そやったっけ?!ま〜、それも些細なことやんけ!」
盧笙「そんな適当なお前をどう信じろと?」
簓「はっはっは〜!そんならこの話は一旦横においといて、」
盧笙「何が置いといてやねん、このドアホが!」
簓「おっほん!!今からする話が本題やねん!!」
盧笙「はあ。お前なんなんや」
簓「俺と、また一緒に組まへんか?」
盧笙「…いきなり何言うてんのや?…!!これは、もしかして」
簓「…ヒプノシスマイクや」
盧笙「!!!」
簓「次のディビジョンバトルに参加することになってな。俺はお前と組みたいと思っとる」
盧笙「…断る。」
簓「 …えっ?な、なんでや?!ディビジョンバトルに出ることは、副業になれへんし!!優勝すれば多額の賞金も出るやん!!そうすれば、お前はいまカモにされとる仕事もやめれて、世は事も無しやん!!」
盧笙「…まだ詐欺やって信じたわけやないし……それに、俺は、お前とはもう組みたくないねん」
簓「がーーーーーん!!!!」
盧笙「…アホ。口で言う奴がおるか」
簓「っっ、なんでやなんでやなんでやなんでやなんでやなんでやーーー!!!」
盧笙「っ、だだ、痛い痛い、揺すりすぎや…」
簓「さっきお前が言うてた、俺が適当すぎるからか?!」
盧笙「いやあ、それは…って、もうこんな時間やないか!!」
簓「いや!それは、…の続きを聞かせてくれえ〜!めっちゃ気になるやんけ〜〜!」
盧笙「この後ちょっと会わなあかん人がおるねん」
簓「この大事な話をほっぽって会いに行く奴?!誰や!?」
盧笙「誰だってええやろ」
簓「ッッいや、俺には聞く権利がある。教えてくれるまでここは通さへん!!!」
盧笙「はあ。ったく…」

盧笙「〜〜…というわけや」
簓「…いや、それ騙されてるお前が行っても絶対分からへんやろ」
盧笙「いや、だからまだ騙されたって決まったわけや、」
簓「よし!そんなら特別に俺もついてったる!感謝せえよ!」
盧笙「いや頼んでへんやんけ」
簓「まあそう言うなって!この話を大事なとこは、お前の生徒が騙されへんように見極めることやろ?」
盧笙「まあ、そやな」
簓「ほなら、一人より二人で判断したほうが、情報の角度が上がるってもんやん!」
盧笙「まあ、確かになあ」
簓「はいっ!そんならきまりやねえ。早速怪しい怪しいやつに会いにいこか!」
盧笙「はっ。ほんまに口が達者なやつやなあ」

簓「でな、その学生が、夜道を歩いてたんや。すると向こうからマイクを器用に頭の上に乗せて歩いてくる男がいたんや。学生は気になりすぎて声をかけたんや。『なんで頭にマイクを乗せてはるんですか』ってな。すると男は、それは君の!!」
店員「クリームソーダお持ちしました〜〜」
簓「おおきに!って、どこまで話したっけか?あっ、そうそう。男の返答やったな。」
盧笙「(ドガッ!!!)ど〜でもええわそんな話ィ!!待ち合わせから1時間も遅れるってどういうことやねん!?」
簓「落ち着けって盧笙!俺に聞かれてもわかるわけないやん〜」
盧笙「そ、そやな。すまん簓。」
簓「ええよ、けどほんまに遅いなあ。ほんまにこの時間か?」
盧笙「…。間違いあらへん。確かに、19時からや」
簓「ま、時間も守れんようなやつにろくなやつは居らんからな〜〜」
天谷奴「よう!待たせちまって悪いなあ!」
盧笙「やっと来たか。」
天谷奴「〜〜。」
簓「ってお前はあぁ?!?!」
盧笙「ど、どないした?知り合いか?」
簓「知り合いも何も、こいつがお前をカモにしてる会社の社長やぞ?!」
盧笙「は、み、見間違いじゃ」
簓「いやいやいやいや!昼間に会うたばっかやから間違えるはずないやん!?!」
盧笙「…」
天谷奴「ふっふふっふ。ふははははっ!予定にはないが、予定より早いに越したことはねえ。簓くんは俺が思うよりも、ダチ思いなんだなァ」
簓「そりゃ大事な元相方やからな」
盧笙「な、…なんなんや」
天谷奴「混乱してるみたいだから一言。恐らく簓くんが言っていた俺に対する評価は概ね正解だ。…この俺が保証してやるよ」
盧笙「っ!!全部デタラメやったんか!?」
簓「…この詐欺師め。やけにあっさり認めるんやな」
天谷奴「そりゃあな。なんせこれは、手段であって目的じゃあねえからな」
簓「…どういうことや?」
天谷奴「お前らを引き合わせるのと、俺がお前らと関係を持つためだけのものだ。端的に言うと、お前ら二人に興味があるってことだな」
簓「知らんオッサンにそこまで興味持たれるなんて、ええ気分せんなあ。」
天谷奴「確かになあ。はっはっはっは!」
簓「……オッサン、おもろいやんけ」
天谷奴「そりゃあ、嬉しいこった」
盧笙「ッッ!!!!(パリン)ってことは、俺の生徒をだまくらかしたってことなんか?」
天谷奴「まあ、そういうことになるな。あのお嬢ちゃんには悪いことしたな。一つ、謝っとくれよ」
盧笙「っっざけんなこんボケえ!!!俺んことはまだええ。俺がアホだったってだけや。けど、俺の生徒を騙してたんは許せへん。あいつの夢を踏みにじったってことやからなぁ!!」
天谷奴「へっへ。こえーこええ。そんじゃあ、どうするんだい?」
盧笙「ぶっ飛ばす…!!!!」
簓「おおおい盧笙!やめとけって!!」
盧笙「(ボカっ!)」
天谷奴「〜〜いいパンチじゃねえかあ。まさに魂が乗った一撃だ。…だが、(ギリギリ…)」
盧笙「っぐ!っ!!」
天谷奴「わり〜わりい。ちょいと強く握りすぎちまった。つーか今のご時世、拳の暴力なんざ流行らねえぜ?ぶちのめしたいんなら、こいつだろ」
簓「ヒプノシスマイク?!」
天谷奴「ああ、簓くんも持ってんだろ?一本、盧笙くんに渡してやんな。」
簓「…なんで俺が持ってんの知ってんねん」
天谷奴「そいつは企業秘密だなあ。早くマイク渡さねえと、一方的に俺がやっちまうことになるぜえ?」
盧笙「…簓、断っといてなんやけど、貸してくれ」
簓「お、おう」
天谷奴「うし!んじゃ、外に出るとするかあ!」
盧笙「ぶちのめしたる…」

天谷奴「っは。お誂え向きに駐車場があんじゃねえか。ここなら周りを気にせずにやれるなあ。先攻は譲ってやるよ。かかってきな」
盧笙「行くでえ!!」
ヒプノシスマイク起動音)
〜盧笙ラップ〜
天谷奴「〜〜〜へっへ、なかなかやるじゃねえか。」
簓(あのおっさん!口ではああ言うとるが、あんまダメージ食ろてへんやん!)
天谷奴「次は俺の番だなあ」
ヒプノシスマイク起動音)
〜天谷奴ラップ〜
盧笙「うわああ!!!」
簓「ッッ盧笙??!!!」
盧笙「くっ、大丈夫や、まだおれは、俺はやれる」
天谷奴「いいねえ、根性ある男はあ。」
盧笙「っまだや、まだ、まだ…」
簓「盧笙!少し落ち着くんや」
盧笙(俺の夢は潰えたんや。それは俺の弱さが招いたもの。簓に追いつこうとして空回ってた。そして俺は知らん間に、舞台に上がるとよう喋れんくなっとった。あのまま、コンビを組んでたら、簓の足を引っ張るだけのお荷物になっとったやろう。せやから俺はあいつと袂を分かったんや。自分の夢は諦めたけど、夢を追う奴を応援することはできる。これを曲げたらもう俺は自分を保てなくなる!!せやから俺はっ…)
盧笙「ふっ…っ!」
天谷奴「限界が近そうだが、まだやるかい?」
盧笙「夢を冒涜するやつに、俺は、俺は負けるわけにはいかへんのや!!!」
天谷奴「そうかい。くたばる覚悟はあるみてえだな。なら最後までやりあおうぜ」
簓「盧笙…。っ。オッサン、ほんま悪いんやけど、二人で行かせてもらうで」
盧笙「っ簓!余計な真似すんなや!!」
簓「盧笙。根性で立ち向かうのはええが、結果が伴わらないもんはただの自己満足や。」
盧笙「っ…!」
簓「掴み取りたいものがあるんなら、時にはどんな手を使っても勝ち取らなあかんねん!!せやから、俺はお前に手を貸すんや」
盧笙「簓、すまん…」
簓「ってことで、俺ら二人で行かせてもらいますわ!」
天谷奴「俺は別に構わねえぞ?泥臭くても勝ちを拾いに行く姿勢、最高だぜ」
簓「ほな、覚悟しいや!!!」
ヒプノシスマイク起動音)
〜簓ラップ〜
天谷奴「っ、効くぜ…!俺も気合入れ直して、かましてやるァ!!!」
〜天谷奴ラップ〜
簓「っ盧笙!いくで!!」
盧笙「ああ!!」
〜簓&盧笙ラップ〜
簓「っさあ!来いや!!」
盧笙「絶対に負けへん!!!」
天谷奴「っへ、(ヒプノシスマイク停止)…負けだ。俺のな」
簓「どういうことや?」
天谷奴「どうもこうもない。俺の負けだ。すまなかったな、お前の生徒を傷つけちまって」
盧笙「…俺に謝っても意味ないやろ」
天谷奴「それは分かってる。だが、お前のことも一緒に傷つけちまったことを詫びてんだ。そんで、お前の生徒には、ちゃんとした事務所を紹介してやる」
盧笙「…信用できへんな。」
天谷奴「そんなもん必要ねえ。結果を見届けるだけでいい。俺ァ詐欺師だが、やると言ったら必ずやる」
簓「っはははは!おもろいやんけ。ここまで言うとるんや、結果を見てやろうやないか、盧笙」
盧笙「せやけどっ!」
簓「もし約束を破ったら、俺ら二人でこのおっさんをとっちめればええやん?」
盧笙「…、そうやな。」
簓「…うっし!これでまたチーム組めるな!!」
盧笙「はぁ!?なんでそうなんねん!?俺はお前と組まへん言うとるやろ!?」
簓「ああ、それなんでなん?そもそもコンビ解散するときも、理由教えてくれへんかったし…。俺には聞く権利があると思うんやけど?」
盧笙「…そうやな。確かにお前には話さんとあかんな。」
簓「せや。さ、聞かせてくれ」
盧笙「俺は……お前から逃げたかったんや。」
簓「どういう、ことや?」
盧笙「養成所の時からお前はすでに何かを持ってた。俺は俺で、根拠のない自信だけがあって、がむしゃらに頑張ってたんや。せやけど、デビューして、急に売れたやん?」
簓「せやなあ。あん時は俺もしんどかったな」
盧笙「お前はあの競争にもうまく立ち回ってたな。背やけど俺はプレッシャーに負け、どんどん思うようにツッコミができなくなって、お前の足を引っ張りつづけた。お前も知っての通り、俺はある日突然、舞台上でうまく喋れんようになった。どんなに練習しても、舞台に上がると緊張とプレッシャーで上がってまう。不甲斐ない自分に対して憤り、それ以上に、お前という才能を俺が潰してしまうんやないかって恐怖に押しつぶされそうやった。まさに、地獄や。せやから俺は自分の夢を諦め、お前から逃げることにしたんや」
簓「盧笙、」
盧笙「これを聞いても、まだ俺と組みたいと思うか?」
簓「なあ、俺がピンでずっとやってるんは、なんでかわかるか?」
盧笙「知らんわ。お前なら、組みたいっていうてくるやつなんか仰山おったやろ」
簓「それはな、お前以上におもろい奴がいてへんかったからや。俺の相方を務められるんは、お前しかいてへんのや。当時俺が、お前に優しい言葉なんかかけとったら、あん時のお前はもっとひどいことになってたのは目に見えとった。せやから、乗り越えてくれるのを願ってたんや。せやから、お前から解散したいって言われても、黙って了承したんや。あのまま続けとったら、確実にお前が潰れとったからな。今は別々道を進むことになってるけど、俺は変わらず、お前の気配りやまっすぐに芯が通っとるとこ、リスペクトしてるんや。
盧笙「簓…」
簓「お笑いやないけど、もういっぺん俺と組んで、一緒にテッペンを目指せへんか?」
盧笙「…また迷惑をかけてまうかもしれへんけど、それでもええんか?」
簓「!!っお前と組んで迷惑とか思ったこと、一度もあらへんわ!!つか、お前のあがり症を治すにもな、俺と組んで、あの頃のトラウマごと、どついたったらええやん!!!」
盧笙「そうやな。…簓、まだ頼むで!!」
簓「大船に乗ったつもりでおってええぞ!」
天谷奴「(ぱちぱち、)丸く収まったみてえだな。これであと一人ってわけだ。ディビジョンバトルに参加するために必要な人数は」
簓「おっさん…。俺のことなんでも知っとるんやなあ」
天谷奴「それは買い被りすぎだ。あと俺が知ってるのは、碧棺左馬刻とお前が揉めたってことくらいだなあ」
盧笙「碧棺、左馬刻?あのThe Dirty Dawgの?」
簓「そんなことまで知っとんのか…、」
天谷奴「っへ。」
簓「っはは。ほんまに不気味なオッサンやな。」
天谷奴「そいつはどうも。…物は相談なんだがよ、チームメンバー残り一人、心当たりあんのか?」
簓「いや。目星もついてへんな」
天谷奴「…。んじゃあよ、この俺を入れる気はねえか?」
盧笙「は?!何言ってんねやお前!?」
天谷奴「つーか、参加するならもちろん勝ちてえだろ?それなら俺以上に適任はいない。俺の実力なら、身を持って知っただろうからな」
盧笙「お断りや!!!誰がお前なんかと、」
簓「いや!…おもろいやんけ」
盧笙「簓!?」
簓「盧笙、考えてみい。こいつの力は、俺が今まで見てきたやつの中でもトップクラスや。それに、仲間にしといたほうが、今後余計な真似しいひんやろうし、お前の生徒の件も、ちゃんとやるか見張れるしな」
盧笙「それは、確かにな」
簓「ほんなら決まりやな!オッサン、あんたの力借りるで」
天谷奴「零だ。仲間なんだからオッサンじゃなくてよお、名前で呼んでくれや」
簓「そんなら改めて、零、宜しく頼むわ」
天谷奴「任しとけ」


乱数「うまくいったみたいだね〜?ボクの出番は全くなかったじゃ〜ん!」
天谷奴「…飴村か。」
乱数「えっへへへ!飴食べる〜?」
天谷奴「いらねえよ」
乱数「今回大変だったんじゃないの?わざわざネットワークビジネスの会社を作って、躑躅森盧笙を騙したり、その後お笑い芸人に接近して白膠木簓の耳に入るように仕向けたりってね!」
天谷奴「大したことァねえよ。」
乱数「さっすがだね〜!かなりの作業量だったと思うけどね〜。ものすごいバカを演じてて、ボク笑っちゃいそうだったよ!」
天谷奴「まあ少しやりすぎちまったかもしれんな。簓は頭がキレっから、あそこまでやらなくても良かっただろうな」
乱数「それで?簓は、予定通り動かせそうな状態?」
天谷奴「ああ、問題ねえ。」
乱数「ふーん。そっかあ」
天谷奴「…。とりあえずお前とは、ディビジョンバトルで当たるかもな。そん時は手加減しねえぜ」
乱数「あっははは!今日みたいに手加減しないってことだよね?」
天谷奴「いや、手加減はしてねえって。使える範囲内での全力は出したつもりだ」
乱数「へえ〜。じゃああの二人、かなりやるんだね!」
天谷奴「ああ。間違いねえ。奴らはホンモンだ。じゃあな、お前はナゴヤの方をなんとかしろよ」

乱数「……ちっ。偉そうな野郎だ。…さーってと!
ひつまぶし食べに行こーっと!!」